インバウンド回復 課題は?
インバウンド需要の回復基調が、鮮明になっています。ただその一方で、課題も浮き彫りになっていて、新たな対策も進んでいます。観光をめぐる最新の動向について、井村丈思解説委員、教えて!
インバウンド需要は好調なの?
はい、回復基調が鮮明になっています。こちらのグラフをご覧ください。
観光庁によりますと、9月までの3か月間に、日本を訪れた外国人が国内で消費した金額は、速報値で1兆3904億円でした。
3か月間の消費額がこれまでで最も多かったのは、コロナ禍前の2019年4月から6月までの1兆2673億円でしたが、これを上回って過去最高となりました。
また、日本政府観光局の発表によりますと、先月、日本を訪れた外国人旅行者数は、推計で218万4300人と、コロナ禍前の2019年の同じ月の96%まで回復しました。
ただ観光業をめぐっては課題も指摘されていますね。
そうなんです。
その1つが人手不足です。
民間の調査会社の調べでは、「旅館・ホテル」での人手不足の企業の割合が、正社員・非正社員ともに7割前後に上り、業種別で2番目に高くなっています。
具体的な対策というのはあるのでしょうか?
業務の効率化で従業員の負担を軽減しようと、旅行業界を挙げた新たな取り組みが始まろうとしています。
それが、デジタルを活用した、宿泊施設の情報の「共有化」です。
どういう取り組みなの?
旅行サイトやパンフレットに載っている施設の設備やサービス、イベントのほか、災害時の営業面の情報などは、宿泊事業者が、多くの旅行会社に、それぞれ個別に伝えています。
この情報の更新の手間を省こうと、日本旅行業協会が、新たなシステムを導入します。
このシステムに宿泊施設の情報を1度登録すれば、旅行会社にその情報が共有され、個別の対応が不要になる仕組みで、早ければ10月下旬にも運用が始まります。
宿泊施設ごとの対応も進んでいるのでしょうか。
例えば北海道のホテルでは、人手不足の影響で夕食つきの宿泊プランの提供を制限しています。
また、愛媛県の宿泊施設では、年間30日以上の「休館日」を設け従業員も連休を取りやすくして、雇用を維持しようとしています。
他には、どんな課題がありますか?
旅行者が増え特定の観光地に集中することで、公共交通の混雑やゴミの散乱などの影響が出る懸念が強まっています。
「オーバーツーリズム」と呼ばれますが、政府はこれを防ぐための対応策を、18日まとめました。
鉄道で、混雑状況に応じた変動運賃を導入することや、混雑していない観光ルートや時間帯への誘導、私有地の立ち入りを防ぐ防犯カメラの設置の支援などを想定しています。
回復する旅行需要を取り込み、経済の活性化につなげることができるのか。
インバウンド需要の回復が鮮明となるなか、観光立国の復活に向けて次の一歩が重要な段階に来ています。
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