NEW2021年12月08日

住宅1戸に最大100万円 国の新たな支援制度とは

「人生で最も高い買い物」とされるマイホーム。その取得を、最大100万円を補助して後押しする国の新たな制度が設けられることになりました。12月8日の「ニュース シブ5時」で永野解説委員が解説しました。

阿部
アナ

最大100万円補助とは、どんな制度なんですか?

永野
解説委員

制度の名前は「こどもみらい住宅支援事業」です。政府の経済対策に盛り込まれ、今年度の補正予算案に必要経費として542億円が計上されています。

久保田
アナ

子育て世帯が関係してきますか?

永野
解説委員

そうなんです。対象となるのは、子育て世帯と若者夫婦世帯です。

子育て世帯は「18歳未満の子を持つ世帯」で、若者夫婦世帯は「夫婦いずれかが39歳以下の世帯」のことを言います。

この子育て世帯と若者夫婦世帯が、新築戸建てや新築マンションなどのうち、高い省エネ性能がある住宅を取得した場合に、省エネ性能に応じて1戸当たり最大100万円を補助します。

阿部
アナ

最大額の補助が受けられるのはどんな住宅なんですか?

永野
解説委員

キーワードは「ZEH」。
ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスの略で、“ゼッチ”と呼ばれています。

「実質、エネルギーがゼロの家」という意味で、政府が全国での普及を目指しているんです。

久保田
アナ

ゼッチ?

永野
解説委員

簡単に言いますと、▽壁や屋根などの断熱性、▽空調や給湯などの設備の効率性をいずれも大幅に高めた上で、▽太陽光などの再生可能エネルギーを活用しながら、使うエネルギーの量と仕入れるエネルギーの量が、差し引きで「実質ゼロ」になることを目指した住宅です。

阿部
アナ

省エネ性能が高い住宅のことなんですね。

永野
解説委員

そうです。また、▽ゼッチに次ぐ省エネ性能の「長期優良住宅」などは1戸当たり80万円、▽国の省エネ基準に適合する新築住宅は1戸当たり60万円を補助します。

久保田
アナ

いつからいつまでが対象ですか?

永野
解説委員

契約が11月26日から来年10月末までで、かつ、建築着工が来年10月末までです。なお、申請は、住宅を取得した人ではなく、工事や販売を担う事業者が行います。

事業者は来年1月中旬以降に国の登録を受ける必要があり、登録前に着工された物件は対象外だということです。

担当する国土交通省は、新築住宅で6万戸程度の利用を見込んでいますが、予算の都合上、早めに締め切ることもあるとしています。

阿部
アナ

制度を利用したいという子育て世帯や若い夫婦は多そうですね。

永野
解説委員

そうですよね。こうした制度を設ける背景には、子育て世帯などへの支援に加えて、「住宅分野の脱炭素化」を加速させようという狙いもあるんです。

阿部
アナ

どういうことですか?

永野
解説委員

政府は、温室効果ガスの排出を2050年までに全体としてゼロにする目標を掲げていますが、資源エネルギー庁によりますと、2020年度は国内で出る二酸化炭素のうち、戸建て住宅やマンションなどでの暮らしに伴う排出量が17.3%に上ったとされました。

ゼッチは、一般の住宅に比べて価格は高めですが、光熱費などは抑えられるとされています。

国土交通省は、新築住宅1戸当たり最大100万円の支援制度を通じて、エネルギーの消費量を削減できるゼッチを大きく増やしたい考えです。

久保田
アナ

すでに住宅を持っている人は対象外なんですか?

永野
解説委員

省エネ性能を高めるリフォームであれば対象になります。

子育て世帯や若者夫婦世帯は45万円を上限に、それ以外の世帯も30万円を上限に補助することになっています。

省エネのリフォームが前提なら、耐震改修やバリアフリー改修などをセットで行っても、補助の対象に含めるということです。

阿部
アナ

手厚い制度なんですね。

永野
解説委員

それだけに、国土交通省には、費用対効果も含め国民に丁寧に説明することが求められますし、制度の開始後、期待どおりの成果をあげることができているか、しっかり検証もしてもらいたいと思います。