日本放送協会 理事会議事録  (平成19年9月19日開催分)
平成19年10月 5日(金)公表

<会 議 の 名 称>
 理 事 会

<会  議  日  時>
 平成19年9月19日(水) 午前 9時00分〜 9時25分

<出   席   者>
 橋本会長、永井副会長、原田専務理事、畠山理事、小林理事、金田理事、
 中川理事、石村理事、西山理事、日向理事、溝口理事、八幡理事

 古閑監事

<場         所>
 放送センター 役員会議室

<議        事>
 橋本会長が開会を宣言し、議事に入った。

付議事項
1 審議事項
(1)第1052回経営委員会付議事項について
(2)横浜新放送会館の土地・建物購入について
(3)千葉放送会館移転整備の着手について
(4)中央放送番組審議会委員の委嘱について

2 報告事項
(1)地方放送番組審議会委員の委嘱について
(2)会計検査院の検査報告について

議事経過
1 審議事項
(1)第1052回経営委員会付議事項について
(秘書室)
 9月25日(火)に開催される第1052回経営委員会付議事項について審議をお願いします。
 付議事項は、議決事項として「中央放送番組審議会委員の委嘱について」と「横浜新放送会館の土地・建物購入について」、審議事項として「『次期経営計画』について」、報告事項として「地方放送番組審議会委員の委嘱について」、「会計検査院の検査報告について」そして「千葉放送会館移転整備の着手について」です。

(会 長) 原案どおり決定します。


(2)横浜新放送会館の土地・建物購入について
(経理局)
 横浜新放送会館の土地・建物購入について審議をお願いします。
 横浜放送会館移転については、新放送会館を神奈川県のホールと合築することになっています。この事業の施行者である独立行政法人都市再生機構と土地・建物の購入のための契約を10月上旬に締結したいと考えています。
 具体的には、横浜市中区山下町の土地1,789.38平方メートル(全体6,436.61平方メートルのうち持分27.80%)と、主に地上1階から3階部分の専有面積4,902.64平方メートル、共用持分面積1,162.33平方メートルの建物(全体共用5,527.55平方メートルのうち持分21.02%)で、取得価額は4,042百万円です。
 なお、本日、この内容が了承されれば、第1052回経営委員会に諮りたいと思います。

(会 長)  原案を了承し、経営委員会に諮ることにします。


(3)千葉放送会館移転整備の着手について
(経理局)
 千葉放送会館移転整備の着手について審議をお願いします。
 千葉放送会館は、機能の陳腐化や狭隘化が著しいので、移転整備を行う用地として平成16年5月に千葉港地区の県有地を取得しましたが、平成18年1月、NHKの財政状況がたいへん厳しくなったことから、県と協議して、会館建設のスケジュールを延伸し、平成21年度の建物完成予定を平成23年5月に変更しました。
 今回、その協議結果に基づき、次のスケジュールにより、会館整備に具体的に着手したいと考えています。
 現段階で、新会館の規模は地上3階、延べ床面積は5,200平方メートル程度を想定しています。
 基本計画を平成20年3月までにまとめ、基本設計および実施設計を同年8月から行います。21年12月に着工し、23年5月の完成、10月の運用開始を目指します。

(副会長)  延べ床面積が比較的広いように感じますが、放送局の整備イメージも固まらない段階でこの面積を想定した根拠は何ですか。
   
(経理局)  標準的な放送局の規模をもとに、NHK単独で建物を建てること、地上デジタル放送への対応や視聴者とのふれあいスペースなども考慮して、必要な面積を算定しました。今後、基本計画を取りまとめる中でさらに精査していきます。これが、延べ床面積のおおむね上限と考えています。
   
(会 長)  原案どおり決定します。

(4)中央放送番組審議会委員の委嘱について
(原田専務理事)
 中央放送番組審議会委員の委嘱について審議をお願いします。
 榊原洋一氏(お茶の水女子大学子ども発達教育研究センター教授)に平成19年10月1日付で再委嘱したいと思います。
 なお、この内容が了承されれば、第1052回経営委員会に諮ります。

