2020年05月07日
新型コロナウイルスの感染拡大は例年の就活ピーク時を直撃。企業の採用活動のやり方も時期も急に変わり、どうすればいいか分からないという就活生もたくさんいます。就活生は今、何をしたらいいのでしょうか…。就職情報サイト「マイナビ」の高橋誠人編集長にアドバイスしてもらいました。
(取材は、企業を対象に4月9日~13日実施し、1926社が回答したアンケートをもとに行いました)
【再開は5月下旬?】
Q.
まずは、採用活動の実施時期についてお聞きしたいです。アンケート結果をみると、例年より遅れていますよね。
高橋さん
例年は3月がピークの個別の会社説明会を、5月下旬でも40パーセントの企業が実施するということなので、遅れています。
Q.
多くの採用活動が5月下旬に再開を予定されているようですが、なぜですか。
高橋さん
調査時は、緊急事態宣言が5月6日までとなっていました。外出自粛要請が和らげば、5月下旬に採用活動を再開しようということだと思います。
Q.
事態が落ち着かなければ、採用はさらに後ろになるのでしょうか。
高橋さん
可能性はあります。4月上旬のこのアンケートの段階では、5月上旬まで外出自粛だとしたら、5月上旬から学生に案内して、5月下旬に再開できるかという見立てです。企業も学生に会いたい、採用活動はしたいと思っています。
Q.
内々定出しも遅れていくと、例年なら次年度の就活生向けのインターンシップが始まる時期にもかかってきます。
高橋さん
そこが痛いところです。インターンシップ自体ができるのかというのもあります。今の新卒採用のフローは、インターンシップから企業を知ってもらうことがキーになっています。どうやってやれるのか、WEBでもできるのかと、ちょうど検討しているところだと思います。
Q.
大変な状況は、学生だけではないんですね。
高橋さん
就活生はもちろん大変ですが、企業も大変です。4年生中心の就活生の採用を行い、さらに次年度、3年生中心のインターンシップの準備を同時にやらないといけないのですから。
【就活生はどうすれば?】
Q.
こういった状況で、学生は何をしたらいいのでしょうか。
高橋さん
できることは何かというのを明確にしないと不安を感じますよね。
高橋さん
まずは情報収集。情報を整理する時間がとれますよね。去年までは3月が就職活動のピークで、“ジェットコースター就活”と呼んでいたけど、今はそうではないですよね。
なんとなくテレビ見ながらとか、なんとなくネットサーフィンするだけじゃなくて、志望業界があったら、志望業界の現状を自分のことばで語れるように、目をつけている企業があればその企業のことや、競合他社のことを整理するといいと思います。
Q.
ただ情報を集めるだけじゃなくて、調べてまとめることが重要なんですか。
高橋さん
就職活動においては、面接やエントリーシートもそうだけど、インプットした情報をアウトプットすることが必ずついてまわります。気になったニュースに自分のコメントを書いてみるとか、自分の意見をもってアウトプットしていく。
業界に関しては自分の意見を整理しておくべきですし、企業に関しては当然志望企業だけでなくて、競合他社との比較。自分の視点できちっと述べることができるよう準備しておくほうがいいです。
Q.
外に出られなくても、できることはあるということですね。
高橋さん
特に社会全体に目を向けることも、これを機にやってほしいです。ニュースサイトを見るとか、情報収集の頻度って増えていると思うんです。1日に何人がコロナにかかったとかニュースとか見ていると思う。
さらに、日本国内だけじゃなくて、世界にも目を向けること。企業の選考に参加するだけが就活じゃないので、いまの時点でできることを精査して全力で取り組んでほしいです。
【WEB面接は“慣れ”】
Q.
面接のWEB化が進んでいますし、この対策はできますか。
高橋さん
私もWEBで取材を受けることが増えていますけど、やっぱり直接会うのとは雰囲気も状態も違いますよね。
Q.
取材の現場でもWEBを使うことが一気に増えました。
高橋さん
実際にやってみると、対面で話すよりも、WEBのほうがより伝えようと話す必要があるなと感じます。面接もそうだと思いますけど、慣れるしかないんですよね。友達と模擬WEB面接をやってみるとか、自己PRの練習だったり、やれることはいろいろあると思うんですよね。
Q.
模擬面接は、こうしたらいい!というのはありますか。
高橋さん
例えば実際に着るのであれば、スーツを着て模擬面接してみるのもいいと思います。本番に近い形でやってみると。同級生や先輩後輩に協力してもらって面接の練習をしてみると社会で求められる積極性も養われるので、自己を高めることができると思いますね。
Q.
自己分析や自己PRをやり直すタイミングでもあるのでしょうか。
高橋さん
自己分析からの自己PRは、面接で必須で聞かれますよね。去年だと2月末までに作り上げ、3月・4月にアウトプットするスケジュールでした。こういう状況だからこそ、もう一度やり直しもできます。自己分析とは言いながらも、周りの環境とのつながりですから、実家の両親に聞いてみてもいいですよね。
こういう状況で今後、5年後10年後、自分がどうキャリアを積んでいくのか、こういう世の中をどう生きていくか。自分を見つめ直す時間を同時につくっていただければと思いますね。
【企業はみんなを待っている】
Q.
学生に伝えたいメッセージはありますか。
高橋さん
就活生が不安に感じている状況は、採用する企業も気にしていて、早く皆さんに会いたいと思っています。社会は新卒の方々を大切にしていますし、貴重な存在です。社会が成長していくためには新卒の力はすごく大事ですから、社会も待っています。
一方で学生には現在できること、この状況でできることをまずは自分で考えて、目標を持ってそれに取り組んでください。こつこつやっていけば、状況が変われば企業と接するチャンスがでてくるので、それまでしばらくは頑張りましょう。
▽新型コロナウイルス直撃の就活(1)「採用活動は継続?止まってる?」はこちらからご覧ください。
取材・構成 加藤陽平
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