2023年01月04日
(聞き手:佐藤巴南 堀祐理 本間遥)
Eテレで放送中のお悩み相談番組「ロッチと子羊」でユーモアを交えた軽快なトークを披露しているお笑いコンビ、ロッチ。バラエティーを中心に活躍している2人ですが、実は、それぞれお笑いの仕事から離れていた時期があるんだそう…。
でも、彼らはそんな経験をしているからこそいまの自分たちがあるんだと話します。番組収録を終えた2人に話を聞きました。
学生
佐藤
お二人はなぜお笑いの仕事を目指されたんですか?
中学校の時、勉強がすごい苦手で嫌いだったんです。
ロッチ
コカドさん
そこで母親が「吉本が学校を作ったらしいよ」と教えてくれて。
お笑い好きだったし、学校の勉強をしなくて済むのかなと思って書類を送ったら、高校じゃなくて養成所だったんですね。
結局、その養成所に通いながら高校にも行きました。部活動みたいな感じで、放課後に養成所に行って。
へ~。
養成所は高校2年の時に卒業して、そこからずっと吉本の舞台に立っていました。
高校卒業後も、流れでそのまま続けて。
学生
本間
強い決意をもっていたわけではなかったんですね。
そう。だからきっかけとしては、お母さんに言われたからってことになる(笑)
中岡さんはどうですか?
高校時代、大学に進学するかどうかって考えた時に、最初に思い浮かんだのがお笑い芸人やったんです。
ロッチ
中岡さん
小学校の卒業アルバムにも「将来の夢はお笑い芸人だ」って書いてあるんですよ。
そこまで大きな夢と思ってなかったんですけど、大学行くか、お笑い行くかの2択だった。
あと、通っていた高校に競艇の好きな先生がいて、僕の体格がボートレースにぴったりだって言ってそっちに行かされそうになって。
「やばいやばい、そっちに行ってしまうわ」ってなって、「お笑いやりたいんです」ってはっきりと言っちゃったんですよね。
だから、みんなが言うような「めちゃくちゃお笑いが好き」って言う訳でもなく、自然とそうなっていった感じです。
中岡さんは一度お笑いを辞めて別の仕事をされていたとお聞きしました。
それ、涙涙の話なんです…。
お笑い芸人になった時にね、彼女ができたんですよ。
でも、やっぱり不安定な仕事だと思っていたから、結婚するならちゃんと定職に就いた方が良いかなって。
それでお笑いを辞めて、お父さんのゴリゴリのコネで5年間、工場で働きまして。
そうだったんですか!
がんばって結婚資金貯めて、プロポーズして。
でも、結婚する気はないと言われて、お笑いに戻った。
学生
堀
え…。
ちなみにどんなお仕事をされていたんですか?
ネジや車のギアなんかを作る仕事ですね。
一旦そこで働いて修行して、親父の会社へ戻ろうみたいな感じで。
5年間、お笑いから離れて感じたことはありますか?
好きなことやってたんやな!って。
お笑いが好きだと思いましたね。
工場での仕事はどうだったんですか?
まあ大変やったけど、不幸だとは思わなかった。
でも、お笑いが忘れられなかったということですか?
そうです。こんなにドキドキすることないですよ。
スベるんちゃうか!とか、劇場に出る前の緊張感を、僕らは日々、感じているワケなんですよ。
お笑いから離れてみるとその緊張があんまりないから、なんかなあーとは思いましたね。
コカドさんは別のお仕事の経験はあるんですか。
古着屋さんです。
学生のころから古着が好きで、芸人にもなりたいけど、古着屋さんにもなりたいなと思っていたんです。
それで、何かのきっかけで古着屋さんをやるチャンスがあった時に、やろうと思ったんですよ。
まわりの芸人には「お笑いはちょっとの間、辞めてるだけやから」って言ってたけど、うまくいけばそのまま古着屋になりたいと思ってたから、社員として働いていました。
結果として、どうしてお笑いの世界に戻られたんですか。
めっちゃ古着屋楽しかったんですよ。
でも、芸人をそのまま続けたらどうなるんやろうという想像が出来なかったから、もう一回芸人やって試そうみたいな。
ぜいたくな話ですよね、2つもやりたいことがあって。
2つもやりたいことに出会えるってなかなかないと思います。
確かにね。でも、熱中できることってほかになくて。
たまたま熱中できるものが、お笑いと古着だった。
やっぱり、いまの仕事が自分に合っているお仕事だと思いますか。
毎日毎日いろんなことできるし、楽しいですからね。
ぼくも、朝起きて、「今日仕事行くの嫌やな」と思ったことがないですからね。
学生一同
え~っ!
「うわぁ、きょう、嫌や」って思ったことないです。
工場の時は毎日思ってました。
今も朝起きる苦しさはありますよ。
1度お笑いから離れて別の仕事をした経験は良かったと思いますか。
僕は良かったですね。だって、やっていなかったら、ずっと「古着屋やりたい」と思いながらお笑いやってたから。
それはお笑いを続ける上で邪魔な感情やったと思いますね。
古着屋を経験していろいろ分かったから、集中してお笑いができるっていうのはあるかもしれないですね。
僕は工場で働いて、当たり前のことが少し分かるようになったかもしれん。
「あーそれ知らんかった」ってコカドくんに言われたのが、“日曜日の夜がしんどい”って経験。
次の日が月曜日で「また1週間仕事だぁ」みたいなしんどさを僕は経験してるから、その気持ちはなんとなく分かる。
まったく分からへん…。経験してないからね。
これはびっくりするぐらいあるのよ。「日曜の夜やあぁぁ…」っていうのが。
(笑)
そういう視野は広がったかな。
古着屋さんでの経験や、工場での経験がお笑いで生きたこともありますか。
お笑いは、経験が全部プラスになるんで。
そうそう。お笑い芸人やから良いことも悪いことも武器になる。
だから何か大きな失敗をしたとしても、それはすごい武器やから。
思い出すたびに傷口は痛むかもしれないけど…(笑)
なるほど!
なかなかやりたいことを見つけられない学生に向けてアドバイスをお願いできますか?
何が向いてるか、お母さんに聞いたらいいと思う。
(笑)
いろいろ考えすぎて手を出さないっていうこともありますよね。
どうせ無理やろとか、これやったら稼げないからとか、いろんな理由つけて本当にやりたいことをあきらめている場合も多いんじゃないかと思うんです。
せやけど、やったらいいのにって思う。
将来の不安を考え過ぎちゃって、とかね。僕らは完全にそれが欠如してたからね。
僕も古着屋なんかやるタイミングじゃないのにやって分かったことがありました。
やっぱり一回やってみたらいいんです。
やってみれば、いろいろと世界が広がるんじゃないかって思います。
踏み出す勇気が大切ってことですか。
そうね、踏み出す勇気。
やらない後悔の方が嫌というか、それがずっと頭の中にありながらほかのことするのって、しんどいから。
僕は5年間工場の仕事をして、やりたい仕事だったわけじゃないけど、やってみたらなんか楽しさを見つけ出すことができたな、って思えた時もありましたよ。
だからそんなに悩まんでも、ぱぱーッとやってみたら、楽しいって思えることだってあると思います。
ありがとうございます!
いつでも前向きな気持ちをもって仕事に取り組んでいる2人。後編では失敗してもめげない気持ちの切り替え方について話を聞きました。
ロッチのお二人が悩める人々を救うお悩み相談番組。山口大学の小川仁志教授に世界の有名哲学者の考えを伝授してもらいながら、解決のヒントを探します※放送後一週間見逃し配信
撮影・編集 谷口碧
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