日本放送協会 理事会議事録  (平成18年11月21日開催分)
平成18年12月8日(金)公表

<会 議 の 名 称>
 理 事 会

<会  議  日  時>
 平成18年11月21日(火) 午前9時00分〜9時25分

<出   席   者>
 橋本会長、永井副会長、原田理事、畠山理事、小林理事、金田理事、
 中川理事、小野理事、衣奈理事、石村理事、西山理事

 古閑監事、坂野監事

<場         所>
 放送センター 役員会議室

<議        事>
 橋本会長が開会を宣言し、議事に入った。


付議事項

1 審議事項

(1) 第1032回経営委員会付議事項について

2 報告事項

(1) 考査報告
(2) 平成18年度「NHK歳末たすけあい」「NHK海外たすけあい」
    の実施について


議事経過

1 審議事項

(1)第1032回経営委員会付議事項について
(秘書室)
 11月28日(火)に開催される第1032回経営委員会付議事項について審議をお願いします。
 付議事項は、審議事項として「平成19年度予算編成について〜平成19年度予算編成方針(案)〜」、報告事項として「地方放送番組審議会委員の委嘱について」と「平成18年度『NHK歳末たすけあい』『NHK海外たすけあい』の実施について」です。
そのほか、会長報告などを予定しています。

(会 長)  原案どおり決定します。


2 報告事項

(1)考査報告
(考査室)
 18年10月〜11月上旬に放送されたニュース・番組について、概要を報告します。
 まず、宇宙からのハイビジョン生中継についてです。NHKは11月15日、国際宇宙ステーションからハイビジョンによる生中継に世界で初めて成功し、宇宙飛行士の生活や地球の姿を鮮明な映像でとらえました。午後11時50分から50分間放送した「LIVE 宇宙ステーション」で、飛行士とスタジオが交信し、スタジオからの要望で飛行士が無重力状態で平泳ぎを実現したり、宇宙から見たアフリカの姿などを鮮明な画像で紹介したりするなど、宇宙開発への興味も満たしてくれたと思います。モニターのみなさんからは「ハラハラドキドキしながら楽しく見た」、「自分も乗り込んでいるような錯覚に陥るインパクトある映像だった」などの意見が寄せられ、ハイビジョンならではの臨場感のある映像がたいへん好評でした。
 それから、北海道佐呂間町で発生した竜巻のニュースについてです。竜巻は11月7日に発生し、倒れた建物の下敷きになるなどして9人が死亡、26人がけがをしました。北見放送局では竜巻発生からすぐに情報を入手、現場に急行し、現場の映像と携帯電話で写した写真や目撃証言をいち早く伝えました。「ニュースウオッチ9」では、当時佐呂間町付近で東側と西側の温度差が大きく、東西から吹き込んだ風がぶつかって激しい上昇気流ができ積乱雲が発生したため突風が発生した、と考えられるとCGを使って解説しました。モニターのみなさんからは、「被害現場の映像を見ただけで今回の竜巻の強さがうかがえた」、「竜巻がどのように動いたかについての分析・説明はよく分かった」などの意見が寄せられました。
 次に、“受験重視”により、高校で受験対策を理由に必修科目を教えていなかったニュースについてです。熊本県を除く全国46都道府県の高校で必修科目を教えず、卒業に必要な単位が足りない生徒が延べ11万人以上いることが10月下旬相次いで判明しました。11月2日、文部科学省は履修していなかった生徒への救済案をまとめました。このニュースについては、早い段階からNHKが全国のネットワークを駆使して独自に調査をし、その結果、文部科学省の調査発表よりも先んじて全国規模に広がっている実態の把握をし、その背景や影響を詳しく伝えました。モニターのみなさんからは「問題の背景や各地の未履修の実態、対応策がよくまとめていた」などの感想が寄せられました。
 続いて、臓器売買事件で手術を行った宇和島徳洲会病院で、今度は、病気の患者から摘出した腎臓を別の患者に移植していたことが明らかになったニュースについてです。11月3日の「NHKニュース おはよう日本」で、宇和島徳州会病院は、77件の生体腎移植のうち11件が病気患者から摘出されたものだったとの調査結果を明らかにしたと伝えました。執刀医の万波医師はNHKの取材に対し、「病気の臓器だと患者に十分説明したうえで、苦渋の判断を行った」と述べましたが、患者の同意書のないケースもありました。NHKでは、この病院以外にも香川県丸亀市、広島県呉市の病院でも“病気摘出”の腎臓移植が行われていたことを伝えています。モニターのみなさんからは「医師の倫理観や学会の指針などこの報道はいろいろ考えさせられた」、「事実関係だけでなく専門家の見解などを紹介してほしい」などの意見が寄せられています。今回の問題の全体像や移植の妥当性などを引き続き検証してほしいと思います。
