NEW2020年02月06日

太陽光発電の買い取り価格 当初の半値に!?

ここ数年、急速に普及してきた太陽光発電。屋根に発電用パネルを置いた住宅を見かけることも、珍しくなくなりました。その普及を後押ししてきた「買い取り価格」が値下がりを続け、新年度・令和2年度には当初の半値になります。そんなに安くなって、太陽光発電は大丈夫なのか?エネルギー担当の野口佑輔記者、教えて!

家庭の太陽光パネルで発電した電気って、電力会社が結構いい値段で買い取ってくれるというイメージがありましたけど。

野口記者

そうですよね。固定価格買い取り制度と呼ばれるもので、再生可能エネルギーによる発電を増やそうと、政府が主導して始まりました。制度が始まった当初(平成24年度)は太陽光パネルなどの価格が高く、一般的な規模の場合で初期費用が200万円以上もかかったんです。

だから、家庭で消費しきれない電気を電力会社が高値で買い取ることにしました。10年間は買い取り価格を一定に保ち、売電収入を得ることで初期費用を回収できるようにしたんです。家庭が経済的なメリットを得られるようにして、太陽光発電の導入を促進したというわけです。

その買い取り価格が当初の半値になったということですか?

野口記者

具体的には、新年度・令和2年度から新たに電力会社と契約する場合、10年間据え置かれる買い取り価格が1キロワットアワー当たり21円となります。制度開始当初の平成24年度(2012年度)は42円だったので、8年で半値に下がったことになります。

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買い取り価格を下げると、家庭にとっては太陽光発電を導入するメリットがなくなりませんか?

野口記者

初期費用も下がっているので、メリットは変わりません。世界的に太陽光発電の需要が増えたこともあり、パネルの価格は大幅に下がりました。設置についてのノウハウも蓄積されて、工事代金も下がった。業界団体や経済産業省によると、初期費用は制度開始当初に比べて、30%余り下がったとされています。

コストが下がったことに応じて、買い取り価格を引き下げるということですね。

野口記者

そのとおりです。それ以外にも大事な要素があります。制度のねらいどおり太陽光発電の普及は進みましたが、その一方で、住宅用のほかメガソーラーなど事業用から買い取る分も含めて費用は膨らんでいます。

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その費用、最終的には誰が負担していると思いますか?

電力会社が買った電気は、利用者に供給されているわけですよね。最終的には電気を使う利用者が負担しているということですか?

野口記者

そうなんです。電力会社から家庭に届く「電気ご使用量のお知らせ」を見ると、基本料金と並んである「再エネ発電賦課金」という項目があり、ここに負担額が示されています。

平成24年度の負担額は、標準的な家庭で年間684円でした。これが毎年増え続けていて、令和元年度は10倍以上の9204円になりました。

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再生可能エネルギーのためとはいえ、年間9000円以上の負担は決して軽くはないですよね。

野口記者

発電量に占める再生可能エネルギーの割合(水力を除く)は、平成24年度の2%余りから、平成30年度には9%余りにまで増えました。これに、固定価格買い取り制度が大きく貢献したことは間違いありません。

今後さらに太陽光発電を普及させていくためにも、負担の増加をどう抑えていくかという点が重要になってきます。