就活ニュース

帝国データバンクに聞いた!⑷ プロの信用調査とは?

2020年12月01日

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これまで、就活生も使えるという観点から聞いてきた信用調査のノウハウ。では、実際プロはどんなふうに調査しているのか?100年以上の歴史を持つ帝国データバンクの企業信用調査について、学生リポーターが聞いてきました。上級編ですが、自力で志望企業を調べたい派に役立つ情報も満載です。
(聞き手:勝島杏奈 田嶋あいか)

信用調査ってどんなことをするの?

学生
田嶋

私たち学生の場合、志望企業については、就職情報サイトや企業のホームページで情報を集めるのがメインなんです。

みなさんは普段どういうふうに企業の信用調査をしているんですか?具体的なイメージが湧かなくて。

まず依頼が来たら、その企業の商業登記をとります。

下川さん

帝国データバンクの調査について詳しく教えてくださったのは、同社情報部取材課記者の下川純さん(中央)

商業登記?

会社を設立するときには、会社の定款などを作って公証役場で認証を受けて、法務局に商業登記というのをするんです。

商業・法人登記とは?

会社等に関する取引上重要な一定の事項(商号・名称,所在地,代表者の氏名等)を審査した上でコンピューターに記録。
記録を一般に公開することで,会社等の信用維持を図るとともに,安心して取引できるようにすることが目的。

会社を作りましたっていう?

そうそう。法務局に行って、○月○日に会社を設立したいですって書類を提出してしばらくすると登記が上がります。

登記が上がると、誰でも法務局の窓口やオンラインで数百円払えば、登記された内容を見られるようになります。

学生
勝島

私たちも見られるんですか?

見られます。気になる企業や志望企業の登記ってどうなってるんだろうって思ったら、法務局に行って登記事項証明書(履歴事項全部証明書)を取ってみてください。

法務省ウェブサイトより

学生たち

へえー!

登記は会社の出生記録みたいなものです。

なるほど。わかりやすいです。

戸籍謄本みたいに情報が掲載されているので、住所、代表者、役員などを確認して本店住所にアポイントを取って訪問します。

直接、調査する企業に電話をして?

はい。アポイントが取れないこともありますけど、基本的に電話をして伺います。できれば代表者に会いたいです。

規模が大きな会社になると社長が忙しいこともあるので、数字を把握されている方で取締役や経理、財務担当や総務担当の部長さんなど責任ある立場の方にお話を聞きます。

そうなんですね。

通常、代表者にお会いして、業績のほか、「役員が最近変更になっていないか」とか、「役員の経歴」「資本金の増減」とか、「会社の事業内容に変更はないか」とかを聞きます。

これらは、業績など数値だけでは分からない会社の現状を全体的に知る上で重要なポイントなんです。

就活で社長や役員の方の経歴まで気にしたことがありませんでした。

どのような業界で経験を積んできたのか、どんな実績を残してきたのか、そういうこともヒントになります。

なるほど。今度からそういうところも見てみます。

でも一番知りたいのは、近況や直近の決算ですね。決算書をいただかないことには正確な報告書は作れないんです。

なので、決算書自体がいただけなくても賃借対照表や損益計算書のポイントとなる数字だけでも口頭で聞くようにしています。

すごくやることが多いですね!一つの企業を調査するのにどれくらいかかるんですか?

訪問して全部材料が揃えば1日で終わります。調査先にもよると思うんですが、だいたい1日に1〜2件の調査を実施しています。

公開情報を利用する

現地調査がうまくいかないこともありますか?

社長など代表権を持っている方と連絡がなかなかつかなくて・・・、うまくいかない場合もあります。

結構あるんですか?

たまにですかね。直接その当事者に聞けなくても取引先などを探して話を聞いたり、商業登記とか不動産登記を確認して変更点がないか調べます。

それから、保振(証券保管振替機構)」のウェブサイトで社債を出していないか調べたり、官報に決算公告を掲載していないかとか、公に出ている情報で調べられるものは全て調べ、企業のウェブサイトも確認して書きます。

ほふり……ってなんですか?

証券保管振替機構(通称”ほふり”)のウェブサイトより

上場株式のほか、公共債とか社債とか投資信託などの電子化された証券の振替を行なっている金融庁とか総務省の指定を受けた機関なんですけど、そこから企業の社債発行状況を確認できるんです。

社債とは?

企業が投資家から資金を調達する際に発行する債権。返済期限や利子がつき、投資家から借り入れた借金ともいえるため、企業の財政状況を知る手立ての一つになる。

どういった金融機関と取引しているのか、あるいはどのくらいの金額を調達したいのかがわかって参考になりますし、めったに見ないですが社債の償還が「遅延」になっている場合もあり、そうしたことは倒産の重要な兆候になります。

あと、倒産(法的整理)をすると官報に公告が出るので、検索して調べればわかります。

あと、ウェブで簡単に検索できるものとしては、希望退職や早期退職を募っていないか、ですね。退職者を募るということは、業績が厳しいということですよね。

ネットで検索できますか?

めぼしいものは、「希望/早期退職」+「企業名」でニュース記事が出てくると思いますよ。

これは就活生でもすぐに調べられそうです。

会社の評価とは?

実際につくられる報告書ってどんな感じですか?

こちらに信用調査報告書の見本があるので開いてみてください。実際にこのフォーマットで提供しています。

へえー!

帝国データバンクの信用調査報告書の見本。こちらは企業の概要をつかむために各ページから基本的かつ重要な事項を抜粋し、調査員の最終的な評価(評点)を加えたサマリーのページ。実際は10数項目にわたる詳細な報告書が作成される。

この一番下の評価って、どんなものですか?

評点という言い方をしますが、項目は定量点といって数値化できる会社の評価と、定性点という数値化できない評価があります。

例えば資金現況は定量面でもあるんですが、売り上げや収益性といった数字のほかに、回収状況とか支払い能力などについては当事者が「払えている」と言っても、払えていない時もあります。

取引先が「払ってくれない」と言っている情報をぶつけても認めないというような、非常にグレーな状況になることはしょっちゅうです。

そうなんですか。

定性面ではそういうことを総合して見ているので、特に調査員の経験や目利き力にかかってくるところが大きいと思います。

調査員の経験がものを言うんですね。

情報の開示が信用につながる

最後に、取材では実際に社長や役員の方に聞きづらいことも聞かないといけない状況もあると思います。そういう時に心がけていることはありますか?

私たちが取材に伺うときは、その企業の取引先やこれから取引をしようとしていた企業からの問い合わせがきっかけということがほとんどです。つまり、情報を必要としている債権者(取引先)がいます。

そうですよね。

聞きづらいことをお聞きすることもあるんですけど、一切応じてもらえないと債権者(取引先)は不信感を持ってしまうんですね。少しでも説明をしてくださることで、その会社の姿勢がわかり信用度は少なからず上がると思うんです。

もっとも、説明していただいても、まったく辻褄が合わなかったり曖昧で具体的でなかったりしたら、不信感が募ってしまいますが・・・。

はい。

ただ、取引を撤退しようと考えていた企業も「これについてはあそこの社長はちゃんと話してくれたんだな」と知ることで、内容によっては取引を継続しようと考え直すことも生じるかもしれない。

「お話いただくことが信用に繋がる可能性があります」という思いで取材をしています。

説得力ありますね。

企業にとって、信用がいかに大切かがわかりました。これからも、自分なりに“信用できる企業”を見極めていけたらと思います。

ありがとうございました!

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