 次に、岐阜県瑞浪市の中学校で中学2年の女子生徒が自殺したことについて、学校側が10月31日になって、いじめが自殺の原因だと認めたというニュースについてです。10月29日の昼の「ニュース」で、岐阜県の中学2年の女子生徒が10月23日に自宅で首をつって自殺し、遺書と見られるメモには運動部の同級生4人に向けて「これでお荷物が減るからね」などと書かれていたということを伝えました。その後、学校側の会見は、いじめと自殺の関係についてたびたび発言の内容が変わりましたが、31日になって最終的に、校長は「自殺につながるようないじめがあったのだろうと今は思っている」といじめと自殺に因果関係があったという見解を初めて示したことを伝えました。また、学校側が会見のたびに発言を変えたことや遺族の不信感などを丁寧に伝えました。モニターのみなさんからは「同級生4人の両親が謝罪した後の父親の会見から親の気持ちがよく伝わってきた。校長の態度が前日と一変した様子もよく分かった」などの感想が寄せられました。
 次に、10月22日の補欠選挙のニュースについてです。安倍政権発足後初の国政選挙となった衆議院神奈川16区と大阪9区の補欠選挙は、10月22日に投票が行われ、いずれも自民党の公認候補が当選しました。両選挙区ともに、当確の打ち出しを的確に行い、今後の影響をきちんと解説しました。
 次に、アメリカのラムズフェルド国防長官更迭のニュースについてです。11月8日にアメリカで中間選挙が行われ、中間選挙の開票速報を日本時間の8日、午前8時から刻々と状況を伝えました。午後2時の「ニュース」は10分まで延長し、民主党が12年ぶりに上下両院で過半数を制したことを伝えました。「民主党躍進の要因は、ブッシュ政権のイラク政策に国民がノーを突きつけたものと言える」とワシントンから中継で支局長が伝えました。この選挙結果を受けた動きとして、日本時間の午前3時9分、「ラムズフェルド国防長官辞任 ブッシュ大統領発表」とスーパーを速報するなどラムズフェルド国防長官の更迭を素早く伝えました。
 それから、新潟県警が11月2日、曽我ひとみさんの拉致事件で現場で指揮していたとみられる北朝鮮の女工作員の逮捕状を取り、国際手配したニュースについてです。NHKは午後2時33分「曽我ひとみさん拉致事件で、北朝鮮の女工作員に逮捕状」とスーパーを速報しました。3時の「ニュース」では、キム・ミョンスクと名乗っていた女に逮捕状を取ったことを伝えました。また、11月10日には、29年前鳥取県米子市で行方不明になった松本京子さんを拉致被害者に認定する動きを特ダネで伝えました。モニターのみなさんからは、「事件の具体的な内容をどんどん報道していくことが拉致問題を考える上で大きな助けになっていくと思う」などの感想が寄せられました。
 次に、いくつかの番組について報告します。
 まず、NHKスペシャル「ラストメッセージ」についてです。11月5日から3夜連続で、時代と格闘しながら、信念を貫き、命を燃やして生き抜いた先人たちの熱い思いを伝え、“大切なものは何か”を現代に問いかけた番組を放送しました。5日の「こどもたちへ 手塚治虫」は、“漫画の神様”手塚治虫が生涯を通して子どもたちに説き続けた「いのちの大切さ」について、講演のビデオを交えて描きました。“いじめ自殺”が相次ぎ、核が拡散する時代だけに、自ら命を削って子どもたちに「いのちの大切さ」を語りかける手塚さんの姿が感動的でした。6日の「核なき世界を 湯川秀樹」では、絶対悪の核はあくまで廃絶しなければならないと訴え続けた物理学者・湯川秀樹の言葉の重みを改めて痛感させられました。7日の「愛と怒りと 木下惠介」では、庶民に寄り添って映画を製作してきた映画監督・木下惠介の人生を通して、弱い者が切り捨てられ、強者の倫理に流されがちな現代社会に疑問を投げかけていました。モニターのみなさんからは、「こどもたちへ 手塚治虫」について、「最後の講演で語った『いのちの重さ』のメッセージが深く心に刻み込まれ、子どもにもぜひ見せたい、聞かせたいと思った」などの意見がたくさん寄せられました。
 次に、地域発 金曜特集「医師が足りない〜崩壊する地域医療体制〜」(10月13日 GTV 午後7:30〜8:45)についてです。全国各地で問題となっている「医師不足」について、各地域の抱える悩みや現状を報告し、解決への道筋を探りました。番組では、中継を交えて地域放送局が参加するという新しい形の「地域特集」を試みました。今回のNHKの調査では、法律で定められている医師の数を満たしている都道府県は一つもなく、全国的に医師不足が深刻なことがわかりました。地域の抱える深刻な医師不足の実態や住民の不安の声が、各放送局の丁寧な報告により、詳しく伝えられ、医療体制集約化の波紋を取り上げた「ETV特集」や、「日本の、これから」と併せて、医師不足を多角的に考える取り組みとなりました。モニターのみなさんからは「青森や広島など医師不足の現状が丁寧な取材でよく理解できた。次々に医師が減っていく深刻さに衝撃を受けた」、「近所にある総合病院も来月から小児科が廃止されることが決まり不安を感じている。医師を地域に派遣する義務化も考えてほしい」などの意見が寄せられています。
