NEW2019年06月04日

車の燃費 32%も改善できる?

自動車の燃費は昔に比べると大幅に向上していますが、政府は、新しい燃費基準の案を示しました。新車全体で11年後の2030年度までに、30%以上の大幅な燃費改善を求めるというものです。今後、広く意見を聞いたうえで今年度中にも正式に決定したいとしています。

新しい燃費基準とはどのようなものなんですか?

経済産業省と国土交通省は、国内で販売する自動車メーカーなどに対して新車の燃費が一定の基準を達成するよう法律で義務づけているの。

3日の審議会で示された2030年度の燃費基準の案では、新車の燃費の平均値を、2030年度には1リットル当たり25.4キロメートルに引き上げるよう求めている。これは、2016年度の実績(19.2キロ)と比べ32%の大幅な燃費改善を求めるものなの。

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でも、32%の改善を達成するのは大変なことですよね。

これまでの自動車の燃費基準は、ガソリン車などの最新の技術をもとに、目標が設定されてきた。その結果、この20年でリッター当たりの走行距離は、およそ2倍の大幅な改善になっているの。

燃費基準の対象は、ガソリン車やハイブリッド車が中心だったんだけど、新しい基準では、電気自動車(EV)とプラグインハイブリッド車(PHV)が含まれることになったんだって。

30%以上の改善をクリアするには、ガソリン車の性能向上だけでは難しく、EVなどの販売が必要不可欠になる。実は、新基準のねらいは、EVなど次世代自動車の普及なの。

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EVにも燃費基準が適用されるということですか?

そうなの。EVはガソリンを使わないけど、厳密に考えれば、EVが走るのに必要な電気は、火力発電所などで作られる際に結局、燃料を使っているでしょ。

だから新しい基準では、専用の計算式を使って、EVやPHVでも、ガソリン1リットル当たりの走行距離を算出して、ガソリン車と同じ基準で比べられるようにしたんだって。

自動車メーカー各社が、それぞれ32%の改善を求められるのですか?

それぞれではないの。国内で販売されるすべての新車の平均値がこの基準を満たせばいい。メーカーによって、主力とする車の大きさやタイプが違うから、実は、各メーカーに求められている燃費基準は、それぞれ数字が異なっているんだって。

なぜ今、このタイミングで新基準を打ち出したのですか?

世界でもEVなどへのシフトを目指した規制強化が鮮明になってきている。

例えばEUでは、EVの普及を推し進めるため、自動車からの二酸化炭素の排出量を、2030年に37.5%削減することを求めているそうよ。日本としても、こうした流れに遅れをとりたくないという思いがある。

今回の燃費基準を達成するには、新車販売に占める電気自動車などの割合を現在の1%程度から、2030年度には20%以上に増やす必要がある。そのためには、各メーカーが、技術開発や生産・販売体制を強化していかないといけないわね。