2022年03月11日
地元に帰って就職したい。新しい場所でやりがいや心地よいライフスタイルを見つけたい。そんなこと、考えたことありませんか?
この時期、震災学習で多くの学生が足を運ぶ岩手県で就職をサポートしている「ジョブカフェいわて」の高橋牧子さんに話を聞きました。
(聞き手:堤啓太、小野口愛梨)
学生
堤
高橋さんは、岩手県で就職を希望する人の相談に応じているんですよね。
相談に来る人ってどんな考えをもっている人が多いんですか?
岩手にどんな思いを持って相談にくるのかは、本当にさまざまです。
ジョブカフェいわて
高橋さん
『東京の大学に通っているけど実家がこっちにある』という人もいれば、『旅行で訪れたらすごく環境がよくて、岩手で就職したくなった』という人もいます。
ジョブカフェいわて チーフコーディネーター高橋牧子さん
岩手県が運営する就職支援施設「ジョブカフェいわて」に2005年から勤務。キャリアカウンセラーを経て、現在は、セミナーや学生向けイベントなどを運営するコーディネーターとして業務にあたる。
あとは『大学のゼミで被災地の学習をしていて、何回か訪問しているうちに、復興支援に興味を持つようになった』って方もいらっしゃいましたね。
学生
小野口
そうなんですね。わたしも、沿岸部の被災地にお伺いさせていただいたことがあります。
ありがとうございます。
あと最近は「孫ターン」の人もいますね。
孫ターン?
たとえば、東京出身なんだけど岩手におじいちゃんおばあちゃんがいる、というようなケースですね。
「孫ターン」でNHKの連続テレビ小説「あまちゃん」で有名になった三陸鉄道に就職して活躍している人もいますよ。
そうなんですね!!
震災から11年ですが、岩手県内の求職状況はいま、どういう感じですか?
被災した沿岸地域に限らず、企業誘致や地域の特色を生かしていろんな産業を盛り上げようとしています。
求人倍率も全国平均よりも高いですし、頑張っている企業が多いのではないかなって思いますよ。
僕らみたいな若い世代って歓迎されているのでしょうか。
そうですね、若い人たちがくると地域が活性化するという話を耳にします。
やっぱり若い元気な人たちに来てもらえると、元気をもらえますよね。
でも、被災地で暮らすとなると、震災当時を知らなかった人が行ってもいいのかなっていう思いがあったりもします。
心配しなくても大丈夫。少しずつ馴染んでいってほしいと思いますね。
その時の状況を知らないのはしようがないことです。
でも、自分たちの暮らしている地域を知ろうと思ってくれることがすごくうれしいというか。
私たちも伝えていかなきゃいけないなと思っていますし、忘れてほしくない。
来てくれたり何かに関わってくれたりすることがうれしいので、そこはつながりを大事にしたいなと思います。
岩手県にかぎらず、都会に住む学生が地方で就職したいなって思ったら、まずはどうすればいいでしょうか?
何をしたらいいか分かんないですよね。
私たちのようなUターンやIターンを支援している窓口というのは、各県に必ずあるので、そういったところにまずはコンタクトをとってみてください。
その地域の名称とUターンとかIターンといったワードで検索をしてみると良いと思いますよ。
「なんとなく興味がある」くらいで、メールや電話をしてもいいものなんですか?
もちろんです。どんな些細なきっかけでもかまわないので、まずは連絡ください。
ちゃんと理由を明確にしてから相談しないといけないって思っている人が結構多いんですけど、全然そんなことはないです。
連絡をしたら、その後の流れってどうなるんですか?
どういう地域でどんな仕事をしたいのかということや、生活するうえで大事にしたい価値観とかありますかっていうような形で、希望を聞きます。
その希望に沿うように一緒に就活の計画を立てたり、サポートを進めていくことになりますね。
インターンシップも紹介してもらえるんですか。
求人を紹介していくうえで『あ、やってみたいかも』って仕事が見つかったら、私たちが企業さんに問い合わせをしてコーディネートをさせてもらうこともしています。
それでもまだ、いろいろハードルがありそうですよね。
地方で就職活動する上で深刻な悩みなのが交通費かなって思います。
なんとかしなきゃいけないということで、交通費の助成もやっていますし、面接の際の交通費を支給する企業もあったりしますよ。
手厚い支援があるんですね。
そうですね。岩手に住んで働き続けるのであれば、『在学中に借りた奨学金の返済費用を補助します』という制度なんかもあります。
もし気になるようであれば、県や市町村のホームページをチェックしてみて下さい。
地域を限定して仕事を探すことの難しさってありますか?
東京みたいにすごくたくさん求人があるわけではないんで、地域ごとに求人の多い業種、少ない業種のバラつきがあります。
希望するような仕事がすぐには見つからない可能性もあるので、ちょっと視野を広げながら、情報収集してほしいなと思います。
ただ、地方だと都市部にある会社と比べて大きな仕事ができないんじゃないか、やりがいのある仕事が少ないんじゃないかって思っている人も多いと思うんですけど、そういうことは全然ないと思います。
あまり名前が知られてなくてもその業界では独自の技術を持っていて、シェアがナンバーワンの企業があったり、グローバルに事業を展開して業績をあげている企業もあったりするんですよね。
地域の活性化とか町づくりといった仕事ももちろんありますが、それぞれの業種・業界で頑張ってる特徴的な企業もたくさんあるとういことを、是非知ってほしいなと思います。
最後に、就活生に対するメッセージをお願いします。
やっぱり視野を広げていろんな企業を見てほしいなって思います。
就職活動っていろんな企業の人の話を聞いたり、いろんな仕事を体験したりすることができる人生の中でも数少ない機会だと思うんですよね。
「私はこの業種だけを受けるんだ」とかって今の時点で狭めちゃうことほどもったいないことはないので。
それはどこの地域で働くかっていうこともそうで、絶対東京で働くんだと思ってる人も、地方で働くってどんな感じなのかなとかって一瞬でもいいので考えてみてほしいですね。
ちょっと情報収集してみて、やっぱり東京で自分は働くんだ!となれば、それはそれでいいわけで。
逆に、地方も面白そうだなって思えることもあると思うので、まずは自分の固定観念で考えないで、いろいろ情報収集してみることをぜひおすすめしたいです。
ありがとうございました!
編集:清水阿喜子、撮影:徳山夏音
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