2022年07月28日
主体的にキャリアをつくっていくことが求められる「人生100年時代」。
自分にあった仕事選びってどうやったらいいの?学生時代にやっておいた方がいいことってなに?キャリアデザインの専門家に学生リポーターが聞きました。貴重な経験を積むためのヒントがもりだくさんです!
(聞き手:田嶋瑞貴 藤原こと子 本間遥)
学生
本間
社会に出る前に、大学生のうちにやっておくといいことってありますか?
ぜひ、消費者から作り手側の視点にまわる意識をもってほしいと思います。
田中教授
YouTubeで1日6時間くらい消費する学生もいるけど、だったらYouTubeのコンテンツを作ったほうがいいよ、ってことですね。
田中研之輔さん
法政大学キャリアデザイン学部教授。新卒採用分析などが専門。これまでに計33社で社外取締役・社外顧問を歴任。「今すぐ転職を考えていない人のためのキャリア戦略」など著書も多数。
もちろん、使う側の人としてリラックスする時間はあっていいんだけど、時間を制限して、それ以外の時間は自分を作り手側に回す。
わたしは教え子たちに、大学生という名の「プレ社会人」になれと言っています。
つまり、社会人の練習期間っていうモードですごすようにと。
プレ社会人…。作り手側の視点に立つって、具体的にどんなことを意識すればいいんですか?
まず明日からやってほしいのが、行きたい会社の社長になって1週間過ごすこと。
えっ、社長に?
その会社の社長として明日の朝を迎える。さぁ、何をする?
何をするんだろう…。
それを具体的に考えるんです。社長になって1週間すごしてみると、世界が変わるよ。
何で社長なんですか?
やっぱり会社っていうのはみんなでつくってるものです。そうすると、トップがいろいろな意思決定をしてるんですよ。
トップの目線に立って、例えば公開されている株主総会資料とか全部読み込んで、世の中の変化に対して「ここが足りてませんよ」とか「ここがいいですよ」って考える。
みんな会社に入ると「新入社員だからこれぐらいでいいのかな」って考えるんですよ。
これってよくない。「それ、誰基準なの?」って思ってしまうよね。
可能性を狭めているということですね。
そうやって、「プレ社会人」の意識を持つことで何が変わるんですか?
行動が変わるよね。毎日の行動の量が変わるわけ。
学歴とか何とか歴とか言うけど、人生100年で言うとすべて誤差だと考えてください。
何が決定的な差になるかって言うと、それは、行動の量です。
大学生活だけでも4年間もありますよね。
同じ「学生」という社会カテゴリに分類されていても、動いている子はものすごく動いている。
でも、ほとんど動かずに大学生活をすごしてても4年という年月が経っちゃうわけです。
同じ卒業でも、中身がぜんぜん違うんだよね。
学生
藤原
お話を伺っていて、頭では理解できても、そう簡単には「プレ社会人」になれないかな、と思ったりもします。
なかなか自分1人だけでそれを考えることはできないから、環境を変えていくんです。違う環境に自分の身を置いていく。
海外に留学するアスリートって結構いますよね。なぜそうするかというと、やっぱり成長するんだよね。
いつも自分がいる集団を箱と考えると、箱の中は居心地いいわけ。
でも、箱から出るといろんなことが起きる。そういう環境にみずから身を置くことが大事。
これを今日じゃなくて、来週やろう再来週やろうとすると惰性になっていくので、今すぐ行動に移しましょう。
学生
田嶋
企業が就活生に求めているのも、そうした行動力なんですか?
そうですね。あとよく言うのは、当事者意識。
自分のこととして動けるかどうか。お客さん意識の人ってパワー発揮しないよね。
それで、そこに気付きを与えてくれるのが世界の動きなんだよね。
それが箱の外、ですか。
そう。例えば、1年生で、毎日図書館で勉強している子がいる。
同じ大学の同級生で、そういうふうに勉強している子がいるって知ってる人は「自分もやらなきゃ」って刺激を受けるし、知らない人はそんなことを考えもしないわけです。
自分だけの世界にいては気付けないですよね。
それに、気付くコツってありますか?
やっぱり周りを見る。
…いや、探す、知る、調べる、動く。
キャリアは悩むものじゃなくて考えるものなんですよね。
働くコミュニティもそういうふうになってきていて、昔は1つの企業に入ると終身雇用だから外を知らないわけ。
それじゃあキャリアが停滞するから、自分から箱を開くわけです。
いつ頃から、環境を変えていくことを心がけた方がいいですか?
できるだけ早く、ですね。
社会との接点で言うと、いろんなアルバイトやったらいいよ。
アルバイトも1つだけだと人間関係ができちゃって抜け出せなくなるから、社会が求めていることに対してはちょっと足りないと思うので、できれば複数、経験した方がいい。
あとは、インターンシップにも参加していくといいよね。
なるほど。主体的に考えて動いていかないといけないんですね。
そのとおりです。自分はできないって思わないで何らかのアクションをする必要がやっぱりあって。
外から見てたって分からないから、「自分だったら」って考えるわけです。
自分は社長なんだって考えた時に見えてくるものがあるんですね。
よく、不満だけ言って終わっちゃう人いると思うんだけど「つまんない」じゃなくて、「自分だったらどうするか」を考える。
人のせいにせずにね。
キャリアを積んでいくうえで、自分にあった仕事ってどう選べば良いのでしょうか。
ポイントは2つあって、1つは「大学の学びは必ず生きる」ということ。
学問って本質を読み解く力だから、1つの物事に対して学んだ力は転用できる。
だから学業での専門分野はどんどん掘っていったほうがいい。
ただし、自分の掘っていった経験がそれ1つしかないときついわけです。
だから、考え方として、掘る作業と社会を知るっていう行動はバランスをとる必要がある。
勉強ばかりしていてもダメだということですね…。
もう1つは、「社会を知る」ことにつもつながるんだけど、いろいろな社会経験を積んだほうがいいです。
そうすると自分の中で何が向いているんだろうっていうのが分かってくるので。
インターンシップとかですか?
そう。「観光業の仕事をしたい」って言っていた子が、リゾート地でインターンを経験したところ、「2度と行きたくない」ってなったケースもありました。
「向いてない」っていう気付きが重要なんです。学生のうちにそれに気付けたってのは財産でしかないですよね。
確かに…。
働く=お金じゃないんだよね。
やりがいの結果として報酬をいただくわけだから、やりがいを持てるのか、そこの価値観をしっかり持った方が良い。
お金のためにじゃなくて、やりがいのため、なんですね。
そう。あとは、自分の軸で会社を選び出してほしいと思います。
地元を大事にしたいから転勤がない会社にしよう、とか、やりたい仕事が複数あるから、副業が認められている会社にしよう、とか。
どこかの人気企業ランキングを見て、とかじゃなくて、自分はどういう働き方がしたいのかという本質を常に据えておくことが大事ですね。
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