日本放送協会 理事会議事録  (平成18年12月11日開催分)
平成18年12月28日(木)公表

<会 議 の 名 称>
 理 事 会

<会  議  日  時>
 平成18年12月11日(月) 午前9時00分〜9時40分
<出   席   者>
 橋本会長、永井副会長、原田理事、畠山理事、小林理事、金田理事、
 中川理事、小野理事、衣奈理事、西山理事

 古閑監事

<場         所>
 放送センター 役員会議室

<議        事>
 橋本会長が開会を宣言し、議事に入った。


付議事項

1 審議事項
(1)平成19年度予算・事業計画における要員計画について
(2)平成19年度国内放送番組編集の基本計画について
(3)番組制作と展開をめぐる新しい仕組みの導入について
(4)平成19年度予算編成について〜平成19年度 予算編成要綱(案)〜

2 報告事項
(1)「業務委託契約要領」の一部改正について


議事経過

1 審議事項
(1)平成19年度予算・事業計画における要員計画について
(労務・人事室)
 平成19年度予算・事業計画における要員計画について審議をお願いします。
 NHKは、年度ごとに、収支予算、事業計画及び資金計画を作成し、総務大臣に提出することになっていますが、毎年の要員計画については、放送法施行規則第9条でそのなかに明記することと規定されています。
 NHKでは、18年度〜20年度の「3か年経営計画」のなかで、「3か年で全職員の10%にあたる1200人の職員を削減」することを視聴者のみなさまに約束しています。19年度は、その2年目として、395人を純減し、18年度に引き続き、業務や組織を抜本的に見直しつつ、スリムで活力のある体制を構築していきたいと考えています。
 なお、この純減により、19年度の予算人員は11,249人となります。

