NEW2018年04月05日

「米中貿易戦争」起きちゃったら…

アメリカと中国が、連日のように貿易問題で応酬を繰り広げています。事態を伝えるニュースは「制裁」「報復」「貿易戦争」という、おどろおどろしい表現があふれています。
アメリカと中国が激突したら、世界は、日本はどうなってしまうのでしょう?とりあえず、わかっておきたいです。

なんでこんなに対立がエスカレートしたんですか?
今回も「あの人」が言いだして始まったんだと思いますけど…。

そうね。中国との間の巨額の貿易赤字にいらいらを募らせていたトランプ大統領。3月のはじめに得意のツイッターで「貿易戦争だってかまわない」とつぶやいて、あれよあれよという間に事態は進んだよね。

3月23日にアメリカが、鉄鋼・アルミに高い関税をかける異例の「輸入制限措置」を発動。それに対して4月2日に、中国がアメリカの豚肉など128品目に関税をかける「対抗措置」を発動した。

事態はそれだけでは済まなかった。翌3日に、今度はアメリカの知的財産を中国が侵害しているという理由で、中国製の航空宇宙や情報通信、それにロボット関連の輸入品1300品目に25%の関税を課す「制裁措置」を発動する案を公表。

それに中国もすぐさま反応して、アメリカの大豆や自動車、航空機など106品目に25%の追加関税を課す「報復措置」の準備に入ったと表明。米中、どちらも5兆円規模の輸入品に高い関税をかける内容だよ。

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5兆円! まさに抜き差しならない感じになっちゃってますね…でも、輸入品に高い関税をかけて困るのは、それを買う自国の企業や消費者じゃないんですか?

そのとおり。だからアメリカの産業界も反対している。5兆円もの輸入品に関税がかかれば影響があるのは明らかだね。米中の貿易が停滞すれば、世界経済のブレーキにもなりかねない。
日本にとって米・中どちらも重要な貿易相手だから他人事じゃないよね。

ただ、今はまだ、アメリカの「制裁」が本当に発動するかどうかは決まっていない。5月中旬に公聴会を開いて企業などから意見を聞いたり、このあとの中国側の出方を見て、最終的に判断するそうよ。

どうして、今なんでしょう。アメリカの貿易赤字って、いまに始まった話じゃないですよね?
唐突な感じがぬぐえないんですけど。

アメリカでは、11月に連邦議会の中間選挙が控えている。選挙対策だと解説する専門家が多いわね。アメリカ・ファースト、貿易赤字是正、中国への強硬姿勢を公約して当選したトランプ大統領が、選挙をにらんで、支持者へのアピールのために放った一手がこれ。

だから全面的な「貿易戦争」に突入するつもりはなくて、中国を揺さぶって、協議のテーブルにつかせる。そのうえで、貿易赤字削減につながる何らかの譲歩を引きだすことを狙った、トランプ政権お得意のディール外交だという見方もあるんだよ。

そうなると日本との間の貿易赤字もまた問題視して、ディールを求めてくるのかなあ?

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4月中旬に、南部フロリダ州の別荘で日米首脳会談が開かれることになっているけれど、ホワイトハウスは、北朝鮮問題とともに「通商問題」を取り上げると発表している。トランプ政権は、公正な貿易の実現を目指し、日米2国間のFTA=自由貿易協定の交渉に意欲を示してきたから、どんな展開になるのか気になるところだね。