2019年10月04日
10月1日の内定式。今年はちょっと変わった動きも。みなさん気づきましたか?
10月1日。この日、志望した企業から無事に内定を得た女子学生は、就活の履歴書に使った写真を見せてくれた。写真には、黒髪をなでつけて後ろで束ねた「ひっつめ髪」をしている彼女が写っている。けれど、この日の彼女は明るいベージュに染めて毛先をカールさせた髪で、笑顔で話してくれた。
「日頃は明るい色なので、就活の時だけ黒く染めるのは嫌でした。でも就活をしている当時は、周りがみんなそうなので、悪目立ちしたくなかったんです。」
黒髪に地味なリクルートスーツが定番となっている昨今の就職活動。
“画一化”、“没個性”とも言われる流れを変えようというキャンペーンがこの秋、行われている。
「#令和の就活ヘアをもっと自由に」。生活用品メーカーのP&Gと、就職クチコミサイトの「ワンキャリア」が企画し、インターネットや、新聞、屋外広告などで展開したキャンペーン。139社が賛同し、髪型をこれまでよりも自由にして、まずは内定式にきてほしいと呼びかけた。
内定式当日の10月1日。実際に、キャンペーンに参加した中堅商社「日鉄物産」の内定式を取材した。内定者は66人。会場には、一見して明るい髪色の女性が目立つ。髪型をツーブロックにする男子学生もいて、いわゆる就活っぽい髪型とは似ても似つかない。人事担当者に聞くと、例年よりも特に、髪を下ろしている女子学生が多いと言う。
日鉄物産はキャンペーン以前にも、画一化した就活を少しでも変えようと取り組んできた。企業の説明会や採用イベントなどでは「当社では私服での参加を推奨します」と呼びかけてきた。人事部長の谷山英毅さんは、その意図をこう話す。
「就職活動中は、同じ髪型、同じスーツが多く、面接でも自分を押し殺したような答えが目立ちます。少しでも服装など自由になれば、柔らかさというか、その人らしさ、魅力を見ることができると考えました」
とはいえ、自社だけで動いたところで、学生を変えることは難しい。そう考え、今回のキャンペーンに賛同し、内定者にも事前に企業としての思いを伝えた。
内定式で学生たちの様子を見た谷山さんは「ビジネスパーソンとして状況に合わせた節度を持ちながら、きょうはみんな明るく自分らしさを出してくれて、これからの活躍が楽しみです」とにこやかに話した。
内定式後、別の女子学生にも話を聞いた。茶色く染めた髪にゆるくウェーブをかけていた。メイクも就活の時とは違って、少し華やか目。企業側が率先して自由な就活を呼びかけることについて、「令和って感じがします」と、好意的に受け止めていた。
「ふだんの一番自分らしい髪型で、新社会人になるんだって実感しました」
内定した学生の中には、もともと地毛が茶色い男子学生もいた。自身はそのままの髪色で就活をしたが、不安もあったという。
「僕みたいに不安を抱えている人も当然いるので、『自由な髪型でいいよ』と広まれば、僕のような人でも自信を持って就職活動に取り組めるようになると思います」
今回の取り組みには、学生からも好意的な声が聞かれた。とはいえ、本当に自由な髪型で就活をしていいものか。学生にはまだまだ不安が残るのが事実。「就活ヘアをもっと自由に」するには、企業側が継続して意思表示をする必要がありそうだ。
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