青少年と放送に関する専門家会合 NHK information
 
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2 社団法人日本民間放送連盟
(1999.6.16)
『青少年と放送』問題に関する
民放連の取り組み方針
 
 
1.青少年向け番組の充実
 
児童・青少年の健全な発育のために、今、放送事業者が出来ることは、児童・青少年が好んで見る番組の中で、「知識や理解力を高め、情操を豊かにする」作品を作ることだと思います。昔、大正時代には、「立川文庫」とか「少年倶楽部」という、楽しみながら人の生き方を説く作品がありました。テレビは、今、この役目を果たさなければならないと思います。この趣旨に則った作品を、少なくとも週3時間放送することを「民放連の申し合わせ」とし、その番組名を明示します。また、NHKと共同で、児童・青少年のためのスペシャル番組も、年2本程度作っていきたいと思います。
 
 
2.メディア・リテラシーの向上
 
諸外国で行われている「メディア・リテラシー運動」を参考にしながら、日本の風土に合った「メディア・リテラシー運動」に協力していきたいと思います。具体的には、児童・青少年に、テレビの持つ特性を把握し内容を的確に理解する能力と、自立した判断力を身につけてもらえるような番組を作ってみたいと思っています。また、この番組は、日本PTAなどの協力を得て、幅広い活用を図りたいと思います。
 
 
3.青少年と放送に関する調査等の推進
 
昨年、「テレビと児童・青少年に関する調査」を行いましたが、いろいろなことが分かって来ました。調査なくしては、何も有効な手が打てません。今後は、NHKと共に、放送業界として、3年ないし5年の長期にわたって、より高度な調査を、大学等の研究室(第三者の視点で)に頼み、実施したいと考えています。この調査で「テレビのどのような番組、どのような場面が、児童・青少年にどのような影響を与えるか」を調べてみたいと思います。
 
 
4.第三者機関等の活用
 
児童・青少年問題に特化しての第三者機関を作ることは、非常に難しい作業です。「専門家会合」でも、多様なご意見をいただきました。果たしてどのような「第三者機関」を作れば機能するのか、既存のこの種の機関との整合性が取れるか、「準備委員会」を設けて、じっくり研究してみないと結論の出せない問題だと思います。また、この機関は、民放連とNHKが力を合わせて作る放送事業者の自主機関であることが絶対条件です。その上で、この委員会の委員は、有識者、視聴者などで構成し、そこでの意見が公開されるような仕組みを作りたいと思います。
 
 
5.放送時間帯の配慮
 
「放送時間帯に応じ、児童および青少年の視聴に十分配慮する」ことは、「放送基準」(18条)にうたいましたが、特に、具体的に配慮する時間として、17時〜21時を決めたいと思います。昨年行った「民放連の視聴者調査」で、小5の生徒たちが、子供だけでテレビを見ているのは、17時から21時ごろに多いことが分かりました。ビデオ・リサ−チの個人視聴率でも、12歳以下の子供の視聴者構成比は、17時から上昇し21時を境に極端に落ちます。そのため、17時〜21時という時間を考えました。21時以降や休日には保護者の在宅率も高いので、「子供と一緒にテレビを見て、その内容に関して話し合ってもらうこと」を保護者の方々にお願いしたいと思います。「児童・青少年とテレビ」というこの問題に関しましては、保護者の協力なくしては、効果があがらないものと考えるからです。
 
 
6.番組に関する情報提供の充実
 
視聴者に番組内容を事前に知らせるということは、大切なことと思いますが、米国のような「レイティング」や「マ−ク付け」では、正確に番組内容の情報を伝えることが出来ません。米国の状況を見ましても、この方法が、実施上うまく機能していないようです。視聴者が混乱するばかりでなく、放送事業者、視聴者の双方に悪用されてしまう恐れもあります。もっと正確に番組内容が児童・青少年に適するかどうかを伝える方法を検討すべきだと考えています。必要に応じてスーパーインポーズや番組宣伝枠を活用するほか、インタ−ネットのホ−ムペ−ジを利用するのもいいと思いますし、「テレビ専門誌」が多く出版されていますので、そこに情報を掲載してもらうことも有効な手段です。現在、各放送局は番組の宣伝に力を入れていますので、そのような場で番組情報を紹介することが出来ると思います。さらに、放送がデジタル化すれば、番組情報は、より細かく伝えることが出来るようになると思います。

