明治 人事担当者に聞く

人口減少の中で食品メーカーの戦略は?

2019年03月28日
(聞き手:土井湧水 西澤沙奈)

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女子学生に人気のある明治。

チョコレートやチーズ、さらにプロテインなど私たちにとって身近な商品を多く手がけています。入社3年目の採用担当者が学生リポーターの女子2人に教えてくれた注目ニュース3本はこちら。

お話を聞かせてくれたのは、採用担当の戸田朱音さん。入社3年目!就活生目線の質問に、自らの経験を交えてやさしく教えてくれました。

学生
土井

きょうはよろしくお願いします。私の勝手なイメージなんですが、明治さんはすごくキラキラしたイメージがあります。会社に入ってみていかがでしたか?

入社前は、お堅い人が多いんじゃないかなと思っていたんですね。何でしょう…真面目でオフィスもしーんとしていてとかそういうイメージでした。

戸田さん

でも(実際に働いてみると)部署を問わずいろんな方とお話しながらチームで仕事を進める事が多いし、若いうちからチャレンジさせてもらえるなっていうのは、良い意味のギャップとしてあったかもしれないですね。

周りの若手社員も、海外に若いうちから行けたりとか、そういった形でチャレンジする風土があるかなと感じています。(きょうも)まさか私がこんな所でこういった商品を前に並べながら話をすることになるとまったく思っていなかったので(笑)

明治の様々なラインナップを教えてもらいました。牛乳、ヨーグルト、アイスクリーム、チーズ、チョコレート、そしてプロテインまで!

2020年 東京でオリンピック・パラリンピック開催

2020年、東京でオリンピック・パラリンピックが開催。オリンピックは7月24日から8月9日までで、観戦に訪れる観光客は1000万人と見込まれている。

最初のニュースは、東京オリンピック、パラリンピックの開催ですね。選んだ理由を教えてくださいますか?

やはり全世界の選手や観客が一度に日本に集まる機会なので、海外情勢に興味を持ってニュースを見てもらいたいからです。

もう一つ理由があって、「ダイバーシティ」と「インクルージョン」という考え方が大会の組織委員会の方で掲げられているんですね。そういった考え方についても関心を持ってもらいたいと思い、このニュースを取り上げました。

なかなかこの言葉には馴染みがないかなと思うんですけど(笑)

学生
西澤

ダイバーシティ、インクルージョン…?

初めて聞きました…。

ダイバーシティ・インクルージョン
ダイバーシティは「多様性」、インクルージョンは「包摂」という意味の英語で、多様性があるだけではなく、違った個性や考え方を取り入れ、生かしていくという考え方のこと。企業経営や、教育現場などでも取り入れるところが増えてきている。

多様性を尊重して、異なる価値観や能力を活かしあいましょうという考え方です。そうすることでイノベーションを生み出したり、新たな価値を創造したりと。この考え方って企業にも同じことが言えるんじゃないかなと思っています。

異なる価値観とか能力、性別国境問わず皆さんの持っている能力をいかし、イノベーションを生み出し続けることで明治にしかできない独自価値を生み出していく。企業活動を推進していく重要な考え方かなと思いまして、このニュースをとりあげました。

イノベーション、価値の創造、こちらは具体的にはどういった取り組みをしているんですか?

具体的にいうと、2017年にイノベーションセンターという研究所を作って、新しい価値を作っていくような基盤づくりをしています。

また、海外事業に特に力を入れているので、人員の移動だったりそういったところを手厚く進めているんです。

あと、東京オリンピック・パラリンピックのゴールドパートナー契約を締結しているんですよ。

ゴールドパートナーというのは、どういったことをするんですか?

商品を通してアスリートの方々をサポートするというのはもちろん、日本全国で食と健康、スポーツを掛け合わせたイベントを行うことで、オリンピック気運を高めるようなことをしています。

東京オリンピック・パラリンピックを機に、多くの人に存在を知って欲しいと?

