日本放送協会 理事会議事録(平成18年 4月18日開催分) 
平成18年 5月10日(水)公表

<会 議 の 名 称> 
  理 事 会 
<会  議  日  時>
 平成18年 4月18日(火) 午前9時00分〜9時50分

<出   席   者>
橋本会長、永井副会長、原田理事、畠山理事、小林理事、中川理事、
小野理事、衣奈理事、石村理事、西山理事

古閑監事、坂野監事

<場         所>
放送センター 役員会議室

<議        事>
 橋本会長が開会を宣言し、議事に入った。

付議事項

1 審議事項

(1)第1018回経営委員会付議事項について

(2)国際放送番組審議会委員の解嘱について

(3)旧岡山放送会館 土地および建物の売却について

2 報告事項

(1)考査報告

(2)地方放送番組審議会委員の委嘱について

(3)平成17年度営業活動結果

(4)平成17年度の法務業務の概況について


3 その他
 監事からの意見(スポーツ報道センター・元チーフプロデューサーの 
 カラ出張の発覚について)

議事経過

1 審議事項

(1)第1018回経営委員会付議事項について
(秘書室)
 4月25日(火)に開催される第1018回経営委員会付議事項につ
いて審議をお願いします。
 付議事項は、議決事項として「旧岡山放送会館 土地および建物の売
却について」、報告事項として、「海外総支局業務体制の再編成につい
て」、「地方放送番組審議会委員の委嘱について」、「国際放送番組審
議会委員の解嘱について」、「平成17年度営業活動結果について」、
「平成17年度決算の速報値」です。

(会 長)  原案どおり決定します。

(2)国際放送番組審議会委員の解嘱について
(石村理事)
 国際放送番組審議会委員の解嘱について審議をお願いします。
 羽根田勝夫氏(株式会社日本航空インターナショナル常任顧問)ご本
人から委員を退任したいとの申し出がありましたので、NHKとしては
これを受けて18年4月30日付で解嘱をしたいと思います。
 なお、現在、国際放送番組審議会委員は定数を満たしていますので、
後任の委嘱はすぐには行いません。

(会 長)  原案どおり決定します。

(3)旧岡山放送会館 土地および建物の売却について
(経理局)
 旧岡山放送会館の土地および建物の売却について審議をお願いします。
 旧岡山放送会館は老朽化が著しく、また、平成12年4月以降、岡山
市から、市が計画する岡山駅西口の「駅元町再開発事業地区」への移転
要請を受けて、移転整備に係る岡山市との基本協定書に基づき協議を続
けてきました。このたび引渡条件について合意に至りましたので、岡山
市に売却したいと思います。
 売却方法について、協議の結果、土地と建物を一体で売却することと
なります。鑑定評価機関の評価を参考に市と合意した売却価額は、1億
3,900万円です。
 なお、岡山の新放送会館は、昨年の8月に移転整備し、運用を開始し
ています。
 本日、この議案が決定されれば、第1018回経営委員会で諮ってい
ただきます。

