NEW2020年01月16日

自賠責保険 なぜ下がる?

自動車やバイクを持つ人に加入が義務づけられている「自賠責保険」。加入者が払う「保険料」をことし4月から引き下げる方向で議論されることになりました。なぜ今、保険料の引き下げなんでしょうか?

自賠責保険って、自動車などを持つ人が必ず入らなければいけない保険のことですよね?

そうですね。自賠責保険は略さずに言うと「自動車損害賠償責任保険」。交通事故の被害者や遺族を救済するため、法律に基づいて車やバイクを持っている人に加入が義務づけられています。

この自賠責保険、加入者が支払う保険料をいくらにするかは、金融庁の審議会が毎年、検討していて、ことし4月以降の保険料を議論する会合が16日から始まりました。審議会では今後、保険料を3年ぶりに引き下げる方向で検討する方針で、下げ幅は16%程度と大きくなる見通しです。

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世の中、値上がりするものも多いのに、なぜ今、保険料を下げる方向なんですか?

ひと言で言うと、「交通事故が減って、保険会社が払う保険金も減ったから」ということのようです。16日の会合では、金融庁や保険業界の担当者が、自動ブレーキをはじめとした安全技術の普及などを背景に交通事故の件数は2004年のおよそ95万件をピークに減少が続き、去年はその4割程度にまで減っていることなどを説明しました。

こうしたことを背景に、各保険会社が契約者に支払う保険金や、実際に死亡事故で保険金が支払われた件数は減り続けています。

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自賠責保険は、契約者から集めた保険料と支払った保険金の収支に大きな差額が生じないよう運用されます。支払った保険金が減ってきていることから、今回、大幅な引き下げが検討されることになりました。

なるほど。具体的に保険料はどれぐらいの金額になりそうなんですか?

自賠責保険の保険料は、現状は一般的な2年の契約で乗用車が2万5830円、軽自動車が2万5070円です。これが16%程度引き下げられれば、乗用車は2年でおよそ4000円安くなります。金融庁の審議会は今月中に最終的な下げ幅を決める方針です。

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ただ、自賠責保険とは別に、車の修理や故障などを補償するため任意で加入する「任意保険」の保険料は、逆に引き上げられています。任意保険の場合、自動ブレーキなど車の安全性能が向上したことで、事故が起きたときの修理にかかる費用が増えているためです。

これに去年10月からの消費税率の引き上げもあって、大手損保各社の自動車保険の保険料は、今月(1月)、平均でおよそ3%、金額にして1年で2000円ほど引き上げられています。