NEW2022年12月02日

“つながらない”携帯電話に不満?KDDIがマスクと提携

「人口カバー率99.9%!」
携帯電話はいまや全国どこでもつながるのが当たり前の時代になりましたよね。ところが、通信トラブルが頻発したり、災害時に障害が起きたり、“つながらない”ユーザーの不満が高まっているようにも。そこでKDDIが新たに始めたのがイーロン・マスク氏が手がける「スターリンク」という衛星通信サービスとの提携。どうしてそんなことを始めたの?情報通信担当の永田真澄記者、教えて!

「スターリンク」ってニュースで聞いたことがあるけど、何だっけ?

イーロン・マスク氏が率いるアメリカの宇宙開発企業、スペースXが手がける衛星通信網で、3000にのぼる人工衛星を打ち上げて地球全体をカバーする通信インフラです。

ロシアの軍事侵攻に対してウクライナ向けに無償提供したのが話題になりましたよね。

永田記者
永田記者

つまり、その衛星通信網を使ってKDDIが携帯電話をさらにつながるようにしたの?

そういうことだよ。

KDDIは「人口カバー率99.9%」を達成しているんだけど、離島や山間部では圏外のエリアが残っている。

それを解消するために、スターリンクを活用する運用を12月から始めたんです。

永田記者
永田記者

人口カバー率が100%にならなかったから、携帯電話会社はまさか、もう諦めていたのかとも思ったりしていたよ。

いやいや、そういうことではないんです。

山間部などそもそも電波が届きにくい地域では基地局までを光ケーブルで地道につなぐ整備を続けてきたんだよ。

それでも急な斜面などケーブルの敷設が難しいエリアが残っていて、圏外のままになっていたということなんです。

衛星通信を使って宇宙空間から電波をつなぐことでそうしたエリアもカバーしようと。

永田記者
永田記者

光ケーブルで基地局を結ぶ必要がなくなれば、基地局をもっと増やせるかもしれないね。

いい点に気がついたね。

直接、スターリンクと接続できればいいので、太陽光パネルで電力を確保する形で新たに基地局をつくる計画も進めているんです。

すでにある基地局の入れ替えも含めてスターリンクと接続する基地局を全国で1200か所整備する計画となっています。

永田記者
永田記者

なるほど。

がんばっていることはよくわかりました。

だけど、最近は通信トラブルが多い気がするし、台風など災害の時に障害が出ることもあるよね。

ふだんはきちんとつながっていても、そういう時につながらなければ、やっぱり困るかな。

それはそうだと思います。

なので、今回のスターリンクの活用は、そうした災害や障害の際にも、携帯電話がつながるようにすることも目指しているということでした。

永田記者
永田記者

ほかの携帯電話各社も、ちゃんと取り組んでいるのかな?

 NTTドコモは、人工衛星に加えて「HAPS(ハップス)」と呼ばれる高高度の成層圏を飛行する機体も組み合わせたネットワークを作る形で実用化を目指しています。

ソフトバンクも、HAPSのほか、スターリンクとは別の会社「ワンウェブ」の人工衛星ネットワークの活用を計画しています。

楽天モバイルは人工衛星からの電波を直接、スマートフォンで受信できるサービスを計画しているんです。

携帯電話はいまや生活に欠かせない大事なインフラ。

緊急通報など命に関わる場面でも頼りになる存在になっています。

いざというときに“つながらない”携帯電話にならないように、もう一段の取り組みに期待したいですね。

永田記者
永田記者