日本放送協会 理事会議事録  (平成18年 7月25日開催分)
平成18年 8月25日(金)公表

<会 議 の 名 称>
 理 事 会

<会  議  日  時>
 平成18年 7月25日(火) 午前9時00分〜10時05分

<出   席   者>
 橋本会長、永井副会長、原田理事、畠山理事、小林理事、中川理事、
 衣奈理事、石村理事、西山理事

 古閑監事、坂野監事

<場         所>
 放送センター 役員会議室

<議        事>
 橋本会長が開会を宣言し、議事に入った。

付議事項

1 審議事項

(1)平成18年度の“約束”について

(2)平成19年度のラジオ国際放送について

2 報告事項

(1)監査結果報告

(2)地方放送番組審議会委員の委嘱・解嘱について

(3)会計検査院法第27条に基づく報告書の提出について

(4)平成18年6月のCS向上活動報告


議事経過

1 審議事項

(1)平成18年度の“約束”について
(総合企画室)
 平成18年度の“約束”について審議をお願いします。
 NHKは昨年5月、改革の重要な柱のひとつとして、事業運営の目標
とする“約束”を公表し、その達成状況を、外部の専門家からなる「“約
束”評価委員会」に視聴者の視点から評価していただき、それに基づい
て事業運営を改善する仕組み(PDCAサイクル)を導入しました。
 17年度の“約束”については、今年の6月に評価結果をいただき、
その結果を真しに受け止め、特に厳しい評価となった点を中心に、事業
運営の改善に努めていくことにしています。評価を通じて、視聴者のみ
なさんが、創造性、信頼性などを公共放送の価値として期待していただ
いていることが明らかになりました。これらを公共放送の追求すべき価
値であると改めて認識し、改革を進めてその向上を図るため、18年度
も6項目の柱立てをしていきたいと考えています。
 この“約束”は平成19年3月期決算(5月末公表予定)までを評価
対象とします。
 なお、了承が得られれば、本日開催の経営委員会に諮りたいと思いま
す。そこで決定されれば、直ちにNHKホームページ等で公表したいと
考えています。

(副会長)  6月に“約束”評価委員会から17年度の評価結果をい
      ただき、改善すべき点を指摘されましたが、18年度の
      “約束”には、そうした指摘が反映されていると考えてい
      いですか。
(総合企画室)“約束”及びその評価は、事業運営を改善する仕組み
      (PDCAサイクル)であり、18年度の“約束”の策定
      にあたっては、“約束”評価委員会の評価結果を踏まえまし
      た。また、“約束”に反映するだけでなく、これから策定を
      進める来年度の「収支予算・事業計画及び資金計画」に的
      確に反映させていくことが重要だと認識しています。
(衣奈理事) “約束”の評価は、CVM(仮想市場価値法)調査など
      のように視聴者のみなさんが、NHKや番組などに対して
      どのように考えあるいは感じているかを評価いただくもの
      と、決算時に業務の達成状況が数値として明らかになるも
      のと2種類があると言えると思います。決算で評価できる
      ようなものについては、毎年、業務結果をまとめている「業
      務報告書」や「決算書」の記載のしかたを、評価を意識し
      た形に改めるよう検討すべきだと思います。
(原田理事) 19年度の“約束”の公表時期はいつごろになりますか。
(総合企画室)決算が確定するのが5月末です。“約束”評価委員会はそ
      の決算も踏まえて評価しますので、その結果報告は6月に
      ならざるを得ません。この評価を踏まえたうえで、改善す
      べきものは改善し、目標を設定していくのが業績評価の考
      え方ですので、一般的にはこの評価が出た後に“約束”を
      作成することになるかと思います。
(小林理事) 決算を公表する段階で、間髪を入れずに“約束”評価を
      いただくことはできないですか。
(中川理事) NHKは決算の速報値を事前に出していますので、決算
      公表の時期を目標に“約束”評価の報告をしていただくこ
      とをお願いすることは可能だと思います。
(会 長)  さきほどの2種類の評価のうち、視聴者のみなさんのN
      HKに対して感じていることなどの評価については、決算
      時より前に中間報告をいただければ、新年度の放送に生か
      せることもあると思います。
(総合企画室)一般的な感覚として、7月に“約束”を発表するのは遅
      いという印象があるとすれば、たとえば、評価結果につい
      て、中間報告がいただけるかどうか“約束”評価委員会の
      委員の方々に相談するなどして、“約束”の発表を早めるこ
      とを検討してみたいと思います。
(会 長)  19年度の“約束”の公表については、そのタイミング
      を検討してもらいたいと思います。18年度の“約束”に
      ついては、基本的に原案を了承し、経営委員会に諮りたい
      と思います。