民放連「テレビと児童・青少年に関する調査」から
小学校5年生の時間帯別視聴状況(「一人で」+「子どもだけで」計)
月曜から金曜で翌日学校がある日


翌日学校が休みの日


学校が休みの日


毎60分平均個人視聴シェア
ビデオ・リサーチ 98年データ
(99.6.16)
 
 
在京民放テレビ各局の「青少年と放送」問題への取り組み
 
日本テレビ
○社内検討組織
[名  称]
テレビ番組に関するプロジェクト(98年7月〜)
[座  長]
編成局次長
[メンバー]
編成部長など編成局番組制作グループ7人、考査部長(幹事) など考査部員3人、視聴者サービス部長、営業推進部副部長、 マーケティング部員、報道局ニュース編集部長、広報部長 (計16人)

○検討・対応の状況
基本的な考え方
1. 実効性のあるものであること
2. 今後のテレビ文化の発展に寄与する前向きのものであること 現状の機能の拡充・強化(例えば放送基準の遵守、考査機能の強化等)を除き、新規に検討している項目は次のとおりである。
 ・ 現行の番組の点検
 ・ 番組内容の情報開示をどういう形で行うか
 ・ 青少年テレビモニター制度
 ・ 視聴者と制作者が直接対話するフォーラムの開催
 以上の項目について民放連の調査結果を十分に分析した上でより実効性のある方法を検討中である。
 検討すべき観点の一つとしてインターネットの活用を考えている。現在、高校生から小学生まで相当数の子供たちがインターネットを利用しており、学校教育の現場でもメディアを使った教育として急速に取り組みが進められている。これを視聴者とテレビの双方向のアクセスの場と位置付けることは可能である。青少年テレビモニター制度などはインターネットを利用した方が実効性があるのではないかと考えられる。

TBS
○社内検討組織
[名  称]
放送表現に関する検討会(98年3月〜)
[目  的]
暴力や性に関する表現が青少年に与える影響の問題、Vチップ導入問題や番 組の格付けについての情報収集と問題点の検討
[座  長]
編成考査局長
[メンバー]
編成考査局2名、編成部副部長、営業推進部長、審査部長、 広報部長、制作部副部長
現在までに14回会合。ここでの議論の動向や民放連での検討 状況については、節目ごとに幹部会で報告するほか、現場責任 者を集めた放送倫理委員会に報告し議論している。
○検討・対応の状況
・ 青少年への配慮について、社内的には新入社員教育・副部長セミナーなど各種セミナーの場で徹底を図ってきた。
・ 系列局については、地区別の番組審議会委員長会議や考査責任者の会合で報告し、議論してきたが、今月開催のJNNの考査会議でも青少年と放送をテーマにとりあげたほか、来月に沖縄で開かれる番審委員長会議でも議題に予定されている。
・ 報道局が、アメリカにおけるVチップの導入について取材し特集企画として放送した(「ニュースの森」)ほか、カナダでのメディア・リテラシー教育の現状を報告するため、最新情報を現地取材し、特集企画として放送した(「NEWS23」)。