 (会 長)  原案を経営委員会に諮ることにします。

2 報告事項

(1)考査報告
(考査室)
 18年3月〜4月上旬に放送されたニュース・番組について、特に新
年度に新しく始まった総合テレビの番組を中心に概要を報告します。
 まず、4月4日(火)の「ニュース7」は、環境省が平成16年度ま
での5年間に行った契約について、競争相手がいない場合などに限って
例外として認められている随意契約が93%を占め、競争入札は7%し
かなかったと伝えました。
 環境省は当初、取材に対して「問題はない」としていましたが、その
後、事務次官は改める必要があるとして契約の進め方に問題があったこ
とを認めました。
 次に新番組の「ニュースウオッチ9」について報告します。
 NHKがお願いしているモニターの方々から「ニュースウオッチ9」
について150件の意見等をいただきました。これを考査室で整理、分
析しました。
 「ニュースウオッチ9」は、「視聴者の“疑問や関心にこだわり”本音
で伝えるニュース番組」、「サイドストーリーを分厚く取材し“視聴者が
納得し共感できる”ニュース」、「内外のネットワークを活用し“ワール
ドワイドで視野の広い”ニュース」をめざしています。
 視聴者のみなさんには、おおむね好評ですが、モニターのみなさんか
らの意見も含めて、評価できる点と改善すべき点を紹介します。
 まず、評価できる点についてです。番組の全体的な構成について、社
会的に関心の高いニュースを多角的にたっぷり伝えているということや自
分の言葉でニュースを伝えているということが挙げられます。たとえば、
偽メール問題で執行部が総退陣した民主党の新代表に4月7日(金)、小
沢一郎前副代表が選出された当日、小沢新代表がスタジオに生出演し、
NHKの政治部長も加わる新しいスタイルでインタビューしました。た
っぷりと丁寧に、しかも柳澤キャスターや政治部長が自分の言葉でわか
りやすく伝えていました。
 キャスターについては、柳澤、伊東両キャスターともに人柄の良さを
感じさせる話し方と笑顔で、親しみを感じ、好感がもてるという視聴者
のみなさんの声が多く寄せられています。また、気象キャスターの平井
信行さんも非常に好感をもたれています。
 また、スタジオについては、明るい雰囲気になったというプラス評価
があります。
 次に改善すべきだと思われる点について報告します。
 全体的な構成について、「今日伝える全体の目次が明確ではない」、
「特集の放送時間をスーパーなどで知らせてほしい」、「つなぎの一言、
ニュースとニュースの間の橋渡し、インターミッション等でもう少しめ
りはりを出したらどうか」というモニターからの意見があります。確か
に、ニュースから次のニュースに移るときのめりはりが当初、はっきり
しませんでしたが、日を追うごとに改善されてきています。
 また、中継時のスタジオと取材現地とのやりとりなどにもう少し工夫
が必要ではないかと思います。たとえば、4月10日のパキスタン地震
についての現地からの中継時に、現地の記者のリポートに対して、両キ
ャスターが同時に割り込んで混乱した印象を与えたことがありました。 
 中継時などのやりとりについて、もう少し綿密な事前の打合せをすれ
ば、こうした混乱は防ぐことができると思います。
 また、「ですます調」と「である調」といった話し方について、やや統
一感がないように思います。基本的に、キャスター、リポーターは「で
すます調」で話しています。ただし、ニュースの重要項目の読みは「で
ある調」、ニュースダイジェストの読みは「ですます調」と両方が混在し
ています。視聴者から違和感があるという意見も寄せられていますので、
わかりやすく整理した方が良いと思います。
 キャスターについては、それぞれの持ち味や役割が十分発揮されてい
ないという声があります。
 柳澤キャスターは、海外のネットワークを活用し、ワールドワイドで、
視野の広いニュースをわかりやすく解説するという役割が期待されてい
ます。まだ、そうしたニュースがないということもありますが、もう少
し彼の持ち味を引き出すような演出上の工夫があってもいいのではない
かと思います。
 また、両キャスターの役割についても演出上も含めて、やや混乱した
印象を受けます。柳澤キャスター、伊東キャスターそれぞれの位置づけ
と役割分担についても、再度確認しておくべきだと思います。
 スタートして、2週間あまりですが、改善すべき点は改善して、基幹
ニュースとして定着を図ってほしいと思います。
 次に「純情きらり」について報告します。
 18年度前期の連続テレビ小説「純情きらり」が始まりました。物語
は昭和の初め、女性が自由に生きられなかった時代から始まり、明るく
けなげなヒロイン・桜子を注目の若手女優として起用された宮アあおい
さんが期待に応えて、生き生きと演じています。昭和という時代の家族
や姉弟の関係が懐かしく描かれ、個性的な脇役達との間でどんなドラマ
が展開するのか大いに期待がもてると思います。また、竹下景子さんの
ナレーションもたいへん好評です。
 視聴者からは全体的に高い評価を受けています。
 続いて、好評な番組と改善が必要だと思われる番組について、いくつ
か紹介します。
 まず、好評な番組です。
 「ゆるやかナビゲーション ゆるナビ」(GTV 毎週水曜 午後1
1:00〜11:29)は、20代から40代の女性に向けての新番組
です。就寝前のひとときを、ゆったりとリラックスしながら過ごしても
らおうと、生活のちょっとしたノウハウやあこがれの女性の生き方など
のコンテンツをマガジン形式で伝える番組で、おおむね好評です。番組
の企画意図が視聴者のみなさんに十二分に伝わっていると思います。
 「ダーウィンが来た!生きもの新伝説」(GTV 毎週日曜 午後7:
30〜7:59)は、ダーウィンがさまざまな生物の生態を解明したよ
うに、スクープ映像を交えて“生きもの新伝説”を発掘していこうとす
るファミリー自然番組です。映像の醍醐味やCGキャラクターとの掛け
合いもわかりやすく、家族そろって見られる点など視聴者の満足度はか
なり高くなっています。
 「美の壺」(ETV 毎週金曜 午後10:00〜10:29)は、暮ら
しを彩ってきた陶磁器や盆栽、古民家などの美のアイテムの鑑賞法や見
分け方について、幾つかの“ツボ”に絞って解説する番組で、案内役の
谷啓さんの軽妙な進行と高橋美鈴アナウンサーの落ち着いた語りなどで
ゆっくり楽しめるという声が多く、たいへん好評です。
 一方、改善が必要だと思われる番組です。
 「家計診断 おすすめ悠々ライフ」(GTV 毎週土曜 9:00〜
9:30)は、暮らしの中の身近な問題を家計の視点で検証していく生
放送の情報番組です。毎回、スタジオには選択に迷う家族を招き、お笑
いコンビのおすすめ隊がそれぞれ“お得なプラン”を提案し、問題解決
のヒントにしてもらうのですが、もう少しおすすめ隊をうまく活用すれ
ば、もっといい番組になると思います。
 そのほか、「プライスの謎」(GTV 毎週火曜 午後10:30〜1
1:00)は物の値段の謎を解き明かすという番組のねらいが伝わりき
れていない点があると思いますし、「クイズ 日本の顔」(GTV 毎週
火曜 午後10:00〜10:30)は、クイズとしても、また、ある
人物像に迫るという点も少し中途半端なところがあります。ただ、それ
ぞれの司会者の中島知子さんとえなりかずきさんは好評です。それぞれ
課題を整理し、改善してほしいと思います。