(2)平成19年度のラジオ国際放送について
(国際放送局)
 平成19年度のラジオ国際放送について審議をお願いします。
 短波によるラジオ国際放送は、放送通信技術の多様化でその有効性が
低下しています。このため、世界の主要国際放送とも、使用言語を大幅
に削減するなどサービスを縮小し、より有効性の高いテレビ国際放送等
に移行しています。
 NHKラジオ国際放送は、現在22の言語により1日あわせて65時
間実施していますが、3か年経営計画で、「世界各地の聴取実態などを踏
まえつつ、地域に応じた効果的効率的な情報発信を進めるため、送信地
域の見直し」を検討し、テレビ国際放送の拡充を目指すこととしました。
 限られた“資源”を再編成し、より効率的なラジオ国際放送を構築す
るため、平成19年度「国際放送の放送番組編集の基本計画」に向けて、
次のような施策を準備したいと考えています。

○テレビ国際放送の拡充に併せてラジオ国際放送の送信地域、送信言語
 の見直しを行います。
○北米、ハワイ、欧州向け(ロシア語を除く)送信を廃止します。
○イタリア語、ドイツ語、スウェーデン語、マレー語の4言語を廃止し
 ます。
○フランス語はアフリカ向けに、スペイン語は中南米に、それぞれ送信
 地域を限定します。
○アラビア語放送の時間拡大を検討します。
○言語サービスは、そのときどきの状況に合わせて、弾力的に見直して
  いきます。

 これらの項目については、7月開催された国際放送番組審議会でも早
期に実施すべきであるという意見で一致しており、「平成19年度国際放
送の放送番組編集の基本計画」の策定に向け準備を進めたいと考えてい
ます。実施時期は、平成19年度の後期からにしたいと思います。
 なお、本日、了承されれば、経営委員会に諮りたいと思います。

