就活スタート 「解禁」破っていいの?
3月1日から来年春に卒業する大学生を対象にした会社説明会が解禁され、就職活動が本格的にスタートします。ことしも学生優位の「売り手市場」が続く見通しで、企業の間で人材の争奪戦が激しくなりそうです。
就活がいよいよスタートしますね。3年生の3月1日に会社説明会が、4年生の6月1日から採用面接が解禁されるそうですが、そもそもどうして「解禁」があるんですか。
企業にとって、若くて優秀な人材は利益を生み出す金の卵のようなもの。放っておくと、奪い合いが激しくなり、採用活動がどんどんエスカレートしていきがちなのよ。
もしルールがなければ、企業の人事担当者は、年がら年中、採用活動をしないといけないし、膨大なコストや労力がかかる。学生も勉強する時間が減ってしまうかもしれない。だから、歯止めをかけましょうということで、全国の業界団体を束ねる日本最大の経済団体 経団連が自主的な指針=ルールを決め、解禁を設けているわけ。
昭和28年に当時の文部省、大学、産業界の「申し合わせ」の形で採用選考開始などの日取りを定めたのが始まりで、これまでも廃止されたり、スケジュールが変わったりして、今の形に落ち着いたそうよ。
解禁のルールを破ったらペナルティーはあるんですか?
この指針は、いわば紳士協定。守らなくても特に罰則はないの。だから「解禁破り」をしている企業も少なくない。
就職調査会社のディスコによると、ことしは解禁前に説明会を始めた企業は19.1%に上っていて、前の年より5.3ポイントも増えているのよ。
企業の間では、表だって「説明会」「選考」とは銘打たなくても、3月を待たずに「職場体験」や「インターンシップ」という形で、できるだけ早く学生と接点を持とうという動きが広がっている。これは、学生にとっても、お目当ての企業がどんな会社なのか、理解を深めるよいチャンスだと受け止められているようね。
ただ、これって、事実上の就職活動と言えなくもないよね。
だとすると、抜け駆けした企業や、就活を早く始めた学生が得をして、正直に解禁を守る側が損をすることになりませんか。
そういう面も否定できないわね。経団連が去年、会員企業1300社余りを対象に行ったアンケート調査では、「指針自体は残すが、広報活動や選考活動の開始時期の規定は削除すべき」という回答が42.1%と、いちばん多かったんだって。
企業の関係者によると、経団連に加盟していない外資系の企業などが解禁前から動き出し、優秀な学生を採用していくことへの焦りもあるようなんだけど、そもそも学生が見ているのはその会社の中身であり、自分の適性や希望に合う会社かどうかということ。売り手市場だからこそ、学生の皆さんには、慌てず、焦らず、慎重に会社選びをしてほしいわね。
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