(会 長)  新年度番組が始まったところなので、改善すべき点は早
      急に改善し、より良い放送につなげてほしいと思います。

(2)地方放送番組審議会委員の委嘱について
(原田理事)
 地方放送番組審議会委員の委嘱について報告します。
 関東甲信越地方は上原明氏(新潟商工会議所会頭)に再委嘱します。
中部地方は鈴山雅子氏(三重県男女共同参画センター所長)に、九州地
方は正野逸子氏(産業医科大学産業保健学部教授)、北海道地方は福居恵
美子氏(株式会社 福居製餡所代表取締役社長)、四国地方は小松正幸氏
(愛媛大学学長)に新規委嘱します。それぞれ18年5月1日付の委嘱
です。
 なお、中部地方の井村正勝氏(井村屋製菓 株式会社相談役)、九州地
方の高宮俊諦氏(株式会社 タカミヤ代表取締役社長)、北海道地方の小
菅正夫氏(旭川市旭山動物園園長)、四国地方の奥村武久氏(愛媛県観光
協会会長)については、それぞれ任期満了により18年4月30日付で
退任されます。

(3)平成17年度営業活動結果
(営業局)
 平成17年度営業活動結果について報告します。
 まず、放送受信契約の総数は、35万件の減少を見込んでいましたが、
さらにマイナス幅が大きくなる見込みです。ただし、新規契約等の締結
状況は、一昨年秋の不祥事発覚前と比べて、上半期は64%でしたが、
下半期は回復傾向となり、第6期(2月・3月)には80%を超える水
準まで回復する見込みです。また、衛星契約については、18万件の増
加を目指して取り組み、ほぼ確保できたのではないかと見ています。
 次に、支払い拒否・保留数は、下半期、新たに支払い拒否や保留する
方が減少し、支払い再開する方が増加したため、支払い拒否・保留数が、
第5期(12月・1月)には、不祥事発覚後初めて3万件減少し、第6
期(2月・3月)も速報段階ですが5.2万件の減少となっています。こ
れにより、17年度末の支払い拒否・保留数は119.8万件となる見込
みです。また、口座振替利用の中止件数についても不祥事発覚以前の水
準に戻りつつあります。
 なお、18年度活動では、引き続き信頼回復活動に努め、受信料をよ
り公平に負担していただけるよう全力で進めていく考えです。

(畠山理事) スポーツ報道センター・元チーフプロデューサーのカラ
      出張問題による受信料の支払い拒否などの影響は表れてい
      ますか。
(営業局)  視聴者のみなさまからは電話等で厳しい意見が寄せられ 
      ています。現時点では、支払い拒否数などの具体的な数値
      の把握はできていませんが、少なからず影響があるのでは
      ないかと危機感を持っています。引き続き、視聴者のみな
      さまの信頼回復に努め、営業活動をしていきます。 

(4)平成17年度の法務業務の概況について
(コンプライアンス(法令遵守)推進室)
 17年度の法務業務の概況について報告します。
 17年度のNHKをめぐる民事訴訟事件は、平成16年度からの継続 
が11件、17年度の新規提訴11件です。そのうち、17年度中に終
了したものが15件、18年度へ継続したものが7件です。
 また、17年度法務部への相談件数は全体で2,893件で、法務相談・
事前相談が各局に浸透していると思います。事前審査、契約書審査を法
務部に相談するようさらに各局に周知していきます。

3 その他

監事からの意見(スポーツ報道センター・元チーフプロデューサーのカ
ラ出張の発覚について)
(古閑監事)
 今回の不祥事に関連して一言申し上げます。
 一昨年の不祥事発覚以来、その再発を防止し、視聴者のみなさんの信
頼を回復するために、コンプライアンスの徹底に組織を挙げて取り組ん
でいる最中に、再びこのような職員による不正行為が明らかになったこ
とは、誠に遺憾です。
 特に、平成13年以来5年余りにわたり、このような行為がなされて
いたことについて、監事として、これまでの監査にあたり、コンプライ
アンスや適正経理の確保に留意し、意見を述べてきたところとは言え、
結果としてなお徹底を欠いたことに、改めて責任を痛感し、今後の監査
活動の充実に努めたいと考えています。
 会長以下執行部は、このような不正行為の根絶に向け、更なる防止策
の強化を図るとともに、コンプライアンスの徹底のために、組織の末端
に至るまで意識の浸透と不断の点検に努められるよう要請します。
 なお、本件に関する対外発表および政府・国会関係者への報告に際し、
事案発覚の経緯について正確性を欠いたことは、報道機関としての性格
に照らしても適切を欠くものであり、改めて、危機管理における説明責
任の的確な遂行に遺漏なきを期されるよう強く要請します。

(会 長)  厳粛に受け止め、対処していきます。

以上で付議事項を終了した。

上記のとおり確認した。
      平成18年 5月 2日
                     会 長  橋 本 元 一   

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