(オリンピックをきっかけに)日本に来てくださった方が、日本で食事をする機会があると思うんですけれども、やはり自分の国では触れ合う事のなかった商品がいっぱい並んでいると思うので、そういったところで日本の商品に触れる機会があるっていうのは大きな意味合いがあるかなと思っています。

そこでこの明治というブランドも広く認知してもらえるようなきっかけになると思っています。

日欧EPAの発効 チーズやワインなどの関税が撤廃へ

日本とEUのEPA(経済連携協定)が今年2月1日に発効した。EUからの輸入ワインなどの関税が即時撤廃されたほか、ソフトチーズ、チョコレート菓子なども今後撤廃される。日本からはしょうゆや日本酒などの関税が即時撤廃、自動車も今後ゼロとなる。

2つ目のニュース、日欧EPA発効を選んだ理由を教えてください。

日欧EPAが日本経済全体、そして食品メーカーにどういった影響があるのかを考えるきっかけになってくれたらいいなと思って選びました。

これによって、私たちが、乳製品やワインを買うときに影響があるということですか?

そうですね。ワインは即時撤廃になりましたよね。チーズは段階的に関税を引き下げていって、最終的に2034年に関税を撤廃するという形になっています。そういったところでみなさんの生活にも身近に影響してくるニュースだと思いますね。

当社への影響で考えると、乳製品の中でもチーズですね。チーズの国内市場自体が今後もっと大きくなるのではないかと考えています。実際いまヨーロッパと日本のチーズの消費量を比べてみると、日本はヨーロッパよりはるかに小さいんですね。

日本の1人あたりのチーズの消費量はEUのおよそ7分の1。ただ、日本の消費量は過去10年でおよそ20%増えるなど、チーズの需要は拡大している。

チーズの消費量、そんなに違うの!?と驚きました!

そうなんですか!

日本では、1年間に輸入されるチーズのうち約3割がEU圏から輸入されているんですが、今回のEPAで、ヨーロッパからのチーズの輸入量がさらに増え、競争が激化するのではないかと予測されています。

一方で、日本における市場がもっと大きくなるということを考えると、チーズを扱っている当社としては、商品の展開とか、お客様に商品を手に取ってもらえる機会が増えるきっかけになるんじゃないかと思っています。

これからは逆に、海外へ事業を展開することもあると思うのですが、どのような目標を持っていますか?

海外の売り上げ高比を2026年までには10%以上にするという数値目標を立てています。今、4%くらいで、他の食品メーカーさんに比べて低い値になっているので、ここに課題を感じて取り組みを進めていこうと思っています。

いま事業所があって販売しているエリアが中国と東南アジアとアメリカで、国内事業をそのまま海外に持っていくのではなくて、海外事業における成長基盤の確立をしていきましょう、というのを最重要課題として取り組んでいますね。

海外の動きは、就活生にはチェックしておいてほしいところですか?

日欧EPAにかかわらず、今TPPなどの自由貿易圏をつくる協定を発効する動きが近年増えてきたと思います。また、当社が今後、海外事業に取り組んでいくにあたっては、海外の動きはぜひ注目をしてもらいたいです。

TPP:環太平洋パートナーシップ協定。太平洋を取り巻く国々による多角的な経済連携協定のこと。日本政府は、EPAやTPPを通じて、自由貿易を推し進めたい考え。一方でトランプ大統領就任後のアメリカは、自国の産業を輸入品から守る保護主義的な政策を進めている。

国内外問わずいろんな情勢に注目しておいて欲しいという感じなんですね。

そうですね。学生さんに海外の話をすると、留学経験があるとか、外国語が得意じゃないとダメなのかとか思われるんですけど、決してそういった意味ではないです。

私もどちらかというと外国語は苦手な方なんですけれども(笑)

ただ、国内外の動きに興味関心の目を向けるっていう視点を持ってもらうだけでも、拾える情報の量は変わってくると思うので。そういった目を持って情報を収集できるかどうかというのが重要になるかなと思っております。

では、海外に目を向けている学生は、採用するにあたっても魅力的なんですね。

海外に対して興味がある学生さんは、私もお会いした時には話を聞くポイントではあります。実際、若手のうちから海外で活躍する機会があります。

最近ですと、中国の事業所の新しい製造ラインを立ち上げるときに、知識を持っている若手社員に、2~3か月、ラインが安定するまでお手伝いしてもらうような形で、海外で仕事をしてもらう機会が多いですね。

