日本放送協会 理事会議事録  (平成19年 7月24日開催分)
平成19年 8月31日(金)公表

<会 議 の 名 称>
 理 事 会

<会  議  日  時>
 平成19年 7月24日(火) 午前9時00分〜9時40分

<出   席   者>
 橋本会長、永井副会長、原田専務理事、畠山理事、小林理事、金田理事、
 中川理事、石村理事、西山理事、日向理事、溝口理事、八幡理事

 古閑監事、坂野監事

<場         所>
 放送センター 役員会議室

<議        事>
 橋本会長が開会を宣言し、議事に入った。


付議事項
1 審議事項
(1)BSアナログ放送に関する放送衛星局の廃止および委託放送業務の
   開始について

2 報告事項
(1)考査報告
(2)コンプライアンスの徹底に向けた「工程表」第1四半期報告
(3)地方放送番組審議会委員の委嘱について

議事経過
1 審議事項
(1)BSアナログ放送に関する放送衛星局の廃止および委託放送業務の
   開始について
(総合企画室)
 BSアナログ放送に関する放送衛星局の廃止および委託国内放送業務の開始について審議をお願いします。
 まず、アナログ衛星ハイビジョン放送に関する放送衛星局の廃止についてです。
 平成15年に、国が定める「放送普及基本計画」の一部が変更され、NHKのアナログ衛星ハイビジョン放送(「デジタル方式の放送へ円滑に移行するための放送」)の終了時期が平成19年と決められました。これについて、今年中に予定されているBSチャンネルの再編成を考慮し、10月31日にアナログ衛星ハイビジョン放送を行う放送衛星局を廃止し、放送を終了したいと考えています。だだし、番組そのものの放送は9月30日で終了し、10月1日から10月31日まではこの終了についての周知期間としたいと思います。
 次に、アナログ衛星第1放送、アナログ衛星第2放送を行う放送衛星局の廃止および委託国内放送業務の開始についてです。
 平成16年、平成19年からのBS放送に関する制度整備のため、「放送普及基本計画」と「放送用周波数使用計画」の一部が変更され、BSAT−1aの後継衛星(BSAT−3a)によるBS放送は、従来の国内放送(いわゆるハード・ソフト一致による放送)としてではなく、受託国内放送(いわゆるハード・ソフト分離による放送)として行うものと決められました。このため、現在BSAT−1aを使用して行っているNHKのアナログ衛星第1放送およびアナログ衛星第2放送を、8月に打ち上げられる予定のBSAT−3aを使用して継続するためには、手続き上、現在BSAT−1aを使用して開設している放送衛星局を廃止し、新たにBSAT−3aを保有する株式会社放送衛星システム(B−SAT)を委託の相手方とする、委託国内放送業務を開始する必要があります。また、BSAT−3aは11月1日から運用が開始される予定であることから、その運用開始に合わせて、アナログ衛星第1放送およびアナログ衛星第2放送を行う放送衛星局を廃止するとともに委託国内放送業務を開始することとしたいと思います。
 なお、アナログ衛星ハイビジョン放送以外のBSアナログ放送については、平成23年(2011年)までに終了することが「放送普及基本計画」に定められています。
 この内容が了承されれば、本日開催の経営委員会に諮ることにしたいと思います。

