日中の「通貨スワップ協定」って?
26日に行われた日中首脳会談に合わせて、日銀と中国の中央銀行「中国人民銀行」は、円と人民元を互いに融通しあう「通貨スワップ協定」を再開することで合意しました。日中間の通貨協定は2002年に締結されていましたが、5年前に失効していました。今回は、融通できる金額を前回のおよそ10倍にあたる3兆4000億円規模に拡大しました。
今回の通貨スワップ協定って一体どういうものなんですか。
日本と中国の中央銀行が、もしもの場合に備えて、お互いの通貨、円と人民元を交換して融通しあう枠組みのことです。「スワップ」というのは、「交換する」という意味です。例えば、金融市場が混乱するなどして、中国に進出している日本の金融機関が、必要な人民元を市場から確保できなくなった場合にこの協定は発動されます。日銀が、保有している円と交換する形で、中国人民銀行から人民元を調達し、足りなくなった日本の金融機関に供給するのです。
実際に人民元が足りなくなるような事態はこれまで起きていませんが、万が一に備えたセーフティーネットを整えることで日中間のビジネスをより活発にする狙いもあります。日本と中国は、この協定を2002年にも締結していましたが、尖閣諸島をめぐる関係の悪化を背景に5年前に失効していました。
今回合意した内容はどんなものですか。
2021年10月までの3年間、緊急の場合に、3兆4000億円規模で、円と人民元を融通し合います。前回の協定の際の融通枠は3300億円なので、今回はその10倍の規模です。互いの貿易や投資額が増えるなどして、日中間の経済の結びつきが強くなっているため、融通枠の規模も大幅に増やしました。日中両国の関係改善も、改めて印象づけるものと言えそうです。
日本が通貨スワップ協定を結んでいるのは中国だけ?
同じ内容の協定はオーストラリアやシンガポールと結んでいます。また、1997年のアジア通貨危機の教訓から、金融危機などに備えてドルなどの通貨を融通しあう協定もインドネシアやフィリピン、タイなどのアジアの国々と結んでいます。ただ、今回の3兆4000億円規模というのは日本が結んでいる2国間の協定では最大で、それだけ中国でのビジネスの重要性が増しているとも言えそうです。
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