 それから、生活ほっとモーニング「借金苦による自殺〜解決の糸口を探る〜」(11月1日放送)についてです。番組では、借金苦による自殺の背景を見つめ、解決の糸口を探りました。日本人の自殺者は8年連続で年間3万人を超えました。そのうち借金など経済的理由で自殺した人は、去年7700人余りで、これは15年前と比べ6倍に上っています。多重債務者が抱えるヤミ金融やローン地獄への対策について実例を通して、説明しました。また、問題を抱え込まずに「助けてください」と声を出し、家族や周囲の人などに相談することが解決の糸口になることを伝えました。モニターのみなさんからは「借金による自殺について、現況や解決策が具体的に取り上げられ、とても参考になった」などの感想が寄せられました。
 ETVワイド ともにいきる「いじめを考えよう〜特集・金曜かきこみTV〜」(11月4日 ETV 午後7:00〜9:00「NHK手話ニュース」を除く)についてです。いじめによる小学生や中学生の自殺が相次ぎ、大きな社会問題になっているなか、「金曜かきこみTV」のインターネット掲示板に寄せられた子どもたちの声をもとに、生放送でいじめについて考えた番組です。番組の前半では、子どもたちから寄せられた2000件を超える声にじっと耳を傾けました。後半の議論のなかで、「いじめられる側も悪い」という意見に対して、ゲストの1人が「いじめる方が絶対に悪い」と発言するなど活発な議論が行われました。モニターのみなさんからは、「解決策や答えを求めるのではなく、『まず、子どもたちの声を聴くことから始めよう』という番組のスタンスに好感が持てた」などの感想が寄せられました。「金曜かきこみTV」に送られているメールが整理されて伝えられ、いじめの実態と深刻な様子がよくわかりましたが、生放送中に子どもたちや親から寄せられた声に対し、ゲストのアドバイスをもう少し聞かせてほしいといった印象も残りました。
 次に、ハイビジョン特集「奇跡のエンターテインメント 国宝『信貴山縁起絵巻』の大宇宙」(11月3日 BShi 午後8:00〜9:50)についてです。京都放送局が制作しました。奈良県・信貴山朝護孫子寺(しぎさんちょうごそんしじ)の由来を描いた平安時代末期の国宝「信貴山縁起絵巻」は全3巻、36メートルに及びます。小さな鉢が米倉を持ち上げて空を飛ぶなど奇想天外なファンタジーが展開します。マンガ・コラムニストの夏目房之介さん、美術家・森村泰昌さん、女優・白石加代子さんの3人が、「信貴山縁起絵巻」の世界を探りました。
 第1巻「飛倉(とびくら)の巻」では、夏目さんが登場人物の視線の謎に迫り、第2巻「延喜加持の巻」では、森村さんが童子に変身し、第3巻「尼公(あまぎみ)の巻」では、白石さんが尼公にふんし旅路をたどりました。拡大した絵巻を使っての分析、童子になりきる体感シーンなど、各巻それぞれに工夫を凝らした演出が試みられ、絵巻の世界が生き生きと再現されていました。研究者による歴史的な分析も加えられ、見応えのある番組でした。モニターのみなさんからは「とにかく楽しくてすばらしかった。めったに目にすることができない貴重な絵物語の世界に浸れ感動で胸がいっぱいになった」、「これまで絵巻物にあまり関心がなかったが、意外に面白く最後まで興味深くみることができた。CGや音楽を駆使した演出が成功していたと思う」などの意見が寄せられ、たいへん好評でした。
 最後に、スーパーカメラ・ドキュメント「サッカー新ボール 軌道の謎に迫る」(11月10日 BShi 午後8:00〜8:45)についてです。肉眼で見られない瞬間を“スーパーカメラ”がとらえ、その実写映像でさまざまな謎を解明する番組です。今回はドイツワールドカップで登場した新ボールの動きの謎を探りました。この大会で新たに開発されたボールは反発力が一定でコントロールしやすいことから、このボールの“無回転シュート”の動きが注目されました。たとえば、日本VSブラジル戦で、ブラジルのジュニーニョ選手のシュートをゴールキーパー川口選手は捕れませんでした。川口選手は、「視線からボールが一瞬消えてゴールしていた」と語りました。ボールの軌道が実際に変化する様子を高速度撮影でとらえ、肉眼で判別できない“ボールの動き”を工夫した実写映像は鮮明で迫力がありましたが、ボールが一瞬消えたように思うと川口選手が話した謎を解き明かす場面も見たかったと思います。また、カメラや撮影法を紹介した案内役の説明はVTRと重複することが多かったので一工夫してほしかったと思います。モニターのみなさんからは、「コマ数が増えると目でとらえられない現象も見ることができ、感動した。わずかな空気の流れの違いが、ボールの動きを左右することが分かった」などの意見が寄せられました。


