2022年05月02日
5月の大型連休を迎えると、志望業界を変えたり増やしたりした方がいいのかな、と考えることもありますよね。
就活生の真剣な悩みに「オファー型就活サービス」を提供するオファーボックス代表の中野智哉さんが答えます。
(聞き手:石川将也 佐藤巴南)
学生
石川
これからの時期、自己PRや志望動機などを、どうブラッシュアップすべきでしょうか。
3次、4次まで選考が進んでも、最後のところでなかなか内定がもらえない、という人も少なくないと思います。
3次、4次まで選考が進んでいる場合、会社から見たら“相性いい人”に認定をされているはずなんですよ。そこから先、企業は何を見るかというと、「この会社で本当に何がやりたいのか」というところです。
中野さん
本気で仕事をしている集団ほど、「本気で覚悟が決められるのかどうか」を、すごく大事にしています。
ですから、自己PRとか志望動機をブラッシュアップするというよりかは、もっとその企業を知ろうとすることが大切です。
知ろうとする?
志望企業が掲げている価値観などと自分の考えとの一致点を見出していかないといけません。
採用は仲間探しなので、応募者の欠点を見つける作業じゃないですよね。
はい、それは分かります。
一緒に働く“同志”を集めているので、本気で集中してやってくれる気持ちがどこまであるのか、それがその人の過去の経験と、どうリンクしているのかが知りたいんです。
そこが話せたら本気度が伝わるし、3次、4次で落ちるかどうかという分岐点はそういうところが大きいんじゃないかと思います。
では具体的に企業のどういう情報をみたらいいんでしょうか?
今は終身雇用を掲げる会社もだんだん少なくなってきていますが、とはいえ、採用する側からみれば一定期間働くということが前提だと思います。
そう考えると、入社直後のことだけではなく、そこを越えたもっと先を見据えてくれる人と一緒にやって行きたいのが企業側です。
志望企業が中長期的に何をやろうとしているのかは、企業のホームページやいろんな記事にも書いてあるのでそういうものを見ていく。
もう1つは、競争相手と戦うという意味で、「競合他社との違いとは何か」ということも見てみるといいですね。
あとは、会社の掲げる「ミッション」や「ビジョン」、「バリュー」といった項目と自分との紐付けを考えるのもすごく大事だと思います。
もう少し詳しく聞かせてください。
1カ月働けばこれだけ給料がもらえるから、という理由だと、ある程度経ったらどんどん気持ちが薄らいでいきます。
結局、働く会社と自分との紐付けが「なぜその会社で働くのか」っていうところとリンクするんですよ。
なるほど。
学生
佐藤
書類や一次面接など最初のステップでどうしてもうまくいかない場合は、志望理由や自己PRをどう見直していけばよいのでしょうか?
相性が良いか悪いかは、会社と自分の両者が決めることです。
自分は相性がいいと思っていたとしても、会社側が相性が悪いと判断したら、選考に落ちるのはしかたのないことなんです。
まあ確かに…。
ですから、その会社のために自分の過去を変えたり、性格を変えたりというのは、相当難易度が高いことだと思います。
そのまま入社してしまった後の方が大変です。本来の自分とは、違うことを求められるわけですから。
だから自己PRを磨くというよりは、「自分らしさ」をより表現できるよう、心がけていけばいいと思います。
今までの話を伺っていると、これまでの就活がうまくいっていなくても「ありのままの自分でいればいい」っていう捉え方で大丈夫ですか。
基本的にはその捉え方でいいです。
なるほど。逆に、自分のやりたい仕事を中心に探してもうまくいかない場合には、他の企業研究や業界研究をしていくべきですか。
難しい質問ですね(笑)それを言われたら元も子もないみたいなことを今から言いますが…。
世の中すべてのことを体験したうえで、未来をつくるのは無理なんですよね。
この業界で、こういう職種に就きたいということがあって、それをやってる会社を全部調べ上げて、全部面接を受けて全部落ちるってところまでやるのはほぼ無理です。
確かにそれは難しいですね。