(会 長)  原案を了承し、経営委員会に諮ることにします。


2 報告事項
(1)地方放送番組審議会委員の委嘱について
(原田専務理事)
 地方放送番組審議会委員の委嘱について報告します。
 東北地方で鈴木満氏(東北電力(株)常務取締役)、橘眞紀子氏(秋保温泉「岩沼屋」専務取締役)、北海道地方で田澤由利氏((株)ワイズスタッフ代表取締役)を平成19年10月1日付で新規委嘱します。また、九州地方で大倉紀子氏((株)ジャンヌマリー代表取締役社長)、北海道地方で長谷川幸男氏(いわみざわ農業協同組合代表理事組合長)を同日付で再委嘱します。
 なお、関東地方の増井光子氏(よこはま動物園園長・獣医学博士)、東北地方の牛尾陽子氏((株)藤崎取締役・(株)藤崎快適生活研究所専務取締役所長)、佐々木恭之助氏(東北電力(株)常務取締役)、北海道地方の青田昌秋氏(北海道立オホーツク流氷科学センター所長)は任期満了により平成19年9月30日付で退任されます。


(2)会計検査院の検査報告について
(八幡 理事)
 会計検査院の検査報告について報告します。
 昨年6月、参議院決算委員会において、国会法第105条に基づき、会計検査院に対し、日本放送協会における不祥事について「番組制作費等の経理の状況」および「関連団体の余剰金の状況」について検査を実施し報告をすることを求める決議がなされました。
 会計検査院の検査は、本部および全国14か所の放送局で行われ、9月12日、検査結果についての報告書が参議院に報告されました。
 検査報告の概要は次のとおりです。

 番組制作費等の経理の実施状況及び不祥事の再発防止に向けた体制整備の状況
 
 会計検査院は、放送料、旅費、役務費等の各経費を対象として、書類を照合したり、関係者から業務実態を聴取したりするなどの方法により検査を行った。協会が実施した全部局業務調査等の各調査についても検査を実施した。
 その結果、特に架空請求や架空出張等の不正な事態はなく、協会の調査結果に特に不備な点は見受けられなかった。
 不祥事の再発防止に向けた体制整備の状況については、放送料や旅費等の各費目ごとの経理適正化策の遵守状況を検査したが、検査の結果、特に不適切な事態は見受けられなかった。
 協会では、現在、「コンプライアンス推進のアクションプラン」に基づき、コンプライアンス月次点検を実施して、業務管理、経理管理の徹底を図るなど、不正防止機能の強化に取り組んでいるとしており、それらを確実に実施していくことが必要である。
 会計検査院としては、今後とも、協会における不正防止機能の強化に係る施策の実施状況や、番組制作費等経理全般の実施状況について引き続き検査していくこととする。
 関連団体の余剰金の状況
 
 17年度末の関連団体33団体の利益剰余金等の総額は886億余円、このうち子会社21社の利益剰余金の合計は759億余円であり、そのうち、協会が直接出資している子会社19社について、営業利益率の平均はおおむね標準的な水準となっていたが、自己資本比率、当座比率については健全性が高く、十分な財務上の余力がある会社が見受けられた。
 協会は、17年9月に配当に関する考え方を転換し、新たな配当施策によることとした結果、特例配当を実施した子会社3社の18年度末利益剰余金の合計は、前年度に比べ20億余円減少し、子会社19社の利益剰余金の総額は前年度に比べ約3,300万円減少しているが、今後も利益剰余金額、当座資産額等の資産状況等を勘案して特例配当を要請するなどして、協会の財政に寄与させることが望まれる。
 協会と関連団体との取引の状況については、協会職員の削減に伴い協会職員とともに業務が関連団体へ移行した経緯があることなどから、随意契約による業務委託がほとんどとなっていた。委託業務に従事する出向者に係る人件費は協会職員と同等の水準であった。業務委託額の妥当性の検証は、協会は必要に応じて見積書等の確認を行っているが、関連団体が支払った金額の確認までは行っていなかった。
 協会の財政が主に受信料で賄われていることにかんがみ、取引を通じて関連団体に過剰な利益を与えることにならないよう、競争を原則とする一般調達への移行を含めた関連団体との業務委託の在り方を検討し、契約の妥当性、透明性の確保等に留意し、実績原価を確認する機会を増やすなど関連団体の協会からの業務委託額の検証をより積極的に行うことが必要である。
 会計検査院としては、協会の子会社の配当及び関連団体の利益剰余金の状況について検査していくとともに、協会の関連団体との契約の在り方、協会の副次収入の収納、及びこれらに係る協会の積算、確認体制、検証の状況について、今後も、多角的な観点から、引き続き検査していくこととする。

