NEW2023年11月02日

定期預金金利が100倍に!金利がある世界は本格的に到来するか?

“金利のある世界”の本格的な到来を見据えた金融機関の動きが相次いでいます。「三菱UFJ銀行」は、このところの長期金利の上昇を踏まえ、11月6日から期間が5年以上の円の定期預金の金利を引き上げると発表しました。金利が100倍になるケースもあるとのことですがどういうことなのか。金融担当の篠田彩記者に聞きます。

これまでの金利が低すぎたということもあると思いますが金利が100倍になるってすごいですね。

そうですね。この銀行は、期間が5年以上の定期預金の金利を引き上げますが期間が10年の定期預金の場合、今の0.002%の金利が0.2%に上がるので、100倍ということになりますね。

そもそもこれまでは期間が5年から10年までの定期預金の金利を一律、0.002%に設定していました。

篠田彩記者
篠田彩記者

100万円を1年間預けると……利息はわずか20円、まさにすずめの涙といったところですね。

この超低金利の水準が改められるということになります。

▽期間が5年と6年の定期預金の金利は0.07%、▽7年と8年、それに9年の金利は0.1%、そして先ほど紹介したように▽10年の金利は0.2%にそれぞれ引き上げられます。

篠田彩記者
篠田彩記者

しばらくこのようなニュースは耳にしなかったけど、この銀行の場合、定期預金の金利を引き上げるのは久しぶりなんですか。

金利の引き上げはいずれの期間も2011年以来12年ぶりとなります。

異例の大規模緩和が長期化し、「金利は低い」というのが当たり前の時代が続きましたが、最大手の銀行が定期預金の金利を引き上げることで、“金利のある世界”の本格的な到来が見えてきたような気がしますね。

篠田彩記者
篠田彩記者

今回の金利の引き上げは、このところの長期金利の上昇を反映したものだとのことでしたがそもそもなぜこのような動きが出てきたのでしょうか。

日銀がことし7月にイールドカーブコントロールと呼ばれる金融政策の運用を柔軟化して長期金利の上限を引き上げたことをきっかけに国債の市場では長期金利の上昇が続いています。

今回の定期預金の金利の引き上げはこのところの長期金利の上昇を踏まえた対応です。

銀行としては金利の本格的な上昇を見据えて預金を確保するねらいがあります。

篠田彩記者
篠田彩記者

そういえば日銀は、最近も金融政策の運用を見直しましたね。

これも長期金利に影響しそうですか。

そうですね。日銀は、10月31日、長期金利の上限を1%に厳格に抑えるとしてきたこれまでの運用を改めて長期金利が1%を一定程度超えても容認することを決めました。

これによってさらに長期金利が上がってくるとこのほかの銀行の定期預金金利にも影響を及ぼす可能性があります。

篠田彩記者
篠田彩記者

“金利のある世界”も見えてきたとのことでしたが、このほかにどんな動きがありますか?

銀行では、三井住友信託銀行が三菱UFJ銀行に追随し、11月6日から期間が5年から8年の円の定期預金の金利を引き上げると発表しました。引き上げは16年ぶりです。

篠田彩記者
篠田彩記者

生命保険会社にも動きが見られます。住友生命は、個人年金保険の一部について契約者に約束する利回りである予定利率を10月から引き上げました。

保険料を分割して支払うタイプの保険商品で予定利率を引き上げるのは38年ぶりです。

また、明治安田生命は、子どもの将来の教育資金を積み立てる学資保険の予定利率をことし12月の契約分から引き上げることを決めました。

これらは契約者にとってもプラスになる見直しですがこのところの長期金利の上昇を受けて金融機関の間でこれまでの戦略を転換し商品の内容を見直す動きが相次いでいます。

篠田彩記者
篠田彩記者

私たちにとってもメリットのある見直しなら“金利のある世界”も歓迎できますね。

ただ、長期金利の上昇を受けて銀行などは住宅ローンの固定金利を相次いで引き上げているのでこれからお金を借りる人には負担が増す形になりますね。

いずれにしても“金利のある世界”が到来すると超低金利を前提に横並びのように展開していた金融機関のサービスが大きく変わる可能性があるわけです。

そうすると利用者の側にも、金融機関の信用力やサービスの内容、それにそのリスクを見極めて金融商品を利用するという姿勢が求められることになります。

篠田彩記者
篠田彩記者

なるほど。“金利のある世界”に備えるためにもお金や金融サービスのことをこれまで以上に学ぶ必要があるということですね。

この先、金利がどう動き、金融機関のサービスがどう変わって行くのかしっかり見ていきたいと思います。