ウィズ・コロナの就活 みんなどうしてる?

来年春に卒業する学生の“就活”。緊急事態宣言が出された4月以降、対面での面接ができないとして、オンラインでの面接に切り替える企業が急増しています。

4月24日から30日にかけて就職情報大手マイナビが行った調査で「面接をオンラインで受けた」と回答した学生は94.6%に。

去年とは様変わりした新しい就活のスタイル、“就活生”の皆さんは、どう臨んでいるのでしょう。取材班の西村佑佳子記者に聞いてみます。

就活生の皆さんは、これまで対面での面接を前提に対策を練ってきたかと思うのですが、オンライン面接ならではの対策が必要になることもあるのでしょうか?

西村記者

1つは言わずもがなですが、インターネットがうまくつながる環境整備です。これは単に自宅にネットを引けばよい、ということではありません。

都内の大学に通う4年生の女子学生は、採用担当者1人と学生4人の集団面接をオンラインで受けた際、接続不良で自分の声だけ相手に伝わらず、やり取りが成立しなくなってしまったと言います。あとで面接をやり直したということですが、その後、この女子学生は接続環境を改善しようと、机といすを新たに買って、無線LANのルーターの近くに置き直したそうです。

また、面接の際の目線を課題に挙げた学生もいました。パソコンの付属のカメラは、画面の上についていることがほとんどなので、目線をカメラのほうに向けると、画面に映った採用担当者の顔を見ることができないというのです。

学生にとっては、試行錯誤が続いている印象です。

採用担当者の反応を見ながら答えを考えることもあるでしょうから、顔が見えないのはつらいですね。

西村記者

そうなんです。

ただ、こうした課題の一方で、メリットを感じている学生もいて、「自宅にいながら受けられるのでリラックスして臨みやすい」とか、「移動の時間や費用が節約でき、より多くの面接もこなしやすい」といった声もあがっています。

企業からも「地域を問わずに、いろんな学生に出会えるメリットがある」と、オンライン面接のよさを評価する声が上がっています。

一方で、新型コロナウイルスの感染拡大で、景気は厳しさを増しています。学生優位の「売手市場」と言われた去年までとは、面接のやり方だけでなく、取り巻く環境もだいぶ変わっているのではないですか。

西村記者

それは学生たちも感じています。

マイナビの調査では、就職をめぐる環境について91%の学生が「先輩と比べて自分たちのほうが厳しくなる」と回答しています。

航空業界を第1希望にしていた都内の大学に通う4年生の男子学生は、5月に入って、エントリーシートを出していた航空各社から相次いで「採用活動を一時中断する」という連絡を受けたと言います。新型コロナウイルスの感染拡大で外出自粛が広がったことなどから、事業計画の策定が困難になったというのが、その理由です。

この学生は、会社説明会への参加やOB訪問のほか、専門の塾にも通って客室乗務員を志望していましたが、これまでの就職活動を軌道修正し、急きょ、ほかの業界への就職も考え始めたそうです。

就活生にとっては、不安な状況ですね。

西村記者

この時期に予定されていた企業の合同説明会が中止になったり、OB訪問も十分できなかったりと、ことしの就活生にとっては、企業の情報を集めるのも容易ではありません。

また、感染拡大の影響で、会社から面接を延期するという知らせが来たあと、日程が決まるまで1か月以上連絡が空くケースもあり、不安の種は尽きません。

ただ、先ほどの航空業界を希望してきた学生は「こういう機会だからこそ、企業のいろいろな面が見えると思うので、学んできたことを生かして、いまから頑張っていきたい」と前向きに話していました。

予想もしなかった新型コロナウイルスの感染拡大で、ことしの就職活動は手探りの状況が続いていますが、できるだけ多くの学生にとって、納得いく結果に終わってほしいと思います。