 以上が検査報告の概要ですが、「番組制作費等の経理の状況」については、NHKでは16年以降、一連の不祥事に関して、審査の強化など経理の適正化や不適切な経理処理に関する調査を行うとともに、不祥事の再発防止に取り組んできました。今回のこの報告で、検査は一応の区切りとなりますが、会計検査院の報告にもあるとおり、引き続き不正防止策を確実に実施していくことが必要であると考えます。

(溝口 理事)
 関連団体の余剰金の状況については、検査報告では、NHK関連団体の平成17年度末利益剰余金等は886億円となっています。利益剰余金には、NHK関連団体の収入の約半分を占める、DVD販売やテキスト・書籍の出版など、NHK以外との取引によるものもあり、事業活動を通した正当な成果といえるものです。
 886億円には、各団体の判断で処分できない公益法人等の内部留保や、NHKが経営の支配力を有しない関連会社等の利益剰余金が含まれています。それらを除いたNHKが直接出資している子会社19社の利益剰余金の合計は、17年度末で744億円です。
 一般に利益剰余金は、その全てを現金や預金として保有しているわけではありません。NHKの関連団体においても、テキスト、書籍等の在庫や、中継車や子会社が所有するビルなどの固定資産等に既に充てられているものもあります。これを除いた現金同等物は420億円となっており、日常の支払いのためのキャッシュ、すなわち運転資金がこのうち半分を占めています。
 この利益剰余金の額は、子会社の事業規模からみて、一般の株式会社と比して特に過大なものであるとは考えていません。
 また、17年度には、各団体の財政基盤の安定化、近年の株主重視・増配傾向の高まり、NHKの厳しい財政状況への対応などから配当の積極推進の方向に転換しました。特に、18年度と19年度の配当では、一定の経営体力を持つ子会社に対して、当期の利益を上回る規模の大型配当を要請して、18年度の配当の総額は、49億円(このうちNHKの受取額は36億円)、19年度も33億円(NHKの受取額18億円)となりました。

(八幡 理事)
 関連団体との取引については、NHKは、公共放送としての業務をより効果的に実施するために、関連団体を設立して、計画的に業務をアウトソーシングし、技術やノウハウを継続的に移転・継承してきましたが、この技術やノウハウを活用することが不可欠な場合が極めて多く、関連団体との契約総額のうち随意契約の比率が高くなっています。この、関連団体との随意契約の70%は、番組制作委託が占めています。番組制作は、価格の優劣だけではなく、企画提案の内容を競うことによって採否を決定しています。番組制作が価格競争や一般的な競争契約になじまないということは、国の規制改革・民間開放推進会議も理解を示しています。
 なお、番組制作については、18年度から、外部プロダクションの提案を直接受け付ける体制を整備し、公募によっても番組制作を委託しています。
 番組制作以外の業務については、関連団体に委託する業務を特に高度な技術力を要するものなどに特化し、一般の市場にゆだねることのできる業務を拡大して、競争契約の推進に取り組んでいます。
 NHKは、関連団体の利益剰余金については、業務報告書に記載し、連結決算などとともに公開ホームページ等で公表しています。また、関連団体との1件3,000万円超の取引についても、毎年度その取引が適正に行われているかどうかの評価を取りまとめ、外部有識者で構成する「入札契約委員会」の点検・助言を得て、公開ホームページで公表しています。
 今後とも、配当については、検査院の報告書にあるように、「財務上の余力」をそれぞれの会社ごとにしっかり検証した上で積極的に配当することとしたいと考えています。また、協会と関連団体との契約については、より一層、その妥当性、透明性の確保に留意していかなければならないと考えています。
 なお、この会計検査院の検査結果については、第1052回経営委員会に報告します。

以上で付議事項を終了した。
上記のとおり確認した。
      平成19年10月 2日
                     会 長  橋 本 元 一   

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