フジテレビ
○社内検討組織
[名  称]
テレビメディア検討委員会(98年4月〜)
[目  的]
テレビの番組内容全般について社内で検討する組織。
[委 員 長]
副社長
[メンバー]
制作、報道、編成、生活情報、広報の各局長
○検討・対応の状況
・ 制作現場を中心に番組に関する諸問題、とりわけ青少年に対する配慮を中心に外部有識者を招き、研修会を開催した。
・ メディア検討委の下部機関として「テレビ表現のあり方に関する社内勉強会」を設置
・ フジテレビ・ファンクラブ(5万人)に調査モニターを設置。特に青少年のメンバーに番組内容に関する調査を行うべく準備中。
・ 「週刊フジテレビ批評」で青少年へのテレビの影響について検証した番組を放送。
・ その他、社内ガイドラインの検討、青少年向け番組の設定、番組の事前情報の明示方法など。

テレビ朝日
○社内検討組織
[名  称]
暴力表現等に関する問題検討プロジェクト(98年5月〜)
(97年8月発足の「Vチップ問題社内検討プロジェクト」を改称)
[検討事項]
テレビにおける暴力表現、性的表現の問題など
[座  長]
編成部長
[メンバー]
編成専任局長など編成部3名、制作センター2名、番組
審査部、総務部、業務部、マーケティング部、国際部、 広報部、情報センター、報道センター、ネットワーク部 各1名で構成
○検討・対応状況
・ 制作表現に関するガイドラインの制作・徹底
制作者のための実務的指針として44項目からなるガイドライン(小冊子) を作成、社内関係部署に配布し徹底化を図る。
・ ティーンズモニターの設置中
・高校生を対象とした約50人規模のモニター制度を新設。レポートおよび会議開催によって意見を吸収し、番組制作に反映させる。99年4月より開設、稼動。
・ 民放連放送倫理ブックレットによる社内セミナーの開催
民放連・放送基準審議会刊行の放送倫理ブックレット「児童・青少年」編を ベースとして社員向けセミナーを実施。
・ 青少年向け番組の編成
・ 番組情報の提供について

テレビ東京
○社内検討組織
[名  称]
青少年と放送番組に関する検討委員会(99年1月〜)
[委 員 長]
編成局長
[メンバー]
編成部長、考査部長、制作部長ほか計10名
○検討・対応状況
・ ガイドラインの作成
・ 青少年向け番組の放送
(地域密着型熱血サークル番組「勇気のメダル」を4月18日スタート、 日曜日10:30〜11:00、出演:加藤久、宇崎竜童ほか)
・ 番組事前情報の提供方法検討
・ 社内研修を通しての意識向上
・ チェックシステムの強化、放送人権委員会の活用

財団法人 民間放送教育協会
○テレビ朝日などの民放32社で構成する財団法人
○系列を超えた各局の協力により“放送を通じて教育への奉仕を志す”ことが目的
○業務
・ 家庭教育番組『親の目 子の目』(30分、年49回放送)などの教育関連番組を制作・放送
・ 年1回の民教協スペシャルの制作・放送
・ 海外教育放送事情調査
・ 全国4地区での研究協議会・全国大会

○「民教協スペシャル」の歴代作品
86年度「祖国へのはるかな旅 〜ある中国残留孤児の帰国〜」山口放送
87年度「最後の風景 〜青函連絡船〜」青森放送
88年度「北からの黒船 〜日本近代造船の夜明け〜」静岡放送
89年度「ミズーリ艦上の孤独 〜紙面に映す日米戦争〜」RKB毎日放送
90年度「シャッターが切れなかった2年間 〜あるイタリア人の昭和」
名古屋テレビ放送
91年度「女が描く女の肖像 〜日本・ポーランド」北海道放送
92年度「南緯8度のふれあいの旅 〜中3少女インドネシアを行く〜」テレビ朝日
93年度「教室の中から見たニッポン 〜日米の教育現場から〜」静岡放送
94年度「レイコ・心の旅路 〜日本の父に会いたい〜」
95年度「賢治先生 樺太へ行く」IBC岩手放送
96年度「20世紀大サーカス 〜サワダファミリー・国境のない旅〜」東北放送
97年度「12歳が描いた20世紀 〜ある小学校に残された1万枚の絵」北日本放送


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