中東緊迫であのグルメにも影響??
日本時間の8日朝に行われたイランによるアメリカ軍の拠点への攻撃。日本の経済界にとっても大きな衝撃となり、株価の下落や原油先物価格の値上がりにつながりました。でも中東情勢の緊迫化の影響はそれだけではありません。中には、お好み焼きソースの原料を心配している会社もあるというのですが…全国各地で、どんな動きが?
イランによる報復の報道には驚きました。
そうですね。東京株式市場では午前中、世界経済のリスクが大きくなるという懸念が出て、売り注文が広がり、全面安となりました。また原油は東京市場の先物価格は一時、2000円以上値上がりし、去年5月以来の高い水準になりました。中東情勢がさらに緊迫化し世界的な原油の供給に悪影響が出るのではないかという懸念が強まったんです。
市場は敏感に反応したようですが、企業からも懸念の声があがっているようですね。
景気や消費への悪影響を懸念する声が聞かれたほか、中東情勢の悪化による「直接的な影響」を心配する声もあがっています。
外食チェーン大手のサイゼリヤは、ワインやハムなど食材の仕入れの2割ほどをイタリアからの輸入が占め、食材は、中東のスエズ運河と紅海を経由して日本に送られています。アメリカとイランの対立が厳しさを増していることについて、堀埜一成社長は決算発表の記者会見で「安全が乱されれば大変なことになる。湾岸戦争のときは喜望峰を回るルートに変更したが、到着までの時間が長くなり欠品のリスクを抱える。コストが増える分は会社で吸収するが、在庫状況によっては出せなくなるメニューもあるかもしれない」と話していました。
また、大手ガス会社の岩谷産業は、LPガス=液化石油ガスの販売で国内最大手で、イランとの直接の取り引きはないものの、LPガスの6割から7割を中東から輸入しているそうです。会社では法律に基づいて輸入から3か月間、ガスを備蓄しているため仮に輸入が滞っても直ちに影響は出ないとしていますが、岩谷産業の間島副社長は「緊張が高まることで中東からの輸入が滞る可能性がある。問題が長期化すれば、家庭用のプロパンガスの価格が上昇することにもなりかねない。現地とこまめに連絡をとって状況把握に努め、今後の状況を注意深く見ていきたい」と話していました。
心配が広がっているようですが、企業が具体的に行動できることはあるんでしょうか?
リスクを回避しようと取り組んでいる企業もあるようです。広島市のオタフクソースでは、味にコクや深みを出すため独特の甘みがあるナツメヤシの実「デーツ」をソースの原料に使っていて、長年、イランなどから年間およそ300トン調達しています。
中東情勢の悪化をみすえ、この会社では、去年10月、「デーツ部」と呼ばれる専門のチームを社内に新設し、ソースの味を大きく左右するデーツの調達力の強化に乗り出していました。調達先を周辺の複数の国に分散させ、生産に影響が出ないよう対策をとっていて、足元ではイラン以外の中東諸国からデーツを買い付けています。
しかし、イランによるアメリカ軍の拠点への攻撃で、中東全体に混乱が広がり海上の物流など、輸入に影響が出るのではないかと懸念していて、中東諸国以外からの調達も検討しているそうです。
中東情勢がさまざまな企業に影響しているんですね。
今回の緊迫化が今後、どれほど悪化するかまだ見通せませんが、意外なところで私たちの暮らしに影響しているケースもあるかもしれません。各企業の対応も注意深く見ていきたいですね。
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