2020年06月09日
(聞き手:勝島杏奈 田嶋あいか)
新型コロナウイルスの感染拡大で、一気に広がったリモートワーク。これからの働き方ってどうなるの?社員全員がリモートワークで働いている、キャリアカウンセリング会社を25歳で立ち上げた喜多村若菜さんに、働き方のアイディアを伺いました。
きょうはよろしくお願いします。
よろしくお願いします。
どんなお仕事をしているんですか。
オンラインでキャリアカウンセリングの仕事をしています。
ただ、私自身がキャリアアドバイスをするわけではなくて、10数名いる複業のキャリアサポーターが対応していて、私はそのサービスの運営をしています。
fruor 代表取締役CEO 喜多村若菜さん(27)
大学卒業後、コンサルタントなどを経て、25歳で子育て中の方のキャリア支援事業のために起業。2019年11月からオンラインでのキャリアカウンセリングサービス「ミートキャリア」をスタート。メンバー全員がフルリモートの複業で働いている。
オンラインでやっているんですよね?
はい。創業時から「ライフステージに合わせた働き方」、「自分に合った働き方を実現する」をビジョンにしているので、みんな全国からリモートで繋ぎながら仕事をしています。
ということは、直接会って仕事するのは少ないんですか?
実際、きょう一緒にオンラインに参加している、うちの広報担当とは、東京に旅行で来られたときにお会いしたくらいですね(笑)
新しい働き方ですね。ところで、仕事の上で、新型コロナの影響はありましたか?
うちの会社としては、働き方の影響はほぼゼロといっていいほどなかったですね。
一方で、コロナで働き方がガラッと変わったり、仕事が変わったりした人も多いと思います。
今後の働き方やキャリアに不安を抱えている人も多いようで、3月以降、サービスの登録者がどんどん増えています。
在宅で相談を受けられるので、キャリアを考え直す人が増えているんでしょうね。
相談に来る人はどんな人が多いんですか?
今、カウンセリングさせていただいている方々って、30代の女性が多いんです。
私ももともとそうだったんですけど、女性の方って例えば30歳で結婚して子供産んだらいっぱい働けなくなるから、それまでに逆算してめっちゃバリバリ頑張って、みたいに考えていて。
なるほど、わかります。
でも、ライフイベントって正直コントロールできないんですよね。
子どもが生まれるタイミングもそうですし、結婚も30歳だから結婚できるわけでもないので。
だから、突発的に起こるイベントにも合わせて柔軟に働き方を変えていかないと。
なるほど。
今や新卒で入って、60歳で定年という働き方も崩れてきていると思うんですけど。
計画が狂ったからといって、キャリアを諦める人をなくして、その人にとっての働き方を作っていけるような支援をしたいなと。
女性は結婚・出産で働き方がどう変わるか、気になります。
そうですよね。でもキャリアも育児も人生を豊かにするためにあると思っています。
ただ、相乗効果で上に上がっていくはずのものなのに、実際は「育児があるから仕事ができない」「仕事があるから子供に寄り添えない」とか、双方が下げ合ってしまっている現状がありました。
育児と仕事を両立できない一番の理由ってなんですか?
今の働き方って正社員の場合、「週5フルタイム」が基本で設計されていて、「時短」の働き方もあるけれど、それだとキャリアアップが見込めなかったりするんですよね。
でも家庭の形はそれぞれ事情が違います。バラバラです。
となると自分が「週5フルタイム」の働き方に寄せないといけなくて、自分の家庭を犠牲にしたりとか、自分が働き方に合わせたりしていることが課題だと感じています。
なるほど。
そこを例えば、「この期間は家庭に合わせて、この期間は仕事ができる」といった形でそれぞれの家庭やその人のやりがいに合わせて設計できれば、家庭も育児も両立できるかなと思いますね。
今は「週の半分をフルタイム」で働いて、また仕事を頑張れるようになったら「週5」でみたいな。
新しい働き方を個人個人が作っていけるような形でできたらなと思ってます。
今回の新型コロナで働き方が変わってきていると思うんですけど、この先どうなりそうですか?
働き方については2つの変化があると思っています。一つはジョブ型の働き方です。
ジョブ型?
そうです。今までは人に仕事を割りあてる働き方でした。でも、これからは仕事に人を割り当てるジョブ型の働き方が進んでいくと思います。
今までは頑張っている様子などのプロセスを含めて評価されていたことが、リモートになることで成果を出さないと評価されないという形になります。
なんだか怖いです。
逆にいうと、成果を出してさえいれば時間的な制約にはとらわれないことになるので、子育て中の方にとってはプラスかなと思います。
そしてもう一つは「ワーク・ライフ・インテグレーション」と言うんですけど、仕事も家庭も1つの生活の中に合わさってくるような働き方、暮らし方になると思っています。
どういうことですか?
例えば定時の概念が無いので「ここからは仕事の時間にしよう」といった、セルフ管理能力が大事になってきます。
あと、自分のなかでの優先順位付けが大事になってくるかなと思います。
でもそういう働き方になれば最高ですよね。
そうですね。結局は男性側の働き方がそうなってくれることが、子育て中の方にとっても一番効果があります。
誰もがそういう働き方になると、いい方向に変わってくるんじゃないかなと思います。
今まで以上に自分がありたい姿とか、自分を理解していないといけないですね。
はい、かなり大事だと思いますね。
私は今、大学4年生なのですが、やりたいことや自分の将来をあまり想像できていなくて・・・。
一概に「こうすれば自分のやりたいことが見つかる」というのはないと思うんですよね。30代になっても悩んでいる方はたくさんいらっしゃいます。
ただ一つ思うのは、他の方にはできないことだけど、自分が苦労せずにこなせることは絶対にあると思っています。
もし将来をうまく描けないときは、過去から深掘りして自分が大事にしていたことや得意だったことなどを考えると良いです。
なるほど。いつのときも自己分析は大事なんですね。
しかもそれってすぐに変わるんですよね。周りの環境や業務によってその人の特技はアップデートされるので、いくつになっても大事だと思います。
会社のツイッター、かなりの頻度で更新されていますよね。
そうです。消費者との距離を近くするっていうのは大事にしています。すごい絡みにいったりとか(笑)
会社として発信も行っているし、どういうツイートの反応があるかも気にしています。
ニュースを見るときもそうで、ニュースに対して消費者がどういう反応をしているか、コメントしているか気にしています。マクロな動きはニュースアプリで、ミクロな動きはツイートで。
あらゆる角度からニュースを見るんですね。
そうですね。ツイッターは匿名性もあって、一番リアルな声が上がっているので、否定的な意見、肯定的な意見、結構みています。
ニュースの見方も、学生や社会人1年目は、トップニュースに出てくるようなニュースを見ていたんですけれど、今は働き方とか組織とか、その領域に特化したようなニュースを見るようになりましたね。
最近気になったツイートはありましたか?
やっぱり今はガラッと働き方が変わってきているので、個人の方がどのような課題を抱えているのかもツイッターで見るようにしています。「子どもがいて仕事ができない」とか、逆に「在宅勤務最高!」とか。
あと、ツイートの時間帯も意識しています。
時間ですか?
はい。子育て中の方の場合、退社して保育園に行く間の16時、17時台と子どもを寝かしつけた後の21時から23時くらいの時間が、一番ツイートが活発になる時間なんです。
全体的にみても、ツイートは夜の方が活発なので、この時間帯の投稿はチェックしますし、積極的に投稿もするようにしています。
時間帯を意識するというのは面白いですね。
起業までの思いやいきさつを聞いた後編は、こちらからごらんください。
編集 成田大輔