(会 長)  原案どおり決定します。

(2)平成19年度国内放送番組編集の基本計画について
(編成局)
 平成19年度国内放送番組編集の基本計画について審議をお願いします。
 まず、編集の基本方針についてです。
 メディアをめぐる環境が大きく変化するなか、NHKは改革をさらに推し進め、公共放送として視聴者の信頼に応えます。“いのち”と“暮らし”を守る情報を伝え、人々の心を癒し、人と人とのきずな、地域の連帯感を強めるなど、“NHKだからできる”放送を通して、放送の公共的役割を追求します。
 NHKの「3か年経営計画」の初年度である18年度は、改革1年目として、総合テレビの夜間に新しいニュース番組や多彩な番組をスタートさせ、編成を大幅に刷新しました。
 「ドキュメント北朝鮮」や「プラネットアース」などのNHKスペシャルの大型シリーズには大きな反響が寄せられ、大河ドラマや連続テレビ小説は多くの視聴者に楽しんでいただきました。若い世代が注目する番組も育ちはじめています。
 NHKが初めて取り組んだ“視聴者への約束”の外部評価によると、視聴者のみなさまは、多様で幅広い分野の番組やサービスを公共放送NHKに求めています。
 改革2年目となる19年度は、18年度の成果と課題を踏まえて、幅広い視聴者の多様な要望に応えるため、より多彩で充足感のある番組を地上、衛星、音声各波で編成します。
 この基本方針を踏まえ、編集の重点項目を9項目をあげています。1番目は「“あしたのテレビがここにある” 衛星放送の挑戦」です。NHKが世界に先駆けて衛星放送を開始して17年。衛星放送は地上波とは異なる魅力ある番組や編成で、BSデジタル放送の普及数は2000万を超えました。放送のデジタル化は急速に進み、地上波でもデジタルハイビジョン放送が標準になろうとしています。衛星3波は、多くの視聴者の期待に応えるよう、各波の個性をいっそう際立たせ、「あしたのテレビがここにある」をコンセプトに、編成を刷新します。2番目は「全国ネットワークを生かした地域放送の新たな展開」です。少子高齢化、若者の雇用、格差の拡大など、いま地域社会が抱える課題は、日本全体が解決を迫られている課題でもあります。19年度は、“地域応援”キャンペーンを展開し、NHKの全国の放送局のネットワークを生かして、各地域が直面する共通の問題を取り上げ、視聴者とともにその解決策を考える番組を、夜間の視聴好適時間帯に随時編成します。3番目は「幅広い視聴者の要望に応える多彩な番組」です。人々の価値観やライフスタイルが多様化するなか、映像5波と音声3波、それぞれの役割と個性を生かしながら、幅広い視聴者に満足していただける、多彩で質の高い番組の編成に努めます。4番目は「災害・緊急報道の強化とニュース番組の充実」です。“いのち”と“暮らし”を守る災害・緊急報道は、公共放送NHKの重要な使命であり、視聴者のみなさまからもっとも期待されている役割の一つです。その使命を果たし、期待に応えるために、災害・緊急報道の体制強化に努めます。地上、衛星、音声の各波が連携するとともに、データ放送やインターネットも効果的に使って、迅速・的確な情報を提供します。19年度に一般向けに提供される予定の「緊急地震速報」については、防災・減災に役立てるため、気象庁から発表があり次第、速やかに伝える体制を整えます。5番目は「時代の潮流をとらえ、見応えある大型シリーズ番組」です。時代の潮流をとらえるNHKスペシャルの大型シリーズは、アジアの“いま”に取り組みます。「激流中国」は、大量消費や環境問題、都市と農村の格差などの問題を抱え、社会や経済の大転換に直面する中国の姿を紹介します。平成17年に1年かけて中国の西安からアフガニスタン国境に近いカシュガルまで25年ぶりに再訪し、その変貌ぶりを伝えた「新シルクロード」は、第2部として、中央アジア、南ロシア、中近東を経てイスタンブールにいたる遥かな旅路をたどり、全踏破に挑みます。また、家族のきずなが揺らぐいま、「にっぽん家族の肖像」では、困難に立ち向かい、勇気をもってきずなを取り戻していく家族の姿をシリーズで描きます。ハイビジョン特集では、中国の世界遺産・敦煌莫高窟(とんこうばっこうくつ)の全貌を記録する番組や、世界遺産・法隆寺の金堂や釈迦三尊像など数々の国宝を、3年がかりで映像に収める番組に取り組みます。ドラマでは、日韓両国を舞台に、時代の波に翻弄されながらも、愛と希望を信じて生きた日本人女性の軌跡を、実話にもとづいて描く大型ドラマを放送します。また、近代国家の第一歩を記した明治という時代を描く、司馬遼太郎の代表作「坂の上の雲」のドラマ化は、21年度からの放送をめざして制作を開始します。平成19年は日中国交正常化35周年を迎えます。これを記念した特集番組の制作にも取り組みます。6番目は「視聴者とともにある“開かれた公共放送”の追求」です。NHKは、視聴者とともにある“開かれた公共放送”への取り組みを強化します。福祉、防災、環境、食料など、公共放送として取り組むべき分野で、さまざまな番組を年間を通じて放送します。たとえば、福祉分野では、19年度は、視聴者のみなさまの関心の高い「認知症」や「自殺防止」などをテーマに、視聴者とともに考え、つくる番組を、地上、衛星、音声などの波を超えて編成します。7番目は「次の世代を担う 子ども・青少年向け番組の充実」です。子どもや青少年をめぐるさまざまな問題があるなかで、教育テレビは19年度、次の世代をはぐくむ「子ども・青少年向け番組」の充実に取り組みます。たとえば、土曜夜間に、新たに青少年向けの番組ゾーンを設けます。“友達”“校則”“いじめ”などをテーマに、10代の若者たちが本音で語りあう番組や、職場の体験を通して働くことの魅力を発見していく番組、若者たちが憧れ、時代の先頭を走る人物を紹介し生き方の指針を与え、生きる力やたくましさをはぐくむ番組など、中学生から若者までの各世代に向けた番組を連続して編成します。8番目は「“人にやさしい放送”の充実」です。高齢者や障害者が、放送を通じて情報に接し、番組を楽しむことができるよう、デジタル技術を生かした“人にやさしい放送”を追求します。字幕放送はニュースやスポーツ中継番組、情報番組などの生放送番組でも積極的に取り組みます。9番目は「デジタル時代の新しい公共放送サービス」です。今月、すべての都道府県庁所在地で地上デジタル放送が始まり、高画質、データ放送、双方向番組などデジタル放送ならではのサービスが全国で受けられるようになりました。データ放送は、簡単なリモコンの操作で情報が入手できるメリットを生かして、災害や医療、スポーツなど、各地域のニーズに応じたきめ細かい情報の提供に努めます。平成19年夏には、地上デジタル放送の携帯端末向けの“ワンセグ”サービスの地域放送をすべての都道府県で始めます。また、新しいサービスであるデジタル放送について視聴者のみなさまのさまざまな疑問に答える広報番組を新設し、普及促進に努めます。また、NHKの豊富なアーカイブスも含め、インターネットを利用した番組視聴サービスの開発などにも取り組みます。
 最後に、以上の重点項目の実施にあたっては、限られた経営資源の効率的・効果的な活用に努めます。また、人材育成に努めるとともに、国内外の優れた制作者のざん新な発想や手法を取り入れ、創造的で活力に満ちた取材・制作体制を構築します。
 なお、本日、了承されれば、第1033回経営委員会に提出するとともに、第523回中央放送番組審議会に諮問することとしたいと思います。