日本の人口減少

日本の総人口は、長期の人口減少過程に入っている。2017年4月に国立社会保障・人口問題研究所が公表した推計結果では、2053年に1億人を割って9,924万人となり、2065年には8,808万人になると推計されている。

最後は、日本の人口減少。こちらのニュースを選ばれた理由をお聞きしたいです。

人口が減少すると、食べる人=お客様の人数が少なくなっていくので、食品メーカーにとって国内市場で成長・拡大するのは難しいんじゃないかなと思われる方も多いと思うんです。

けど、そういった市場の中でもどんどん成長・拡大していっているカテゴリーがあるんですよ。

そうなんですか。どんな分野でしょうか?

例えばヨーグルト、乳酸菌飲料、流動食のような高齢者向け食品、プロテインなどのスポーツサプリ関係ですね。こういったところは、どんどん成長しています。

国内でも成長・拡大している市場があるんだよという視点を持っていただけたら嬉しいです。

少子化、高齢化のニーズに合わせた商品を展開するということを目指しているのでしょうか。

はい。平均寿命が長くなっても、健康寿命がそこまで追いついてないというニュースがありますが、健康寿命を食事面からサポートすることが明治の商品を使ってできればいいですね。

健康寿命:高齢になっても介護の必要がなく、健康に過ごせる期間。厚生労働省が2012年から推計を始めた。2018年3月に公表された推計では、2016年の時点で女性が74.79歳、男性が72.14歳でいずれも延びる傾向にある。介護などが必要な期間を示す、平均寿命と健康寿命の差は女性が12.35年、男性が8.84年。

人の健康を、食べることを通じてサポートする・・・やりがいがありそうですね!

いろんな商品を、赤ちゃんからご年配の方まであらゆる世代の皆さんに使って頂けるところはやりがいかもしれないですね。

パッと見て、知ってる商品・知らない商品あったかもしれないですけども、お二人が知らない商品でも、もしかしたら別の方(介護や育児をしている方など)にとってはすごく知ってる商品かもしれないですよね。

身近な商品が(ライフステージに応じて)どんどん変わるってところは、当社の大きな強みでもありやりがいでもあるかなと思いますね。

人口減少によって働き手の減少があると思うのですが、採用人数に関してはどうでしょうか?

採用人数は、今後の事業展開や社内の人員構成によって決定しています。日本全国、そして今後、海外でも活躍してもらう方が毎年必要になってくるので、人口が少なくなっているからといって採用人数を大きく絞ることは考えてはないですね。

海外に興味がある学生が魅力的とおっしゃっていましたが、他にも、学生に求めるものってありますか?

学生時代に部活動、ゼミとか、何でもいいんですけど、何かに対して一生懸命取り組んだ、これは頑張ったって言える経験があると強いかなと思っています。

もう毎年私たち担当者もそうですし、人事部長もお話しする内容なんですけど、学生のうちに必ずこれをやっておかなければならないというのは特に設けていなくて学生のうちにしかできないことを今、全力でやってくださいというのは毎年皆さんにお伝えしていることなんですね。

戸田さんはどんなことをされてきたんですか?

私ですか? 私自身は部活動もサークルも大学4年間1回もやってなかったので、その代わりずっとアルバイトに打ち込んでいました。スポーツジムのアルバイトで、接客とかマシンの指導、ミニレッスンもやったりして。そこでいろんな人と話せる機会があったというのはよかったかもしれないですね。

結果だけではなくて、私たちはどちらかというとその過程の部分を重視していて、それを経験する中でこういう壁にぶち当たったけどそれを乗り越えるためにこう考えたとか、壁に当たった時にもそれを乗り越えるためにどれだけ頑張れたかとか、「チャレンジしたかどうか」ってところが大事かなと思っています。

ありがとうございました!

最後にお菓子メーカーのバレンタインデー事情を聞いてみると・・・
トレンドを取り入れたチョコを探してきてオフィスで配るそうです。自社製品だけではなく、普段からいろんなお菓子をチェックしているそうですよ。いろいろ教えて下さり、ありがとうございました!

人事担当者がこっそり教えるマストなニュースこの3本