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“アラフォー”に残る爪痕 リーマンショック10年

100年に1度のショックとも言われた2008年の金融危機、「リーマンショック」から10年。当時、経営に大きな打撃を受けた日本企業は雇用が維持できなくなり、多くの人が職を失いました。景気の緩やかな回復が続き、深刻な人手不足が叫ばれるようになった今、日本の雇用は、危機の影響をはねのけたのでしょうか?

当時は、非正規社員の雇い止めや派遣切り、正社員のリストラが社会問題化したんですよね。

発端はアメリカの投資銀行の経営破綻だったわけだけど、金融市場の危機が世界の実体経済に打撃を及ぼすスピードが、とにかく速かったの。“需要蒸発”ということばも使われた。

急激な業績悪化に見舞われた日本企業は、賃金カットや事業の見直しなどで乗り切ろうとしたけど、それでも追いつかなくて雇用調整を余儀なくされた。国内の失業率は、2009年7月には5.5%と過去最悪の水準に。

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年越し派遣村(東京)で配給を待つ人(2008年12月31日)

この時期の失業者の数は364万人と、リーマンショック前と比べて、100万人規模で増加したわ。

1年間で100万人!深刻さが分かりますね。今は逆に、人手不足が企業にとって大きな経営課題と言われていますよね。

国内の景気回復は5年を超え、失業率は直近で2.5%。「完全雇用」に近い状態と表現する人もいるわね。

ただ、増えているのは主に非正規雇用。働く人全体に占める非正規雇用の割合は増え続け、全体の37%になっている。

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人手不足を背景に女性や高齢者の労働参加率が上がっていることが大きく影響しているんだけど、忘れてはいけないのは、正社員になりたくてもかなわない、「不本意非正規」の人たちの存在。

雇用情勢の改善とともに年々減少しているとは言え、なお273万人もいる。

これだけ人手不足が言われていてもですか。ミスマッチが解消していないということなんですね…

もう1つ顕著なのが、今、ミドル世代の賃金が上がっていないこと。

働き盛りの40代の平均月収をみると、今の40代前半の層は、過去の世代と比べて賃金が減っているのがわかる。

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専門家によると、もともとこの世代は、1990年代後半の日本の金融危機の頃に就職活動をした世代。

希望する仕事に正社員として就けなかった人も多い。非正規やパートでなんとかしのいできて、景気回復でようやく手に職を得たと思ったら、30代前半でリーマンショックに見舞われることになった。

スキルアップが果たせないまま、転職を余儀なくされる人も多く、40代前半になっても全体として賃金が上がらないことになっているというの。

企業からみても、人手不足の中でほしいのは「若年層」「即戦力」。

固定費の高いミドル層には目が向かない…ということが起きている。

働き盛りなのにそれは厳しいですね。どうすればいいんでしょう?

企業が、スキルアップにつながる再教育に取り組む必要があるのは間違いない。

ただ、企業が社員教育に充てる費用は、リーマンショック以降、大きく落ち込み、その後、低い水準のまま。公的な支えも大事なのだと思うわ。

こうして見ていくと、一見して経済が回復しても、危機の爪痕は深く残っていることがわかる。

だからこそ、次の危機の芽はどこにあるのか。危機を防ぎ、食い止めるような手立ては十分備えられているのか。しっかりと考えておくことの大切さを感じるわね。