(会 長)  原案を了承し、経営委員会に諮ることとします。


(3)番組制作と展開をめぐる新しい仕組みの導入について
(放送総局、総合企画室)
 先週の理事会で、番組制作と展開をめぐる新しい仕組みについて、報告しましたが、今回は、この新しい仕組みの導入について、整理し直しましたので、審議をお願いします。
 現在、放送番組などのコンテンツ展開をめぐり、国がコンテンツ産業育成を積極的に推進していること、コンテンツの制作プロダクションや展開会社はLLPなどの新たなスキームを使って、コンテンツの多角的展開に乗り出そうとしていること、NHKとしても外部制作番組の調達比率をより高めていく必要があること、これらを踏まえ、NHKとしては、制作プロダクションなどに対し、これまで以上に門戸を広げるとともに支援、貢献をしていきたいと考えています。
 具体的に、審議をお願いするのは2点です。
 ひとつは、NHKの番組編成で新たなスキームを活用するなどして、外部制作番組の予約購入枠を拡大し、一定量確保したいと考えています。もうひとつは、外部制作番組の質の確保とコンテンツ展開の支援のため、要請がありコンテンツの流通に資すると判断される場合は、職員の出向も含め、協力体制をとりたいと思います。
 また、この提案が決定されれば、以下の3点について、実務的に進めていきたいと思いますので、確認をお願いします。1点目は、制作プロダクションからの提案窓口は、従来どおり、編成局ソフト開発センターとし、そこで審議すること。2点目は、予約購入を一定量確保するため、NHK内の予算要求段階で数値を設定すること。3点目は、出向候補者については、放送総局内で人選すること。以上です。

(会 長)  原案どおり決定します。


(4)平成19年度予算編成について〜平成19年度 予算編成要綱(案)〜
(衣奈理事)
 平成19年度の予算編成要綱について審議をお願いします。
 予算編成要綱は、19年度予算編成方針および重点事項に基づき、収支予算の具体的な内容と予算額を取りまとめたものです。
 予算編成の考え方としては、19年度をNHKの「3か年経営計画」の2年目として、計画の達成を確実なものとし、次の事業運営につなげるための基盤を整備していく重要な年度と位置づけます。事業運営の基本となる放送サービスにおいては、放送の自主・自律を堅持し、緊急報道や質の高い番組等“NHKだからできる”放送を通して、社会に役立つ公共放送としての取り組みを強めます。同時に、デジタル技術を活用した新サービスの開発や新たな放送文化の創造に向けた放送技術の研究・開発、国際放送による世界へ向けた情報発信の強化に積極的に取り組みます。あわせて、NHKの主たる財源である受信料収入の回復にいっそう努め、より公平で合理的な受信料体系の確立に向けた改革を行います。また、それらと同時に、コンプライアンスの徹底とガバナンスの強化を図り、視聴者のみなさまの信頼を回復し、徹底した業務改革とスリム化を推進し、効果的・効率的な業務運営を行います。
 次に、事業収支についてです。事業収入は、今年度の受信料収入の見込みをできる限り見極めたうえで確定させたいと考えています。また、事業支出の各費目については、事業運営の重点事項を達成するために、必要な予算額を計上しています。
 また、資本収支については、建設費などの資本支出を自己資金および長期借入金によりまかなう予定です。

(会 長)  原案を了承し、経営委員会に諮ることとします。


2 報告事項
(1)「業務委託契約要領」の一部改正について
(経理局)
 「業務委託契約要領」の一部改正について報告します。
 NHKは、放送法第9条の3の規定に基づき、「業務委託基準」を定めています。この「業務委託基準」をもとに、「業務委託契約要領」および「業務委託費算定要領」を定めています。
 今回、競争契約を推進し、業務委託契約の公正性・透明性をさらに向上させるため、「業務委託契約要領」と「業務委託費算定要領」の一部を改正しました。「業務委託契約要領」は、受託者の選定について、「効率化に伴い移行した要員が、当該業務に従事している場合」は競争契約の原則を適用しない旨の規定を削除しました。また、「業務委託費算定要領」は、業務委託費の積算について、市場価格方式を原則とするように改め、関連する条文を見直しました。
 今年3月に閣議決定された「規制改革・民間開放推進3か年計画(再改定)」のなかで、NHKに関する改革について、(1)子会社の統廃合等、(2)外部取引における競争契約比率の向上、(3)受信料収入の支出使途の公表、(4)公共放送の在り方の検討 の4点が掲げられていました。このうちの(2)で、「業務委託契約要領」と「業務委託費算定要領」の改正について、具体的に指摘されていましたので、これに対応したことになります。
 なお、この改正は、平成19年1月から実施します。

以上で付議事項を終了した。
上記のとおり確認した。
      平成18年12月26日
                     会 長  橋 本 元 一   

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