教えて先輩!ツイッター 岡本純一さん

ツイッターで働く人が「SNSを閉じてみて」と言う理由

2019年09月06日
(聞き手:井山大我 西澤沙奈)

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今回の「教えて先輩!」は、ツイッターで、広告サービスの開発に関わっている岡本純一さんです。

日本の広告会社から、外資系であるツイッターに転職した岡本さん。その決断にはどんな背景が?そして、ツイッターの「中の人」は、どのようにSNSを活用しているのでしょうか?

飛び込んだ、7年前のツイッターは・・・

学生
西澤

さっそくですが、岡本さんが現在担われている業務内容を教えて下さい。

僕は普段はシンガポールにいて、日本、中国、オーストラリア、西はインドまでのエリアを担当しています。

岡本さん

具体的な業務はツイッターと連携して広告ビジネスを始めようとしてくれるパートナー企業を探して、連携・サポートしています。

難しいですね・・・

難しいですよね(笑)

ツイッターという会社は、広告枠を売ってビジネスをしているんですね。

僕はパートナー企業と一緒に、ツイッターの広告を売りやすくするシステムの開発をサポートする仕事をしています。

学生
井山

今の業務はいつごろからされているのですか?

3年前からやっています。ツイッターに入社して、営業を2年、そのあとプロダクトマーケティングを2年、そして今の仕事を3年。もう古株です(笑)

その前は、国内の広告代理店に4年くらいいました。

日本のツイッターでは、僕の入社が34番目で、当時は全部でそのくらいの人数しかいなかったので、できることは何でもみんなでやってこうっていう感じで。

外資系に転職したのはどうしてですか?

やりたいことが、結果的に外資だったという感じです。

日本の広告代理店にいたとき、これからはデジタルの広告=SNSだと思っていました。

僕が転職した7年前は、SNSといえばグーグル、フェイスブック、ツイッターでした。だからその3社を受けて、お声がけを頂いたのがこの会社でした。

この7年間でツイッターはかなり成長したイメージがあります。逆に言うと、7年前は日本においてツイッターはどういった立ち位置だったのでしょうか。

いい質問ですね。

当時はツイッターのユーザーも今ほどいなかったので、広告の営業はとても苦労しました。

「広告はグーグルとヤフーとフェイスブックに出せばいい」という企業さんが多かったので、「ツイッターはこういう価値があって、ユーザーと対話できます」と営業しても、当時はまだ「ユーザーと対話して何が良いの?」という感じの企業さんが多かったです。

業界での立ち位置がそこまで強くない会社に入ることは不安ではなかったですか。

不安はありましたね。社員数も少ないし。

今だと、ありがたいことに毎日、ひっきりなしに広告の依頼を頂くんですけど、当時はもう3日に1回あるかないか。その額も、今が1件数百万円だとしたら、当時は1件10数万円とかですので。

ただ、それでもみんな「うわ~!広告出して頂いた!」みたいな感じでした(笑)
なので、不安はあっても、楽しみのほうが大きかったですね。

朝起きてすぐ、電話会議!

次に岡本さんの1日のスケジュールについて伺っていきたいと思います。

とある1日のスケジュールですが、僕は今、シンガポールで仕事をしていて、上司はニューヨークにいます。他のメンバーはサンフランシスコにいます。

僕は、朝の6時半くらいに起きて、朝7時から8時くらいに、ニューヨークとサンフランシスコにいるチームのメンバーと30分~1時間くらいコール(電話会議)します。

起きてすぐ情報収集ですか?

はい、僕が寝ている間にアメリカは動いているので、起きてすぐスマホでSNS見て、アメリカでどういったことが起きてるかをチェック。ニュースも見ます。

その上で電話会議にのぞんで、「この前ロスで地震あったけど、サンフランシスコは大丈夫だった?」とか話したりしています。

情報収集するツールは、ツイッターかフェイスブックが多いですか?

そうですね。ソーシャル系が多いですね。

テレビは見ないんですか?

その朝の電話会議が終わって朝食を食べるときに、テレビを見ますね。

そこでさらにCNNやNHK WORLD(NHKの日本国外向けの英語放送)を見て、日本のことやアジア太平洋全体の情勢を確認しています。

中国の情勢も非常に注視していかないといけないですし、インドなども情報を厚めに収集してます。

情報を、日々の仕事にどう活かしているのでしょうか。

やっぱり、トレンドをつかむことが大事です。

企業さんから「ツイッターを使ってユーザーと対話をしたいけど、どういった形でするべきか分からない」というご相談を頂くこともあるので、そういう時は、「こういうトレンドがあって、そこに乗ってツイートしているブランドもありますよ」などとご紹介しています。

例えば、(バスケットボールの)八村塁選手が鮮烈なデビューを飾ったタイミングに合わせて「おめでとう」みたいな企業広告を打つとか。

そういったアドバイスをするときに、自分がそのトレンドについていけていないといけない。

逆に、「今、この国は情勢が緊迫しているので、広告出稿は抑えた方が良いかもしれません」みたいに言うこともあります。

ゴーサインを出すだけでなく、そういう情報も大事なんですね。

大事ですね。そういった情報も全部入ってくるのがツイッターです。

もちろん広告を売りたいという思いもあるんですけど、逆にネガティブな反応で「もうツイッターやりたくない」と思われてしまうと一番よくないので。

ツイッター以外も使ってます!

