放送制度等に関するNHK意見 NHK information
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「特殊法人を対象とした情報公開法制」に関する意見
 
 NHKは、「特殊法人を対象とした情報公開法制」に関する政府の行政改革推進本部・特殊法人情報公開検討委員会のヒアリングに対し、平成11年11月24日、以下の意見を提出しました。
 
 
1.公共放送の役割と財源についての基本的考え方
○NHKは他の特殊法人と基本的性格を異にしている

(1)NHKは社団法人日本放送協会の一切の権利義務、財産を承継して放送法によって設立されたもので、国の出資や特定の出資は一切受けていない。
 NHKの使命は、国民を存立基盤とし、放送をあまねく全国に普及させ、国民の要望を満たす放送番組を放送し、文化水準の向上に寄与することである。
 NHKが特殊法人の一つと言われるのは、ただその設立にあたって当時の電気通 信大臣の任命する設立委員が設立行為にかかわる事務を処理したという経緯があるにとどまる。法人の設立行為にかかわる共通 性だけから一律に取り扱うのは適当ではない。

(2)放送は、国の事務の代行ではない。表現の自由にかかわる放送事業を行うことを目的としている点で、国の事務を代行するものとされる公団等とは一律に論ずることはできない。

(3)組織的にも財政的にも政府からの独立性が高い
 1.人事の独立性
 NHKの最高意思決定機関である経営委員会は、両議院の同意を得て内閣総理大臣が任命する12人の経営委員によって構成される。
 会長及び監事は経営委員会が任命し、副会長、理事は、経営委員会の同意を得て会長が任命する。

 2.財源の独立性
 国からの出資は全くない。財源は受信者が直接負担する受信料である。
 政府からの交付金については、放送法にもとづくラジオ国際放送の国の実施命令に関する部分と公職選挙法にもとづく政見・経歴放送に関する部分のみである。ラジオ国際放送に係る交付金の金額は毎年20億円程度であり、NHK全体の財政規模の0.3%程度に過ぎない。
 財政投融資は受けていない。

 3.行政府とのかかわり
 収支予算、事業計画および資金計画は、国会の承認を受けることになっている。郵政大臣はこれに意見を付すにとどまる。
 NHKに対する郵政大臣の一般的監督権はない。郵政省は、法令に規定される個々の権限の範囲内でしかNHKを監督できない。

 4.みなし公務員の規定はない
○NHKの情報公開の現状  受信料として財源を等しく直接に国民の負担に求める以上、重い説明責任があると認識している。このため「公開と参加」を重要な経営理念として掲げ、その一環として情報の提供・開示についても自主的かつ積極的に取り組んでいる。すなわち、放送法で決められた業務報告書や決算などの提供以外にも、さまざまな情報を放送、出版、インターネット等の多くのツールを通 じて提供している。
 国会における毎年度の予算、決算の審議の場で、さまざまな情報提供、情報開示に努めている。
 年間600万件にのぼる問い合わせや意見などに、内部的な基準にもとづいて真摯に対応している。
 さらに関連団体について、放送法で決められたこと以外にも内容の充実に努め、インターネットを通 して情報を提供している。

○開示請求権について
(1)紛争処理機関との関係
 開示請求権の対象となって紛争処理の過程で行政不服審査法や行政事件訴訟法の適用を受けることとなると、「NHKは行政機関である」と認識される。このことはNHKと国民視聴者との関係の根幹にかかわることである。
 また、国の情報公開法で定めた情報公開審査会のような不服審査機関が設置され、NHKがその対象となった場合、行政の一機関にNHKの事業運営に関与する権限を新たに付与することとなる恐れがあり、強い懸念を抱かざるを得ない。

(2)放送法との関係
 放送に関しては、放送関係法規によって統一して規制されており、そのベースにある重要な理念は、放送の自由の確保、それを担う放送機関の自主性の尊重である。
 放送機関に対する一般的な情報開示請求権を認めることは、こうした放送法制の理念を損なう危険性があり、放送関係法規を超えて法律上一般 的開示義務を課すことは行き過ぎである。

○NHKの自主性を尊重していただきたい
 NHKは、国の出資も受けず、その業務も国の行政機能との関連で特定の事業を担当するものでなく、報道、言論にかかわるマスメディアとしての放送事業である。他に例を見ない独特の法人であり、自主性、自律性が事業運営の要である。
 情報公開についてもNHKの自主性を尊重していただきたい。NHKでは自主的な情報公開について、国民視聴者の要望を聴きながら内容の一層の充実に向けて絶えず見直す方針である。当面 、経営委員会の議事録の公表に向けた準備に着手しているところである。また連結決算の手法について検討を進めている。
 国の情報公開法では、特殊法人の情報公開について、「その性格及び業務内容に応じ法制上の措置その他の必要な措置を講ずるものとする」とされている。「性格及び業務内容」に即した検討が進められることによって、NHKを特殊法人に対する情報公開の法的措置の対象外とされるよう要望する。
 
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