“買い物弱者”対策 郵便局が切り札に?
近所にスーパーなどがなく、ふだんの買い物に困っている、「買い物弱者」と呼ばれる高齢者が増えています。こうした中、最寄りの郵便局が、対策の切り札になるかもしれないと注目されているそうです。11月10日の「ニュース シブ5時」で永野解説委員が解説しました。
阿部
アナ
「買い物弱者」とされる人たちって、どのくらいいるのですか?
永野
解説委員
農林水産省によりますと、その数は2015年時点で、実に824万人に上ると推計されています。
また、都市部も例外ではなく、東京など1都3県(神奈川・千葉・埼玉)では計198万人と、10年間で1.5倍余りに増えたとされたんです。
買い物弱者の人たちは、地域の高齢化などを背景に、このときからさらに増加しているとみられています。
久保田
アナ
そんなに多いんですね。でも郵便局がどう関係するんですか?
永野
解説委員
10月末、郵便局とコンビニを融合させた取り組みがスタートしたんです。
日本郵政と連携したのはファミリーマートで、埼玉県川越市にある郵便局のロビー内に新しい形態のコンビニをオープンさせました。食品、飲み物、日用品など、約350品目を販売しています。
ただ、実はこの店舗、店員がいないんです。
店内の天井にはカメラが、棚にはセンサーがそれぞれ設置されていて、客が手に取った商品を自動で認識。会計はセルフレジで済ませるという仕組みです。ちなみにレジは現金にも対応しているということです。
阿部
アナ
店内が完全に無人だと、商品の補充はどうするんですか?
永野
解説委員
補充は、近くの別の店舗から従業員が来て行うということです。
こうした無人店、コンビニ側にとっては、店の運営にあたって課題になる人手の確保や人件費の負担をなくすことができます。また、郵便局の一角を使いますので、一から店舗を立ち上げるより割安です。
このため、利益を出しにくかった地方、とりわけ過疎地にも出店がしやすくなるとされているんです。
久保田
アナ
郵便局側のメリットはなんでしょう?
永野
解説委員
日本郵政にとっても、郵便局の集客力の向上につながることが期待される上、コンビニからの家賃収入が得られることになります。
今回の新たな取り組みは、双方の思惑が一致して実現した形です。
全国には郵便局がおよそ2万4000あります。山間部も含めてネットワークを展開していて、地域の人たちの生活を支える存在です。
ファミリーマートとしては、川越市の1号店の売り上げなどを検証した上で、同様の無人決済型の店舗を、郵便局を含めて各地に広げたいとしています。
阿部
アナ
ほかのコンビニはどんな取り組みをしていますか?
永野
解説委員
セブン‐イレブンもローソンも、全国的に「移動販売車」の営業を行っています。1人暮らしの高齢者などを中心に、今後ニーズが高まるとみて、サービスを拡充していくことにしています。
久保田
アナ
郵便局内にコンビニがあったら便利そうですね。
永野
解説委員
そうですね。買い物弱者の課題を巡って、農林水産省が全国の自治体を対象に行ったアンケート調査では、回答を寄せたうちの85%にあたる1069の市町村が「何らかの対策が必要」としました。
ただ、「どのような対策をすべきか分からない」というところも、小規模な自治体を中心に少なくなかったということです。
今回始まった郵便局とコンビニ大手の取り組みが、少しでも社会の課題解決につながるよう期待したいと思います。
一方で、店員がいないと戸惑う高齢者はきっと多いでしょうから、こうした方への親切な対応もぜひお願いしたいですね。
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