ツイッターで働いている人たちは普段どういうツールや情報をチェックしているんでしょうか?気になります。

うーん、一番はツイッターかな(笑)
でもやっぱり、新しく出てくるプラットフォームは興味津々に見ています。

今だと若い子がTiktokをどうやって使ってるのかなとか、少し前に流行ったMastodon(マストドン)とかも。

新しく出てくるソーシャルサービスに対しては自分でもユーザーとなって使うようにしています。

ツイッターは、「社員が他のプラットフォームを使っちゃダメ」という方針は全くないので、いろんなものを使ってみて、ツイッターに足りないものは何だろうとか、ツイッターと組み合わせるとどうなるだろうっていうアイデアを考える機会にもなります。

「情報の取捨選択」ってどうすれば効率的ですかね。僕は、スマホを見始めると、どうしてもだらだら見てしまって、時間を無駄にしてしまうんです。

僕もそうなんです(笑)
僕は、自分の今の仕事の内容に一番近いものは何?って、立ち戻って考えるようにしています。

例えば香港のデモについてだったら、「中国のクライアントはどういう影響があるかなとか?」とか、自分がビジネスで関わる方に影響がある/ないでまずはフィルタリングします。

次は自分が興味がある/ないでフィルタリング、っていう感じですかね。

就活で大事なのは「最新情報」だけじゃない?

岡本さんの学生時代の話をお伺いしたいです。

僕は学生時代は、全く勤勉ではなかったですね・・・。

部活は入ってなくて…空手同好会は入っていたんですけども膝を痛めて辞めちゃって。

「自分の大学生活どうしようかな」と思った時に、開発経済について学びたいと思って、大学2年生の時にそのゼミに入りました。

大学3年の時に、実地研修に行く機会があって、僕はインドのムンバイとデリーに1チーム5人で行って、そこで活躍する日系企業に取材をさせて頂きました。

「開発経済における日本企業の立ち位置」というテーマだったんですけど、日本で名だたる企業も、インドっていう非常に大きなマーケットだと思ったより存在感が薄くて、まだまだ日本企業のプレゼンスって大きくないんだと感じたんです。

なので、就活のときは、日本企業が海外で活躍できるようなことがしたいと。「コミュニケーション」っていう観点で、日本企業を支援できないかな?と思って、広告業界を第1志望にしました。

開発経済に興味があったということは、海外に興味があったんですか?

そうですね。僕は5歳から10歳ちょっとまでアメリカで過ごして、日本に帰ってからも帰国子女がたくさんいる学校に編入できたので、海外の友達と話をする機会が多くて。

就活のときは、海外に行きたいとか、外資系に絶対行きたい、とかではなかったんですか?

全くなかったですね。僕は大学時代に、こんな仕事してるなんて、夢にも思わなかったです。普通に日本企業で働いて、定年を迎えると思っていたんですけど。

でも、いろんな経験を積んでいくうちに、いつからか、貪欲に「もっとこういうことをやっていきたい」っていう思いが芽生えてきました。

就職活動の時は情報をどう活用していましたか。

業界の最新動向だけではなく、過去、というか、歴史も勉強するようにしていました。

例えば車が好きだったのでホンダも受けたんですけど、ホンダの今の現状だけじゃなくて、例えば本田宗一郎さんがどういった理念を持っていたか、とか。

「SNSを閉じてみて」と言う理由

ツイッターでも、正しい情報も間違った情報もあると思います。そういった情報との向き合い方についてアドバイスがあれば教えて下さい。

そうですね、結局は「自分が何を信じてるか」だと思うんですけど、ただなるべく中立に、一方の情報を取得したら、もう一方の情報も取得するようにして。

政治に限らず、いろんなものにおいて、双方の意見を見たうえで自分はどう思うかを考えるようにしています。

いろんなものを吸収した方がいいと。

そうですね。基本的にはなるべく穿った見方っていうよりも、一歩引いた形で情報を収集したほうがいいかなと。

SNSを見ているとどうしてもこう、視野が狭くなってしまうんですけど、一歩引いて情報に触れるためにはどうすればいいですか。

そうですよね、僕も視野が狭くなりがち。そういう時はなるべく、1回SNSを閉じて、友達や親と話をしたり。

ちゃんと対面で人と話をして、「こんなニュース見たんだよね」「こういう情報見たんだよね」と、リアルで話をするのがいいと思います。

視野が狭くなった時に、そこから抜け出す方法って、誰かに後ろから頭をパーンって叩かれるのが一番いい。

だから先輩でもいいし、親でも友達でもいい、身近な人からいろんな意見をきいて「あっ、そうか!」って思うことが大事だと思いますね。

リアルなコミュニケーションが大事だと。

すごく大事かなと思います。

岡本さんにとって、情報とは何ですか?

生命線」だと思ってます。

情報がないとクライアントやパートナーとお話することもできないですし、そもそも情報のインフラみたいなサービスを提供していますからね。

ツイッターがあることによって、色んな人が発信できるようになって、それが本当に情報にもなっていますよね。

今、働く上で「最新の情報を持っている」か、あるいは「アーカイブとしていろんな情報を持っている」が非常に大事になってくると思います。

どの業界でも、どちらかの情報を持っている人が活躍できる世の中になってきていると思うので、ここはとても大事なところかな。

今、仕事は楽しいですか。

楽しいですし、つらいです(笑)

いろんなことを常に吸収しなきゃいけないし、アメリカの本社からは「お前あれどうなってるんだ?あれやれ、これやれ」って言われるけれど、自分のやってることが、会社の成長にダイレクトにインパクトを与えていることが実感できる。それはすごく楽しいです。

皆さんも、そう思える仕事に就いてほしいので、是非頑張って下さい!

ありがとうございます!

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