東京海上日動 人事担当者に聞く

“ありがとう”と言われる仕事をしたいかどうか。そこだけ。

2019年03月18日
(聞き手:鈴木マクシミリアン貴大/勝島杏奈)

  • お問い合わせ

140年前の1879年(明治12年)に誕生した損害保険会社の東京海上日動。自動車保険や火災保険、それに企業の損害を補償する保険など数多くの「いざ」を支えてきました。「どこの業界のどんなネタでも絶対、保険につながっている」と言う人事企画部採用チームの山城真課長。選んだニュースは・・・

相次ぐ自然災害

【西日本豪雨】岡山県倉敷市真備町 2018年7月

去年(2018年)相次いだ災害。日本損害保険協会の去年12月11日時点のまとめでは、台風や西日本豪雨、それに北海道の地震など5つの災害で、損害保険各社が支払う保険金は約1兆3100億円にのぼった。これは8年前の東日本大震災の約1兆3200億円に匹敵する額になった。

学生
勝島

最初の自然災害に関するニュース。これはどうして選んだんですか?

去年でいうと北海道での地震や豪雨や台風など多数ありました。そういうときは、一日でも一分でも一秒でも保険金を一番早くお支払いしなければいけない瞬間なんですね。

山城さん

もちろん、保険金の支払い部門がいるんですけど、その人間だけでは足りなくなってくるので、それ以外でも、例えば人事部も広報部も営業部からもコーポレート部からも応援に行って一刻も早く保険金をお支払いすることが損害保険会社の使命であると。

これはまさに我々の社会的使命を果たせる瞬間だと思っています。そういう観点で、皆さんに知っておいてほしいニュースのひとつかなと思っています。

日本は災害大国といわれています。例えば今、自然災害と一口に言っても地震、台風、豪雨があります。いっぱいありますよね。

火災保険といっても一昔前は火災しか対象にしていないものが主流だったんですが、火災保険で風水害を地震保険で津波や噴火まで対応できるようにしています。

学生
鈴木

東日本大震災が起きた時の社内の状況はどんな感じでしたか?いきなりの出来事だったと思うんですけど。何かご自身のエピソードはありますか?

僕は東京にいましたね。地震発生の後からしばらくして、津波の映像が流れ始めて。当時は営業部門で、まさにわたし自身が担当していたお客さんが石油業界さんで沿岸部にあってそこに石油を運ぶタンカーを停泊させるための桟橋まであるんですね。

それが流されていく部分も実際に映ってて、そこから30分、1時間後にはクライアントさん、あるいは個人のお客さんが被害を受けている状況にどう対応するんだ、どう我々が役に立てるんだっていう見地から会社全体として動いていったというのが、非常に印象深いかなと。

想定外の災害が起きている事はありますか?

やっぱりその自然災害の数と頻度と規模はどんどん大きくなってると思っています。今、災害は国内だけではなく、例えばアメリカのハリケーン、ニュージーランドの地震、中国の地震とか海外で被害にあっている日本企業などのお客さんは当然ながらいらっしゃる。

東日本大震災が起きた2011年には、タイでは、大規模な洪水が起きていて、日系メーカーさんが軒並み浸水しているんです。これは、自動車生産が止まって世界の自動車の輸出量が減るくらい世界規模にインパクトのある洪水だったんです。

我々としては世界中の自然災害も気にしているので、国内の話だけじゃなくて、そこもぜひ注目してほしいと思っています。

サイバー攻撃

企業などの機密情報を狙う「標的型メール」によるサイバー攻撃。警察庁によると、去年(2018年)1年間で確認されたサイバー攻撃は6740件と、年間の統計を取り始めた平成24年以降、最も多くなった。警察庁は、東京オリンピック・パラリンピックの開催を控え、サイバー攻撃がさらに活発化するおそれがあるとしている。

続いては二つ目のサイバー攻撃です。保険とどう関係してくるのかイメージがわかないんですが、なぜ重要なのですか?

みなさんも今、生活において多分スマホが第1ですよね。

はい。手放せないです。

これは企業の運営も全く一緒なんですね。いろんなものがすべてシステムネットワークにつながってできているんですね。

ハッカーって、みなさん聞いたことあると思うんですけど、システムに侵入されて、工場の運営が止まってしまったという事例があります。企業の運営が1日止まってしまうと、その日雇っている人たちに対する賃金は当然ながら払い損になるわけですよね。

その時点で何億人、何千億円の損害が出ます。今や見過ごせないリスクになってきています。

メーカーに限らず銀行、商社、要はビジネスにネットワークを使わない会社はありません。そこが止まると、当然、その先に損害が発生する。何もできなくなってしまいます。

そういう企業の被害についても保険が必要になるんですね。保険会社としてはどのように対策するんですか?