(会 長)  原案どおり経営委員会に諮ることにします。


2 報告事項

(1)監査結果報告
(監査室)
 東北の6放送局の監査結果の概要について報告します。監査は5月、
6月に実施しました。
 17年10月、東北の6放送局は「NHK東北 わたしたちの決意と約
束」を公表しました。視聴者に信頼され、親しまれる放送局を目指す決
意を示し、「地域の視点に立った番組作り」「地上デジタル放送の円滑な
実施と普及」「視聴者との結びつきの強化」「受信料の公平負担」「効率
的で適正な業務運営」の5項目を約束しました。「決意と約束」のリーフ
レットを5万部作成し、域内各局や県内の全市町村長などに送ったほか、
「ふれあいミーティング」やイベントの会場で配布して、NHKの信頼
回復に役立てています。
 地上デジタル放送は、17年12月1日から東北6局で一斉に始まり
ました。
 次に各放送局の概況についてです。
 仙台放送局は、夕方の地域情報番組「てれまさむね」で地震の備えや
課題を多角的に検証する“シリーズ防災”のコーナーを設け、1年間放
送するなど宮城県沖地震に備えて防災情報を積極的に提供しています。
また、18年度、金曜夜にブロック放送の3番組を新設し、年間合わせ
て20本の制作を予定しています。「こんぱす 東北の課題」(午後7:
30〜8:43)では、東北が抱える課題の解決への道筋を探り、「なっ
トク!古今東北」(午後8:00〜8:43)は東北の自然や歴史・文化を
見つめ直す番組と位置づけています。「ワンダフル東北」(午後8:00
〜8:43)では、お祭等のイベントや紀行番組を中心に編成することに
しています。 
 秋田放送局は、“平成18年豪雪”に、全局体制で取り組み、テレビ、
ラジオ、ホームページ、データ放送を使って大雪情報、防災・減災情報
や県民を励ますメッセージを放送しました。また、年間の自殺者が全国
で最も多い現状を踏まえ、11月に「あきたスペシャル 自殺を防ぐため
に」や「てれびこまち」(午後5:10〜6:00)でも11月末から1
週間、自殺防止キャンペーンを展開しました。18年5月、藤里町で小
学生が殺害された事件では、家宅捜索や容疑者逮捕などを他社に先んじ
て報道しました。この事件では、取材陣が容疑者の実家前に殺到するメ
ディアスクラムが発生しましたが、NHKも加入している秋田報道懇話
会では取材自粛の申し合わせを行い、一部のメディア除いて、地元報道
機関は容疑者逮捕まで節度ある取材に努めました。
 山形放送局では、17年12月の「JR羽越線脱線事故」では、猛吹
雪の中、現場の映像をいち早く伝え、事故発生から13日後には事故原
因を探る番組を東北ブロックで放送しました。また、18年度は、17
年度に原則第1金曜日の午後7時30分から9本放送していた「クロー
ズアップ山形」を継続するとともに、第3金曜日に山形の食文化を描く
「食の天・地・人」を年間9本放送し、金曜夜の地域番組の放送回数を
倍増することとし、視聴好適時間帯での視聴者サービスの充実を図って
います。 
 盛岡放送局では、午後6時台の「おばんです いわて」で、三陸沿岸の
津波対策、医師不足、市町村合併などの課題を企画ニュースで定期的に
放送し、ブロック放送「クローズアップ東北」などに展開しました。
18年度、岩手の課題と未来を考える大型番組「岩手の、これから」(金
曜午後7:30〜8:43)を新設し、年間3本の制作を予定しています。
4月に「求められる人づくり〜いっしょに考えませんか、岩手の教育」
を放送し、視聴者からは今の教育に足りない点を考えさせられたと好評
でした。
 福島放送局は、午後5時30分からの地域放送番組「はま☆なか☆あ
いづ みんなのテレビ」を視聴者参加の公開番組としたほか、新会館に開
設した番組公開ライブラリーを休日も利用できるようにするなど、視聴
者との結びつきの一層の強化を図っています。ライブラリーの利用者は
17年7月末から18年6月末までの11か月余りで13,000人を
超え、川口アーカイブス、大阪放送局に次いで全国3位となっています。
 青森放送局は、慢性的な医師不足について継続取材し、「クローズアッ
プ現代 産科医が足りない」の制作に参加し、地域の産科医が減ったた
め、子どもを産みづらい深刻な実態を報告しました。夕方の地域情報番
組は、18年度から「あっぷるワイド」(午後5:30〜7:00)の統一
タイトルで放送し、「原子力」や「東北新幹線」などの長期的な課題を伝
えています。
 また、仙台放送局で域内各放送局との映像素材交換の回線使用時間を
短縮するなど、各放送局とも経費節減等の業務改革にも努めています。
 最後に、コンプライアンス活動と適正経理の取り組みについて報告し
ます。
 青森放送局では、青森県の男女共同参画課の職員を講師に招き、セク
シャルハラスメントに関する研修会を開催しました。また、各放送局と
も、公金意識の徹底を図るなど適正経理についての研修を行っています。
 証ひょう類の調査では、タクシー券の使用目的の記入漏れなどが見ら
れましたので、タクシー券の正確な記載の徹底を要望しています。出張
報告書で宿泊期間の記載が漏れている手書き領収書や出張報告書の提出
の遅延が見られましたので、改善を要望しています。

(2)地方放送番組審議会委員の委嘱・解嘱について
(原田理事)
 地方放送番組審議会委員の委嘱・解嘱について報告します。
 近畿地方で建畠晢氏(国立国際美術館館長)と成川守彦氏(和歌山県病
院協会会長)を平成18年9月1日付で新規委嘱します。中部地方で、
同日付で岡本知彦氏(潟iベヤ代表取締役社長)を新規委嘱するととも
に、網中政機氏(名城大学法学部教授)に再委嘱します。中国地方で、
田中征二郎氏(李白酒造(有)代表取締役社長)に同日付で新規委嘱します。
また、中部地方の神谷達氏(中日新聞社取締役)は本人の申し出により、
18年7月31日付で解嘱します。
 なお、中部地方の平光明彦氏(岐阜県ミュージアムひだ館長)、中国地
方の鞁嶋弘明氏(島根県八束郡東出雲町教育長)は任期満了により18
年8月31日付で退任されます。また、近畿地方の中田力氏(白浜観光協
会会長)、蓑豊氏(大阪市立美術館館長)は任期満了により18年9月1
0日付で退任されます。  

