Go Toトラベル 1か月でどうなった?

お得に旅行を楽しめる「Go Toトラベル」が始まって、8月22日で1か月を迎えます。この間、感染者の増加もありましたが、利用状況や今後の見通しはどうなっているのでしょうか?経済部の西園興起記者、教えてください。

観光業を助けようと始まった「Go Toトラベル」ですが、実際には、どれくらい使われたのでしょうか?

西園記者

まず、「旅行代金の割り引き」から始まりましたが、実は利用実績の全体像は、国や業界も十分にまとめきれていないので、把握は難しいんです。ただ、お盆休みを含む期間、新幹線や特急列車の利用者は去年の同じ時期の24%、国内の空の便も35%にとどまりました。遠くへの移動は控えた人が多いようです。

やはり、感染が心配だという人が多い?

西園記者

そうですね。Go Toトラベルが始まる直前、東京都が対象から外れたこと、その後、沖縄県など各地で感染者が増え、自治体が帰省や旅行を控えるよう呼びかける動きが広がった影響もあるでしょう。

1つ興味深いデータがあります。旅行検索サービスを手がける「atta」が、全国の宿泊施設の宿泊料金のデータを調べたところ、最近は宿泊料金が高い施設ほど、需要が伸びているという分析結果が出たんです。

せっかくの割り引きなので、ふだんより少しぜいたくな体験を楽しもうという人が多いのではないかと、この会社ではみています。

すると、高価格ではないホテルや旅館では「期待外れ」という受け止めですか?

西園記者

たしかに、思っていたより恩恵が少ないという声も聞かれますが、低価格帯のホテルも手探りの取り組みを続けています。

ある茨城県のホテルは、すべての宿泊客に「おすぼうさん」と銘打った棒を渡す取り組みを始めました。エレベーターのボタンなどを直接触れずに押せるようにして、感染の不安を和らげようという工夫です。

地元ゆかりの平安時代の豪族、平将門にまつわる史跡をめぐるオリジナルの地図付きの宿泊プランも始めました。

Go Toトラベルの利用が広がり、政策効果を高めるには、何が課題になりますか?

西園記者

まずは、事業への登録を広げることかと思います。割り引き対象になるために必要な登録を済ませた事業者は、旅行会社のおよそ60%、宿泊施設はほぼ半分にとどまっています。

観光庁は、今後も各地で説明会を開いて参加を呼びかけていくとしています。そして、何より、感染拡大の防止策を、どこまで浸透させられるかに尽きます。

観光庁は登録事業者を定期的に調査して対策をチェックし、有効な対策についての情報を共有する取り組みを進めています。

9月には、観光地のお店で使えるクーポンの発行も始まる見込みです。今後の感染状況を見通すことは難しいですが、まずは、拡大防止の地道な取り組みによって、消費者の安心感を高めることが重要です。