わが国では、テレビ放送が始まって46年、日進月歩の技術革新の恩恵を受けながら、テレビ・メディアは高度情報化社会の実現に大きく貢献してきた。今や、国内はもとより世界中の多様な情報に誰もが瞬時に触れることが出来る時代となった。
テレビが、他のマスメディアと大きく異なる特性は、映像と音声による多彩な表現力にある。視聴者の視覚と聴覚に直接訴えることは、報道の分野は勿論、教育、教養、芸術、娯楽などのあらゆるジャンルにおいて、幅広い世代に大きな訴求力、影響力を発揮する。この、テレビならではの特性が、人々の社会的知見を高め、暮らしを豊かにし、情操を育むことにつながり、テレビはマスメディアの中でも特に高い支持を獲得している。
そうしたテレビの特性を考えるとき、心身ともに発達の途中にある子どもや青少年がテレビから受ける影響を、十分に配慮することが不可欠であると考える。とりわけ、暴力的表現や性についての扱いは、表現の自由を堅持するためにも、自らの責任において、熟慮と慎重さを銘記して対応すべきである。
公共放送NHKは、テレビ草創期から一貫して放送番組基準を遵守して、子どもや青少年の豊かな心を育み、心身の健全な発達に資する放送に努めてきた。時代とともに変容する青少年の社会環境や意識については、継続的な調査・研究を重ね、その結果を番組制作に反映させている。
今日、少年事件の多発や教育現場の混乱など、子どもや青少年の心の荒廃が叫ばれるなか、21世紀に向け次世代の担い手である子どもや青少年に夢と感動を与え、豊かな情操を育てる番組の制作・放送が重要な課題である。公共放送NHKは、この課題に対し、これまでにも増して、真剣かつ誠実に取り組んでいく。
以上の基本認識に立ち、NHKは公共放送として、青少年と放送の問題に対し、改めて以下の8項目の施策を掲げ、具体化を進めることとする。
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