就活は1社目で内定が出る人がいれば、何十社と受けて内定をもらう人もいます。
一定程度は運もあるので、気持ちを完全に切り替えて、他の業界を受けに行くかという判断はとても難しい。
あー、わかります。
これはすべてにおいて言えることでもありますが、就活はゲームではないので、完全な平等や公平はないんですよ。
運命の出会いがどこでくるか分からないですから、どのタイミングで切り替えるかは自分で決めるしかないんです。
なるほど。
もう少しがんばっていたらうまく行っていたかもしれない、ということが起こる可能性だってあるわけなんですよね。
だから、ものすごく悩ましいと思います。「見切りをつける」ってやつですね。
「見切りをつける」と表現すると、なんだかあきらめたみたいな感じになりますけど、こういうことを判断することって、ビジネスの場においても重要なんです。
不確定要素が多い中で判断し、意思決定をしなければなりません。
その時点で正解はないし、いい未来をつくれるかどうかはだれも判断できない。
そうですよね。
主人公が何度も過去に戻って人生をやり直す漫画のように、何回も選考をやりなおして、そのたびにこういう落ちがあったのか、みたいなことは現実にはないですから。
はい。
判断には責任が伴う。だから難しいし、迷う。だけど判断しないといけない。
正直、誰からアドバイスをもらっても、それが正解か不正解かはわかりません。だから、自分の中で納得できるところまで考えて、やり続けるのか、方向転換するのかを決めるっていうことだと思いますね。
では、もしこれまでチャレンジしてきた職種や業界に見切りをつけて、視野を広げていく場合は、どう探せばいいですか?
これまでの就活で「ここ良かったな」って感じた企業があると思うんですね。
それは業界がよかったからなのか、会社の雰囲気がよかったのか。
あるいは、会社の将来性に魅力を感じたのか、楽しそうに働く人の姿に自分を重ねたのか。よく考えてみると、理由があると思うんです。
そういう振り返りをすると、大事にしてるポイントがわかってくるんじゃないかな。必ずしも特定の業界だから、という理由じゃないかもしれないですよ。
確かにそのやり方なら、これまでの就活も無駄じゃなかったなって思えそうで、いいですね。
逆に「この業界しか行きたくない」という人もいると思うんです。
ダメだった企業にもう1度チャレンジするために、いわゆる就職浪人という選択肢をとるのは、良くないんでしょうか。
数年間、他の会社で力をつけて、中途で希望の仕事、職種を狙えばいいんじゃないかと思います。
そうでなければ、相当戦略を練って誰よりも早く内定を勝ち取るくらいの考えを持って、1年卒業を延ばすならありだと思います。
内定を勝ち取るために同業界でアルバイトをするなどの準備をすれば、即戦力で採ってくれるかもしれませんしね。
なかなかハードルが高い感じがしますね。
少ないかもしれませんね。でもそういうふうに自分から行動できる人なら、いわゆる就職浪人もありかなと。
逆に、1年間、自分から行動をすることもせず、企業側に変わることを望む人はやめた方がいいかなと思います。
最後に、就活生に向けたメッセージをいただければと思います。
やっぱり、入社できるかどうかで自分の人生が決まってしまうと思い込みやすいので、どうしても焦りや不安があると思います。
入社までのプロセスがすごく大事に見えますが、そんなことは全然ない。社会に出てからの方が色んな葛藤もあるし、逆に楽しさもあって重要なんですよ。
そのために、今何をするかを考えてやるのが大事かなと思ってます。
私自身も就活せずにニートをしていたこともありますし、いろいろな体験をしてきました。あきらめず、決めつけず、今ある状況でできることを動いていくことです。
どの会社に入っても、その先の自分の行動によって、それが「良い選択」だったのか、「悪い選択」だったのかが変わります。この方が圧倒的に将来を決めるのに重要だってことを改めて考えてほしいなと思っています。
なるほど、ありがとうございます。
ありがとうございました!
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