加工食品 運ばれ方に変化の兆し?
スーパーの棚に並ぶ、しょうゆ、カレールー、パスタ…。いずれも、生活に欠かせない加工食品です。これらの商品の配送をより効率的にしようと、スーパーの仕入れの慣習を見直そうという動きが始まっています。いったい何を変えようとしているの?その背景は?経済部で流通業界を取材している河崎眞子記者、教えて!
「仕入れの慣習を見直す」ということですが、具体的には、どんな内容なんですか?
3月、首都圏に店を展開する食品スーパーのライフコーポレーション、ヤオコー、マルエツ、サミットの4社が、そろって表明したのが、次のような内容です。
▽特売品や新商品の発注を納品日の6営業日前までに前倒し
▽定番商品の発注時間の前倒し
▽仕入れのときの賞味期限を「2分の1ルール」に統一など
「発注の前倒し」とありますが、どんなメリットがあるんですか?
小売側に早めに商品を発注してもらうことで、これまでは見込みで行っていたトラックの手配を、実績に基づいてできるようになります。このため、いざという時に備えてトラックを余分に確保しておく必要がなくなります。
物流業界では深刻な人手不足が続いていますから、配送業者にとっての負担軽減が期待されています。
賞味期限を「2分の1ルール」に統一する、とはどういうことですか?
そのためにはまず、「3分の1ルール」について説明しますね。
これは、「製造日から賞味期限まで最初の3分の1を過ぎた商品を、小売側が原則仕入れない」というルールを指します。
今回はそれを、2分の1に統一しようというんです。
「3分の1」から「2分の1」にすることが、なぜ配送の効率化につながるんですか?
「2分の1ルール」にすることで、メーカーから卸売業者、卸売業者から小売に対して出荷できる期間は長くなりますよね。
これによって、在庫の管理や配送の手配に余裕が生まれ、負担軽減につながることが期待されているんです。
なぜ今、加工食品の配送のあり方を見直そうという動きが出ているのですか?
物流業界では、来年4月からトラックドライバーの時間外労働の規制が強化されます。
これによって、業界全体で運ぶことができる荷物の量が減少することも懸念されています。最近ニュースでもよく耳にする「2024年問題」のことですね。
加工食品は賞味期限があることで、日用品などに比べると配送に関わる負担が大きい中、これまでの慣習を見直そうという機運が高まっているんです。
限られたトラックを、より効率的に活用することが求められているわけですね。
これまでも、加工食品を製造するメーカーや販売する小売業者が、それぞれ対策には乗り出しています。
食品メーカーでは、大手の味の素やハウス食品など6社が、2016年から共同で、北海道と九州で配送を行っています。
共同配送によって、トラック1台当たりの積載率を高めて、台数やドライバーの数の削減につなげようというねらいです。
配送するトラックの台数が減れば、より効率的に輸送ができそうです。
そうですね。また最近では、トラックによる納品時間を予約できるシステムを取り入れるスーパーなども出てきています。
加工食品の納品を行うトラックが、納品先の卸売業者の拠点やスーパーなどで順番待ちになるということは珍しいことではありません。
物流の効率化に向け、今後こうした取り組みが広がることも期待されています。
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