(2)平成18年度「NHK歳末たすけあい」「NHK海外たすけあい」
   の実施について
 平成18年度「NHK歳末たすけあい」「NHK海外たすけあい」の実施について報告します。
 NHKでは、公共放送として社会福祉の向上と国際相互理解の促進を目的として、NHK厚生文化事業団とともに「NHK歳末たすけあい」を中央共同募金会と、また、「NHK海外たすけあい」を日本赤十字社とそれぞれ共催で実施し、みなさまからの義援金を募ります。義援金は、12月1日(金)から12月25日(月)まで、NHK各放送局、共同募金会、日本赤十字社、全国の郵便局、取り扱い標示のある金融機関などで受け付けることにしています。
 NHKでは、すべての人がともに生きる社会をめざして、NHKハート展、NHKハート・ストリートをはじめとした福祉キャンペーン「NHKハート・プロジェクト」を実施しています。「NHK歳末たすけあい」「NHK海外たすけあい」はその中核事業として、さまざまな番組やイベント会場で「たすけあい」への協力を呼びかけ支援の輪を広げたいと考えています。
 「NHK歳末たすけあい」の義援金は、中央共同募金会を通じて国内の援助を必要とする子どもたちや体の不自由な方に、そして介護を必要とするお年寄り、福祉施設などの支援へ、また「NHK海外たすけあい」の義援金は、日本赤十字社を通じて、世界各地の紛争や自然災害などに苦しむ人、たとえば干ばつに苦しむアフリカへの食糧支援や、インドネシアのスマトラやジャワの災害復興支援などに使われます。
 「たすけあい」の関連番組として、11月25日午後2時から総合テレビで「あなたのやさしさを2006」を生放送します。また、12月1日午前8時12分から、総合テレビでNHK会長のあいさつを放送します。(同日午後9時55分から衛星第2でも放送します。)そのほか、「たすけあい」についての歴史や義援金の使われ方についてのミニ番組、著名人などによる義援金の呼びかけのスポットも放送し、視聴者のみなさんへご協力を呼びかけます。
 12月1日には「たすけあいどーもくんデー」として「どーもくん」のスポットを集中的に編成するとともに、どーもくんが渋谷駅ハチ公前の街頭で募金を呼びかけることにしています。
 なお、来年の2月上旬に実施結果をNHKホームページなどで公表する予定です。


以上で付議事項を終了した。

上記のとおり確認した。
      平成18年12月5日
                     会 長  橋 本 元 一   

戻る

Copyright NHK (Japan Broadcasting Corporation) All rights reserved. 許可なく転載を禁じます。