放送制度等に関するNHK意見 NHK information
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平成19年10月23日
お知らせ
 NHKは、総務省「公平負担のための受信料体系の現状と課題に関する研究会」の「取りまとめ(案)」についての意見募集に対して、平成19年10月19日、別紙(PDF 351KB)のとおり意見を提出しました。
 NHK意見の概要は、以下のとおりです。
参照:総務省ホームページ(NHKサイトを離れます)
 
1.NHK意見の基本的なスタンス
 受信料は、NHKの公共放送事業の自律性・自主性を保障する財源であることから、NHKが、視聴者の皆さまのご意見によく耳を傾けながら、自律的・自主的に透明性を高め、広くご理解を得られる体系となるよう検討してきました。
 研究会におかれても、NHKが現在行っている方法を、最初から「見直すべき」という立場に立たれるのではなく、まずは精査したうえで、必要に応じて見直すという中立的な立場で検討されたものと考えますが、今回の「取りまとめ(案)」を拝見すると、結論の妥当性の確認が不十分であったり、現状認識が必ずしも正確でない箇所があるのではないか、との印象が拭えません。
 取りまとめ(案)で検討されている内容は、NHKの営業活動の実務そのものに関わるものでもありますので、より良き最終取りまとめになるようにとの観点から、以下の意見を申し上げます。

2 「取りまとめ(案)」に対するNHK意見のポイント

(1)契約率算定のための契約対象数推計の方法について 
ア.契約対象数推計方法の検討の意義(「取りまとめ(案)10ページ中段)
 「取りまとめ(案)」では、推計方法を当初から「見直す」とされていますが、現在の方法を「精査」したうえで、必要があれば見直しを行えばよいのではないかと考えます。

イ.公的統計利用の考え方(「取りまとめ(案)16ページ下段〜17ページ中段)
 「取りまとめ(案)」では、推計方法の設計にあたっては、より信頼性の高い公的統計を活用し、独自調査等はできる限り限定的に利用すべきとの記述がなされていますが、公的統計、独自調査を問わず、利用可能な手段の中から、目的に照らして最も信頼性が高く、かつ経費効果の高いものを選択すればよいのではないかと考えます。

ウ.世帯数の推計方法(「取りまとめ(案)17ページ中段〜20ページ上段)
 「取りまとめ(案)」では、NHKが現在行っている「国勢調査を推計の基礎とし、国立社会保障・人口問題研究所による『日本の世帯数の将来推計』により時期補正する方法」ではなく、「住民基本台帳のみを推計の基礎とする方法」または「国勢調査を推計の基礎とし、住民基本台帳により時期補正する方法」を取ることが母数の信頼性を高めることにつながるとされていますが、住民基本台帳は届出数の集計であるのに対し、国勢調査は調査員が現地で一軒一軒世帯を確認するため、国勢調査の方が、受信契約の基礎となる世帯を把握する点でより適していると考えています。
 このほか、住民基本台帳を利用する場合は、過去のデータとの連続性が失われたり、長期的な将来予測ができないなどの難点がありますので、上記の2つの方法以外に、「現在の推計方法をそのまま継続する方法」も、あわせて検討対象とされるよう要望します。

エ.事業所数の推計方法(「取りまとめ(案)21ページ中段〜22ページ中段)
 「取りまとめ(案)」では、ホテル・旅館のテレビ設置室数の推計方法として、「事業所・企業統計調査」とNHK独自調査を組み合わせた現在の推計方法よりも、旅館業法に基づく許可件数の積み上げである厚生労働省の「衛生行政報告例」の方がより信頼性が高いとされています。
 しかし、NHKで、X市、Y市(注)を例に旅館業法の許可を受けているホテル・旅館の存否調査を行ったところ、X市では2割以上、Y市では5割以上の施設が、すでに廃業しているなどの理由によりホテル・旅館としては存在していませんでした。
 〔(注)総務省に提出した正本では実名を記載しています。〕
 このため、「衛生行政報告例の方が信頼性がより高い」といった記述については、疑問を持つに至っていますので、本統計を利用すべきということであれば、その疑問を払拭いただきたいと考えます。なお、その疑問が払拭できれば、NHKとしても、本統計の使用を前向きに検討していきたいと考えます。

オ.その他(「取りまとめ(案)22ページ下段〜23ページ)
 NHKの行う独自調査については、これまでも常に見直しを行ってきましたが、今後、さらに外部専門家のアドバイスを受ける仕組みを導入することなどを検討していきます。
 また、受信契約の状況などの自主的な公表については、現在でも既に、月ごとの受信契約件数などの基本データを公表していますが、今後はホームページなどで、毎年度の受信契約状況を公表することも検討します。

(2)事業所等の半額割引について(「取りまとめ(案)30ページ〜32ページ)
 「取りまとめ(案)」では、NHKが今年2月に公表した事業所の半額程度の割引の検討について、公開ヒヤリングの場では、NHKから「十分な説明は行われなかった」との評価がなされています。しかし、NHKとしては、検討中の施策であるため、ご説明が難しい部分もあるなか、可能なかぎり誠実にお答えしたつもりです。
 今後、平成20年度の予算・事業計画の策定の過程で、事業所の半額程度の割引を導入することとなった場合には、その具体的内容と、受信料収入への影響や契約率の変化等の試算内容を明らかにしていくつもりです。
 また、受信料体系の改定に先だって、パブリックコメントなどの国民視聴者の意見を聴取する機会が設けられることが必要とのことですが、視聴者の皆さまのご意見を反映することが大切であることは十分認識しており、その具体的な実施方法について今後検討していきます。

(3)衛星受信料体系について(「取りまとめ(案)36ページ〜37ページ)
 「取りまとめ(案)」では、「三波共用受信機を保有しているが地上契約であった受信者が、衛星放送を受信できる共同アンテナを備えたマンションに入居した場合でも、引き続き衛星放送を受信していないという受信実態に変化がない場合は、従前の地上契約を継続することができるよう、受信規約の改正等の適切な措置が講じられるべき」とされていますが、衛星放送を受信できる設備を設置した場合に衛星受信契約の締結が必要となるという原則は、今後も変わらないと考えます。
 したがって、このような措置の導入は、原則に立ち返れば難しいものと考えますが、一方で、措置の対象として考えられている視聴者のご要望に実際にお応えすることができるのかどうか、NHKとしても、様々な観点からしっかりと検討していきたいと考えます。
 措置の対象とならない視聴者へのご説明、措置の要件の明確性と措置の正しい理解の促進などの課題があり、NHKとしては、今のところ、措置の導入について確たる見通しを持ち合わせてはいませんが、視聴者の皆さまに、受信料制度の意義をご理解いただくようお願いするとともに、衛星放送の魅力を高める不断の努力をしていかなければならないと考えています。

 
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