(3)会計検査院法第27条に基づく報告書の提出について
(衣奈理事)
 会計検査院法第27条に基づく報告書の提出について報告します。
 会計に関係のある犯罪が発覚したときなどには、会計検査院に報告書
を提出することになっていますが、「チーフ・プロデュサーによる架空出
張等にかかわる事項」について、経営委員会へ報告後、会計検査院長に
提出します。損害額は19,959,846円で全額弁済済みです。

(4)平成18年6月のCS(お客さま満足)向上活動報告
(視聴者総局)
 平成18年6月のCS向上活動について報告します。
 6月は、ふれあいミーティングを全国で167回実施し、参加者は
2,823人でした。参加者は4月〜6月の累計で前年度を上回ってい
ます。
 次に、主なふれあいミーティングの実施事例を報告します。
 本部では、「科学大好き土よう塾」公開スペシャル観覧者の親子のみな
さんやホームページで公募したイメージアップドラマ「エル・ポポラッ
チ」ミーティング(オフ会)に参加したみなさんと実施しました。また、
地域放送局では、甲府放送局で、山梨県小中学校教育研究会視聴覚部会
の先生方と、津放送局では鈴鹿国際交流会館での「2006FIFAワ
ールドカップ」パブリック・ビューイングに参加していただいた鈴鹿市
サッカー協会やボランティア団体のみなさんと実施しました。
 視聴者コールセンターで受け付けた6月の視聴者意向の件数は
103,120件でした。
 次に、視聴者のみなさまの声などを生かして改善を行った件数は、
6月は本部で2件、地方で25件の合わせて27件でした。
 本部の主な改善実施事例を報告します。
 番組を途中から見た視聴者から「放送終了の際に、再放送予定のテロ
ップを流してほしい」という声がありました。そこで、再放送の問い合
わせの多い番組のうち、当面、「その時 歴史が動いた」、「ためしてガッ
テン」、「きよしとこの夜」について、再放送日時をEPGやNHKホー
ムページに記載している番組表にあらかじめ表記するよう改善しました。
 次に、地方での改善実施事例です。
 津放送局では、ローカルの天気予報で「明日の風と波」の情報を放送
していました。しかし、6月2日に志摩市で実施したふれあいミーティ
ングで漁業関係者を中心とする利用者から当日の情報の方がありがたい
という要望が寄せられました。そこで、6月19日から、お昼前の情報
番組で「今日の風と波の高さ」を、夕方の情報番組で「明日の風と波の
高さ」を放送するように改めました。あわせて、3時間後ごとの天気の
変化を示す予報画面を新設し、視聴者からわかりやすいと好評を得てい
ます。
 続いて、各局の「満足度向上」の取り組みについて報告します。
 サッカーのワールドカップドイツ大会の「パブリック・ビューイング
(生中継)」を全国22の放送局で行いました。日本戦のパブリック・ビ
ューイングイベントを6月12日、18日、22日の3日間、17か所
で開催し、16,868人が参加しました。各局の受信公開コーナーでの
観戦者も含めると69,225人が参加し、地元のサッカー関係者を招い
てトークや解説を行うなどの企画もあり、参加者からは「NHKならで
はのイベント、すばらしい機会だった」等の感謝の声が多く寄せられま
した。
 また、金沢放送局では、視聴覚教育・放送教育の研修会等で、NHK
に対し、県内小中学校の授業への協力を望む声が数多くあり、職員を講
師として派遣する「出前授業」を開始しました。これまで、ディレクタ
ーによる「番組作りの企画の立て方、取材時に注意すること」やアナウ
ンサーによる「インタビュー名人になろう」の講義を実施し、200人
近くが参加し好評でした。
 6月に特に好評な意見が集中した番組は、ためしてガッテン「ラクラ
ク改善!ひざ痛最新対策」(6月7日放送)、NHKスペシャル「“好きな
ものだけ食べたい”〜小さな食卓の大きな変化〜」(6月4日放送)、「シ
リーズ・変貌する日米同盟」(6月8〜9日放送)、クローズアップ現代
「教師が辞めていく・悩める現場・問われる力量」(6月21日放送)、
生活ほっとモーニング「命の授業をもう一度」(6月14日放送)、BS
まるごと大全集「永遠の歌姫 美空ひばり」(6月17日放送)などでし
た。

上記のとおり確認した。
  
      平成18年 8月22日
                     会 長  橋 本 元 一   

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