風疹の感染拡大を防ぐには、30代から50代の男性にワクチンの接種を促すことが課題となっています。こうした中、企業の間では、独自の制度で従業員にワクチンの接種を後押しする動きが出ています。
ことし7月以降、首都圏を中心に患者が増え続けている風疹は、子どものころにワクチンの接種の機会がなかった30代から50代の男性が感染の中心となっていますが、いわゆる「働き盛り」の世代にあたり、ワクチンの接種が十分に進んでいないことが課題となっています。
従業員のワクチン接種を後押ししようと、独自の対策をとる企業も出てきています。
インターネットを通じて独自のニュース配信などを行っている東京 千代田区の「バズフィードジャパン」は、この夏からワクチン接種1回分の費用を全額助成し、近くのクリニックと提携して勤務時間中の接種も認めることにしました。
すべての社員に希望を募ったところ、36人から申し込みがあったということです。
担当の小島聡子ディレクターは「風疹に関するニュースも配信しており、メディアとして自分たちの足元からワクチン接種の啓発活動を進めたい」と話していました。
IT大手の「ヤフー」は、前回、風疹が流行した5年前にワクチンを接種する費用の助成制度を設けました。
しかし、その後に入社し制度を知らない社員も増えたことから、今回改めて制度の利用を呼びかけたところ、これまでに83人が接種を受けたということです。
グッドコンディション推進部の小野寺麻未さんは「企業で助成があれば、『自分も対象なのか』と一歩関心が進むと思う。風疹が社内で流行することが決してないようにしたい」と話していました。
感染症に詳しい国立国際医療研究センター病院の大曲貴夫副院長は「5年前に大流行した際から30代から50代の男性のワクチン接種の必要性が言われていたにもかかわらず、進んでいないのが現実だ。企業の取り組みは効果が期待されるのでぜひ広がってほしい」と話しています。