(会 長)  原案を了承し、経営委員会に諮ることとします。

2 報告事項  

(1)考査報告
(考査室)
 19年6月から7月中旬に放送されたニュース・番組について、概要を報告します。
 まず、新潟県中越沖地震のニュースについてです。
 7月16日(月)、新潟県中越地方と長野県北部で震度6強の地震が発生し、10人が死亡、けがをするなどして手当てを受けた人は1,300人以上に上っています。NHKでは、午前10時14分にスーパーで速報し、15分には、全波を地震情報に切り替え、総合テレビは午後0時55分まで伝えました。11時14分に、柏崎刈羽原発3号機の変圧器から炎と黒い煙が立ち上がっているのを上空から中継で伝えました。「ニュースウオッチ9」では、柏崎刈羽原発で、使用済み核燃料を保管するプールの水が、揺れで床に飛び散り、微量の放射性物質を含む水が排水溝を通じて海に流れ出たと伝えました。柏崎市内の空撮映像も早く、その後は地上からの中継などを交え詳しく伝えました。
 次に、台風4号のニュースについてです。
 7月の台風としては観測史上最強の台風4号は、各地に大雨をもたらし、7月15日(日)までに死者・行方不明4人などの被害が出ました。沖縄接近から本州東海上に抜けるまで、長時間にわたった台風の動きと防災上の注意点や影響、被害などの最新情報を各地の中継などを交えて逐一伝えました。
 続いて、参議院選挙関連のニュースについてです。
 第21回参議院選挙が7月12日(木)に公示され、選挙区と比例代表合わせて前回より57人多い377人が立候補して、29日(日)の投票日に向けて選挙戦に入りました。「ニュース7」は、放送時間を午後8時45分まで拡大し、7党の党首に年金問題、政治とカネ、目標議席などを聞きました。選挙の争点、各党の訴え、注目点などをさまざまな番組を特設するなどして詳しく伝えています。
 久間防衛相が、長崎の原爆投下について、「戦争を終結させるためにはしょうがないと思っている」と発言したことに強い批判を受け、7月3日(火)に辞任したニュースについては、午後1時14分に、スーパーで一報を伝えました。久間氏の発言をきちんと取材・放送し、辞任に追い込まれた過程も詳しく伝えました。
 次に、NHKスペシャル「失われた文明 インカ・マヤ」(全3回)の第1回「アンデス ミイラと生きる」(7月1日放送)についてです。
 この番組は、かつてスペインによって滅ぼされるまで繁栄を極めたインカ・マヤ文明の実像に迫るシリーズで、1回目は、南米アンデスで栄えたインカ帝国と、帝国を支えたミイラ文化の謎を探りました。2000年余りにわたり、ミイラ文化を利用して巨大な帝国を築いた知られざるインカ文明の様子がよく分かりました。ただ、学術的に貴重な資料のミイラでしたが、生々しい映像もあり、若干の配慮がほしいと思いました。モニターのみなさんからは、「アンデスの村では今でもミイラが信仰されていて驚いた」などのご意見が寄せられました。
 NHKスペシャル「30代の“うつ”〜会社で何が起きているのか〜」(6月25日放送)は、働き盛りの30代に“うつ”が増え、多くの企業がその対策に頭を悩ませるなか、会社でいったい何が起きているのか、“うつ防止”キャンペーンに寄せられた視聴者のみなさんの声を交えて現状を探り、対策を考えた番組です。うつ病になった人や家族の苦しみ、企業の悩みを深く取材しており、今後も“うつ”対策に知恵を絞る企業の取り組みや人材活用を紹介してほしいと思いました。モニターのみなさんからは、「“うつ”の問題を組織的な課題として取り組み始めた会社は新鮮だった」などのご意見が寄せられました。
  次に、福祉ネットワーク「介護百人一首〜平成18年度入選作品より34」(6月27日、28日放送)についてです。
 去年の7月から10月にかけて、介護に関する短歌を募集したところ、視聴者のみなさんから5200首余りの応募をいただき、この中から100首を選んで「介護百人一首」としてまとめています。番組では、入選作のなかから、短歌に込められた介護に対する夫婦や親子の心温まる思いを紹介しました。今回は、5月に続いて2回目の放送でしたが、今後も、日々の介護の癒やしや励ましになる作品をたくさん紹介してほしいと思いました。モニターのみなさんからは、「介護の日々の中で、夫婦や家族のきずなの深さが印象的だった」などのご意見のほか、「短歌の専門家を加えて、歌の鑑賞をもう少し深めてほしかった」などの声も寄せられました。
 続いて、100年インタビュー「小沢昭一」(衛星ハイビジョン 6月28日放送)についてです。100年後の人々へメッセージを届けようというインタビュー番組で、“昭和のこころ”を伝える小沢昭一さんに坪倉アナウンサーが迫りました。物売りの口上やハーモニカ演奏を織り交ぜた楽しいインタビューになっていました。ただ、小沢さんの人生を年を追って振り返るだけでなく、幾つかの項目を深く掘り下げて“100年たっても色あせない”メッセージをもっと際立たせてほしかったと思います。モニターのみなさんからは、「小沢さんの話はとても魅力的で引き込まれていく90分だった」、「聞き手が上手に話を引き出していたが、視覚的に単調なのでなにか工夫がほしい」などのご意見が寄せられました。
 ハイビジョン特集「大阪 モラトリアム ブルース」(衛星ハイビジョン 7月9日放送)は、大阪の街で夢を実現しようと模索する若者たちを、オムニバス風に紹介しました。ナレーションはなく、テロップとインタビューで構成された挑戦的な番組でした。自分を信じて“夢”に向かう姿とそんな自分を冷静に見つめる今どきの若者気質をリズム感ある構成で描いていましたが、登場人物の数を絞り、もう少し若者たちの内面に迫ることができれば、よりいっそう共感をよんだのではないかと思います。モニターのみなさんからは、「青年たちを優しい目で見つめる視点が心地いい」などの声が寄せられました。
 最後に、森羅万遊「白川郷。」(衛星第2 7月11日放送)についてです。
 この番組は、日本の自然の魅力を再発見し、体感しようとするドキュメンタリーで、合掌造りで有名な世界遺産・白川郷の森を、地元の自然学校講師・加藤春喜さんが案内しました。春から初夏にかけての白川郷の自然の息吹を、ゆったりと体感することができる番組でした。番組の構成や案内人の設定などを工夫して、この番組らしいスタイルを打ち出していってほしいと思います。モニターのみなさんからは、「映像から自然のゆったりとした時間の流れが感じられ癒やされた」などの声が寄せられました。


