2021年11月29日
就職活動を始めて数か月…いろいろなギモンが溜まってきたという人も多いのではないでしょうか。就活って正解がない挑戦だからこそ、よけいに悩んでしまいますよね。
就活応援ニュースゼミではそんな不安を解消しようと、企業の採用担当のみなさんに集まってもらい、就活生が日々、気になっているギモンを直接、ぶつけてみました。
これを読めば「就活の本質」が見えてくるかも!?
(聞き手:梶原龍 白賀エチエンヌ)
今回、話を伺ったのは伊藤忠商事・キリンホールディングス・サイバーエージェント・三井住友銀行の4社の採用担当者の方たちです。
では、1つ目の質問です。最初の質問は、学生から大量に送られてくるエントリーシート(以下ES)って本当に全部読んでいるんでしょうか?です。
僕自身も就職活動中にたくさんESを書きましたが、すごく文字量や設問数が多いESもあり、本当に全部読んでいるのかなって疑問に思っていた節があります。
質問に対して○×でお答えください。よろしくお願いします。
伊藤忠商事は〇(全部読んでいる)です。
2022年度新卒採用では、書類選考のタイミングで提出してもらうものは4点ありました。
まず1点目がES。2点目が1分間の自己PR動画ですね。そして、3点目が適性検査の結果。4点目が大学の履修履歴です。
この4点をもって書類選考エントリー完了となりますが、この中のいずれかだけを重視しているということはありません。すべて、重視しています。
ESでは、みなさんがどのような学生なのかをテキストで理解します。加えてPR動画を見て人物像を総合的に理解するよう努めています。
選考が進んでいくと、1次~3次の面接の選考フローがありますが、必ず面接官にも事前にESを配布しています。
面接官にはESをしっかりと読み込んだ上で面接に臨んでもらっています。
面接の前にあらかじめ、読み込んでいるんですね。
したがって、書類選考ではもちろん見ていますし、その後の面接の際も、書かれている内容を重要視しています。
キリンホールディングスも〇の回答です。使い方は伊藤忠商事さん同様です。
入り口のところで、適性検査の結果とESを提出いただき、事務・営業系のコースでは1分間のPR動画を撮っていただいています。
サイバーエージェントもご応募いただいたものについてはすべて拝見しています。
人事の担当者だけではなく、現場の社員、総勢大体300名ぐらいで手分けをして拝見しています。
そんなにたくさんの人で!
三井住友銀行も書いていただいたESを全部読んでいます。
特に、残念ながら不合格にせざるを得ない学生さんについては、かなり重点的に見ています。合格した方については、その後の面接でも使います。
手分けをして読んでいるということですが、人によって判断基準が違ってしまわないんですか?何か共通の基準があるんでしょうか?
仰る通り、見る人によって視点が違ってしまうと評価のポイントが変わってしまいます。
詳細はお伝えできないんですけれども、選考官には説明会を開いて、こういうところを見極めて下さいというお願いをして、共通認識を持ってもらった上でESを確認してもらっています。
三井住友銀行の持田さんに質問なのですが、先ほど不合格者候補は重点的に見るとおっしゃっていたと思うんですけれども、学生から見ると意外な気がします。
不合格者の候補をどう分けるかのプロセスをお聞きしたいです。
ES提出と同時に適性検査を受けてもらい、その2つでESの合格不合格の判断をしています。
たとえば、適性検査の結果があまり振るわなかった方については、ESを重点的に見て、面接にお呼びしなくて大丈夫なのかを判断するというイメージですね。
なるほど。適性検査が基準を少し下回っていたとしても、ESがすごく良くて、面接で会ってみたいなと思ったら、通すこともあるということですか。
総合評価ではありますが、あり得ます。
学生側からすると適性検査で、“しまった、失敗した”と思ってもESで挽回できるチャンスはあるということですね。
そういうことですね。
ちなみに、“このESすごく良いなあ”とか、“このESを書いた人と会ってみたいな”って思えるような、良いESに共通する条件って何ですか?
基本的なことなんですが、文字情報だけでエピソードを確認しますので、まず端的に書かれてあって、なおかつ論理的な組み立てができていることは、内容以前の条件かなと思います。
その上で、エピソードの熱さや取組の内容を見ますが、エピソードの珍しさに引っ張られたり、すごく貴重な経験をしているからといって、それだけを理由に評価を高くすることはないようにしています。
エピソードの熱さは見るけど、珍しさには惹かれないようにするにあたっては、どのようにバランスをとっているんでしょうか。
エピソードの背景や状況の説明よりも、その課題設定に対してどういったアプローチをしたかというところの分量を重視します。
どんなにすごい結果を残されていても状況説明だけのESは記憶に残りにくいかなと思います。
なるほど。確かにそうかもしれません。
2022年度新卒採用のESは、その人がこれまでの人生で取り組んできたことを深堀りするような設問です。
あなたの人生で、チームで取り組み、成果を上げた経験について教えてくださいという設問から入ります。
その時の状況や、その中であなたは何を考え、どう行動し、どういう結果だったのかを聞くのですが、よくあるのは、本当は大事な要素なのにそれが省いて書かれているESです。
ESを読む人事担当者はあなたが経験したことを経験していない、という前提で書くのがまず大事だと思います。
前提ですか?
読む人の目線に立って、どういう情報があれば分かりやすく自分の経験が伝わるかをポイントを絞って伝えていくということです。
確かに自分のことを相手に伝えるって、簡単じゃないなと就活中によく思ったんですけど、大切な要素の見極め方もすごく難しいなと思います。
自分で何回も読んでみるというのが大事かなと思いますね。繰り返し第三者の目線で読んで、おかしいところや、話が飛んでいるところはないか探す。
さらにアドバイスをすると、「わかりやすい言葉を使う」というのがとても大事です。
わかりやすい言葉…、ですか。
例えば、僕は野球をやっていたので極端な話、“ホームラン”という言葉はみんなが知っているものと認識しているんですよ。
でも、野球を知らない人って、もしかしたらホームランが分からないかもしれないじゃないですか。
なるほど。何回も読んでみると次第に「もしかしたらこれは通じないかもしれない」ということが分かってくるっていうことですよね。
おっしゃるとおりです。
今回のまとめ
○学生から送られてくるESは全部読んでいる
○良いESを書くために必要なこと
・端的かつ論理的な組み立てを心がける
・読む人の目線に立って書く
・自分で何回も読み返す
・わかりやすい言葉を使う
次回はESにまつわるギモンをさらに深堀していきます。近日公開予定。
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