存在感増す「グローバル・サウス」 G7との連携強化目指す

「グローバル・サウス」とは、明確な定義はないものの、冷戦時代に「第三世界」と呼ばれていたアジアやアフリカ、中南米などの新興国や途上国を指すものです。ウクライナ情勢をめぐっては、ロシアによる軍事侵攻を支持しない一方、欧米などによる経済制裁には加わらないなど、欧米側にもロシア側にもつかず、中間的な立場をとる国が多いとされています。そして、欧米諸国とロシアなどとの対立が続くとともに、その経済規模が大きくなる中、近年、政治的にも、経済的にも、国際社会における存在感が増しています。

ことし1月には、その代表格とされ、G20=主要20か国の議長国を務めるインドが「グローバル・サウス」を対象にしたオンラインサミットを開催して125か国が参加し、その存在感を世界に示しました。一方、先月のG7外相会合で取りまとめた共同声明では、「グローバル・サウス」を念頭にウクライナ情勢を背景とした世界的な食料・エネルギー危機に影響を受ける国を支援することや、公正な開発金融を推進し、すべての国や機関に質の高いインフラ投資に関する国際的なルールを順守するよう求めることなどが盛り込まれています。

また、岸田総理大臣は、サミットを前に、大型連休の期間中に、エジプト、ガーナ、ケニア、モザンビークのアフリカ4か国を歴訪して首脳会談を行いました。そして、「グローバル・サウス」が直面する課題に耳を傾け、サミットでの議論に反映させたいという考えを強調しました。

今回のサミットには、インドに加え、ASEAN=東南アジア諸国連合の議長国を務めるインドネシア、南太平洋の国で「太平洋諸島フォーラム」の議長国・クック諸島、AU=アフリカ連合の議長国・コモロ、中南米最大の経済大国・ブラジル、経済成長が著しいベトナムの首脳などが招待されています。岸田総理大臣としては、今回のサミットでも「グローバル・サウス」と呼ばれる国々と、気候変動やエネルギー、食料の安定供給など地球規模の課題について意見を交わしたうえで、法の支配に基づく国際秩序の重要性などを共有し、G7との連携強化につなげたい考えです。