NEW2017年12月21日

働き方改革でも日本の生産性は最下位?

労働者がどれだけ効率的に働いたかを示す「労働生産性」。日本がG7=主要7か国で最下位になったという調査結果がまとまりました。

日本の企業は働き方改革に取り組んで、ずいぶん労働時間が短くなってきた気がするんですけど、それでも生産性は、ほかの国々と比べて低いんですね。

公益財団法人の日本生産性本部によると、去年の日本の労働生産性は、時間当たりで46ドル(4694円)、前の年よりも0.5ドル増えたけど、OECD加盟35か国の中では前の年と同じ20位。6位のアメリカ(69.6ドル)の3分の2くらいの水準にとどまっているわ。

あなたが言うように、日本の年間の平均労働時間は、90年代には1900時間を超えていたのが、今は1713時間まで減っているの。

実は、アメリカ(1790時間)やイタリア(1725時間)よりも短く、OECDの平均を下回っているのよ。

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えっ? アメリカより短いんですか。それなのに、生産性が低いとは…

平均の労働時間が短くなったというけど、それは、派遣やパートなど非正規の労働者が増えているからなの。正社員の平均労働時間は、いまだに2000時間を超えていて、まだまだ働き方改革は道半ば、とも言えるわね。

そもそも、労働生産性とは、労働者1人が1時間にどのくらいのモノやサービスを生み出したかを示す指標のことなの。

労働生産性=付加価値(GDP)÷(労働者数×労働時間)を上げるには、分母の(労働者数×労働時間)を減らすだけでなく、分子(GDP)を増やす必要があるわけ。

アイルランドは、今回、6%余りも労働生産性がアップして、OECD加盟国でトップ(95.8ドル)になったんだけど、それは法人税を下げて、グーグルやアップルなど、名だたるグローバル企業の拠点を誘致し、GDPを拡大したことが理由なの。

企業の「稼ぐ力」が重要だということですね。

日本の労働生産性は1970年代以降、ずっとG7で最下位が続いていて、調査を行った日本生産性本部は、手間ひまをかけた高品質な製品やサービスを比較的安い価格で提供していることも要因だと分析しているわ。

消費者にとってはうれしいことだし、「いいものをより安く」という商人の美徳でもあるけれど、裏を返せば、「高くても買いたい」と思わせる商品やサービスを企業がなかなか生み出せてない、ということでもあるわけ。

給料を上げてくれたら、僕の「生産性」もアップすると思うんですが。

そういう話は、成果を出してから言ってちょうだい。