当然我々としてはそういう将来を見据えて商品開発なり、リスク調査をしています。サイバー攻撃によるリスクは、20年前はなかったわけですよね。自動車保険なんて200年前はなかったんです。

これは新しい時代に、社会が変化していくとそれに伴って新しいリスクが生まれます。それに対して新しい保険が必要になってくるんです。そこを皆さんに知ってほしいです。

地方創生

地方の活性化を目指す政府の戦略。その柱の一つが、外国人観光客の誘致。観光庁によると、去年(2018)、観光などで日本を訪れた外国人は、6年連続で過去最高を更新して3000万人を超えた。政府は、2020年には、日本を訪れる外国人の数を4000万人に引き上げることを目標にしていて、こうした人たちが地方を観光で訪れてくれることが、地方創生につながると考えられている。

3つめのニュース、「地方創生と訪日外国人」についてもお聞かせ下さい。

地方創生と言いましたが、要はその中でも分かりやすいニュースは訪日外国人(外国人観光客)です。今、訪日外国人は、3000万人を突破したと言われています。日本の人口が1億2000万ですからその4分の1の人が押し寄せてきているイメージですね。これは毎年増えているんですね。

ここでみなさんに着目して頂きたいのは、ヒト・モノ・カネが動く時にリスクが生じるんです。すなわちそこで我々の損害保険のビジネスチャンスもあるんですね。

3000万人・・・確かに多くの外国人が日本に来てますね。

街中見ててもやっぱり増えてますよね。日本では、これからどんどん人口が減っていくといわれてるし、実際に出生率は減っています。損害保険は当然ながら人が多ければ多いほど保険をかける人が多いので、人口が伸びれば保険も伸びますが、一方でこれからは逆というふうにいわれています。そこで注目しているのが、訪日外国人なんです。

具体的に、どういった部分がビジネスチャンスになるんですか?

外国人旅行客の方が滞在中にトラブルを起こしてしまうことがあります。観光地の旅館や観光施設に対し、トラブルに巻き込まれた時の保険を提案しています。

あとは観光施設の人が全員英語が話せるとは限らないので、10か国後に対応できるオペレーターを用意し、トラブルがあった際などに、代わりに説明するサービスもしています。そういった意味でも地方創生にも取り組んでいます。

訪日外国人が増加すると見込まれる中、どういった点を気にしてニュースを見ていけばいいですか?

3000万人っていう数だけではなくて、どこから来ているのかも見て頂きたいです。今は、中国、韓国、台湾、香港が75%。これからは東南アジアとか。彼らはどんどん経済成長をしていくし、直行便みたいなものも増えていくはずです。

そこが増えていくと、例えば多言語対応。みなさん東南アジアを一括りに見てるかもしれないけど、タイ語とかマレー語とか全く言語が違うんですね。じゃあその人たちに対してどう対応するか、どうやって保険の理解をして頂くかも含めて課題になりますね。

例えば保険会社に入りたいという学生はどういう発想をする人がいいですか?

まずトラブルってまさにリスクなのでそういうものにも感度を持っていただくっていうのが最初の出発点じゃないかなと思っています。一人の困り事が100になって1000、10000になると社会問題につながります。

学生としてニュースを見る上でどういった観点を持つべきですか?

社会がまさにその変化するというか。何か新しいことが生まれる、新しいことが起きる、新しい技術が生まれるとか、そういう時は、やっぱり社会が変わっていくときなので。

じゃあそういう時に、逆にどんなリスクがありそうなのかって、もう一つ深い形で読んでもらうと、損害保険の仕事の面白さを感じていただけるかもしれないですね。

どこの業界のどんなネタでも絶対損害保険につながってるので、そういう意味でいくと面白いですね。

どのような学生と一緒に働きたいですか?

求める人物像といいますか。

今、我々の会社は海外に広がってますし、グローバルになっていろんな課題があります。やっぱり過去を変えて変革できる人たちは必要です。確実に。

ただ、シンプルにやっぱり、ありがとうと言われることに対してやっぱうれしいと思えるかどうかっていう。ありがとうと言われる仕事をしたいかどうかって、そこだけですね。

地味なんですけど、やっぱそこにやりがいを感じられる人たちは、根底に思いを持っていると思っています。この思いというか、価値観を共有できなかったら会社は長く続かないと思いますね。

人事担当者がこっそり教えるマストなニュースこの3本