(2)コンプライアンスの徹底に向けた「工程表」第1四半期報告
(コンプライアンス室)
 コンプライアンスの徹底に向けた「工程表」の第1四半期報告をします。
 コンプライアンスの徹底に向けた「工程表」は、今年の3月に経営委員会に提出したもので、具体的には、1役職員の意識改革に向けた取り組み、2真に実効性のあるコンプライアンス態勢の構築、3モニタリング態勢の強化について、四半期ごとにその進捗状況を経営委員会に報告することになっています。
 まず、1については、「役員と本部・地域放送局各職員との対話活動」を全国16部局で32回開催し、1,294名の職員が参加しました。この対話活動は通年の取り組みとして継続していきます。
 また、「職員意識調査(コンプライアンス・アンケート)の実施と施策への反映」として、18年度第2回のアンケート結果の概要を4月に部内周知するとともにコンプライアンス推進責任者に意見・提言を求めました。19年度第1回アンケートを4月下旬から約1か月間実施し、その結果を7月に部内に周知しました。この結果を踏まえ、今後、“更なるコミュニケーションの活性化”などに取り組んでいきます。
 「職種間、部門間の積極的な交流人事」を管理職異動期に実施したほか、社内公募により、技術、営業職場から記者、映像取材職場に数名が異動するなどの交流人事を進めました。
 6月に発生した職員の不祥事を受け、6月18日に「コンプライアンス推進責任推進者会議」を開催し、続く27日には、不正防止機能の強化施策の実施について周知・徹底を図りました。また、職員との緊急対話活動も実施し、個人面談による職員の状況把握などに努めました。また、関連団体でも同様の活動を実施しました。
 そのほか、「コンプライアンス研修」や「公金意識(受信料収納)研修」を新放送局長をはじめ、新管理職、新採用者などに実施し、コンプライアンス意識の充実を図りました。
 次に、2については、「“コンプライアンス月次点検”の実施」を7月から開始し、勤務・経費処理について、現場管理職によるモニタリング活動の強化を図っています。また、この“月次点検”に連動して、経理局、人事総務局、各部局の総務でもチェックを行い、ダブルチェック体制を整えています。
 また、不祥事の再発防止の徹底を図るための「経理処理施策の見直し」については、キャッシュレス化の推進のため、国内でのコーポレートカードの導入などの諸施策の今秋以降の実施に向け、準備作業を進めています。
 3については、「モニタリング機能の整理」として、内部統制推進プロジェクトを6月に発足させ、19年度から3年計画で機能整理と統制構築を行うことにしています。
 また、「モニタリング部門の体制強化、監査室の専門性の向上、不正発見機能の充実」として、平成19年度の管理職異動において、監査室に、取材現場第一線の管理職、若手管理職等を配置するとともに要員も増やすなどモニタリング機能の強化を図っています。また、内部監査士等の資格を計画的に取得させていくことにしています。そのほか、不正行為の抑制効果を高めるため、“抜き打ち監査”を不定期で実施しています。
 関連団体についても、関連団体のコンプライアンス推進のアクションプランに基づき、諸施策を進めています。
 なお、この内容は、本日開催される経営委員会に報告します。


(3)地方放送番組審議会委員の委嘱について
(原田専務理事)
 地方放送番組審議会委員の委嘱について報告します。
 関東甲信越地方で山田香織氏(盆栽家(彩花盆栽教室主宰))を平成19年11月1日付で、中部地方で石川好和氏(愛知県農業協同組合中央会専務理事)を平成19年10月1日付で、中国地方で黒瀬真一郎氏(学校法人広島女学院理事長)を平成20年2月1日付で、九州地方で野口好啓氏(佐賀県農業共同組合代表理事組合長)を平成19年9月1日付でそれぞれ新規に委嘱します。また、関東甲信越地方の今井裕久氏((株)サドヤ醸造場代表取締役社長)、近畿地方の佐藤友美子氏(サントリー次世代研究所部長)、九州地方の石丸美奈子氏(コピーライター、エッセイスト)、親泊一郎氏((社)沖縄雇用開発協会会長)、東北地方の結城登美雄氏(民族研究家・宮城教育大学講師)に平成19年9月1日付で再委嘱します。
 なお、関東甲信越地方の加村トク江氏(前(財)埼玉県国際交流協会専務理事)、中部地方の伊藤寿治氏(愛知県農業協同組合中央会常務理事)、中国地方の井野口慧子氏(詩人・広島県詩人協会副会長)、畑口實氏((財)広島市ひと・まちネットワーク常務理事)、九州地方の中島宏氏(陶芸家・日本工芸会理事)は任期満了により、19年8月31日付で退任されます。


以上で付議事項を終了した。
  
  上記のとおり確認した。
      平成19年8月28日
                     会 長  橋 本 元 一   

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