「令和」各分野で 各地で

新聞の号外配布で大混乱、硬貨や運転免許証、各種手続きなどの準備状況や便乗した詐欺などへの注意点のほか、ゆかりの地での動きなど新元号をめぐる話題をまとめました。

新元号伝える「号外」 奪い合い激しい混乱に

新しい元号が「令和」に決まったことを受けて東京や大阪では新聞の号外が配られましたが、奪い合う人たちで激しい混乱となりました。

東京 新橋 奪い合って転倒

東京 新橋駅前では4月1日午後1時前から新聞各社が号外を配布しました。担当者が新聞を配り始めると多くの人が詰めかけ、奪い合って転倒する人も出るなど激しい混乱となり、いずれの社の新聞も数分ほどでなくなりました。

JR大阪駅前 悲鳴や怒号 警察も出動

JR大阪駅前では駆けつけた警察官が「危ないので立ち止まらないで」などと繰り返し呼びかける中、午後0時半ごろに配布が始まると、待っていた人たちがわれ先にと殺到して、悲鳴や怒号が飛び交い、1枚の号外を引っ張り合って半分に破れてしまう様子も見られました。
この混乱を受けて一部の新聞社では大阪駅で予定していた号外の配布を見送りました。

ネット上のドメイン「令和」にちなんで続々登録

新元号の発表とともに、インターネット上の住所にあたる「ドメイン」も、「令和」にちなんだものが次々と登録されています。値上がりを見込んだ転売も活発になるとみられています。

ドメインの登録代行サービスを手がける「GMO」によりますと、令和にちなんだドメインを登録する人は、発表直後から相次いでいます。

漢字の「令和」を使ったドメインは、「.com」や「.jp」のほか、「.club」や「.family」など、日本語に対応しているドメインの多くがすでに登録されているほか、アルファベットの「reiwa」も、主要なドメインはすでに登録されています。

GMOによりますと、ドメインの登録費用は1件当たり数千円のものが多く、値上がりを見込んでオークションサイトで転売する人も増えるとみられています。

出典の「万葉集」や関連本が書店で人気集める

書店では元号の出典となった「万葉集」やその入門書が人気を集めています。

東京 新宿にある紀伊國屋書店では、4月1日まで新元号の「令和」が引用された序文が載った「万葉集」の在庫が数冊ありましたが、発表のあと売り切れてしまったということです。

書店によりますと、原文や現代語訳の「万葉集」のほか、解説が載った入門書なども人気だということです。

紀伊國屋書店、新宿本店の吉野裕司フロア店長は「ふだん売れない古典が1日で何冊も売れるのは初めてで驚いています。今回の改元をきっかけに、ぜひ古典に興味を持ってもらいたい」と話していました。

「令和元年」の硬貨 出回るのは7月以降 まず金型製作

造幣局では通常、500円、10円、1円など6種類の硬貨を製造していて、いずれも元号が刻印されています。新しい元号が「令和」と発表されたことを受け、造幣局は新元号を刻印した硬貨を製造する準備に入りました。

「令和元年」と刻印するための金型を作るところから始まり、財務省によりますと、製造の準備には3か月程度かかるということです。

このため政府から日銀に対して新たな元号が刻印された硬貨が引き渡されるのは、ことし7月以降になる見通しです。

その後、硬貨はさらに日銀から民間金融機関に流通することで市中に出回り始めるため、一般の人が「令和」と刻印された硬貨を目にするのは、早くても7月以降になる見通しです。

運転免許証の表記は西暦と元号の併記に

運転免許証の有効期限の表記は、以前は元号で表記されていましたが、この春から西暦と元号を併記する様式に変わることになり、すでに多くの都道府県でシステムの改修が行われています。

4月30日よりも前に、免許証を取得したり、更新したりした場合、交付の年月日は平成31年、有効期限は期限が5年の人の場合、西暦2024年の右側に、かっこ書きで平成36年と併記されます。

5月1日以降の場合は、交付の年月日は「令和」で表記され、有効期限は西暦と、かっこ書きで「令和」を併記する形になります。

婚姻届や出生届は5月から「令和」を使用 法務省通達

法務省が全国の法務局に出した通達では、婚姻届や出生届などは5月1日から新元号の「令和」を使用するとしています。一方で、5月1日以降、今の「平成」や西暦で提出を受けた場合には、窓口で新元号への訂正を依頼し、応じてもらえない場合にはそのまま受理したうえで、新元号に変更するとしています。

また法務省では自治体などに置かれている、標準的な様式の婚姻届などについても、「平成」の記載を「令和」に改める印刷を進めています。

改められた書類が全国に置かれるのは、4月下旬から5月上旬にかけての10連休のあとになりそうだということです。

被害相次ぐ 「キャッシュカード使えなくなる」に注意

警察庁によりますと、改元に便乗した手口でキャッシュカードや現金がだまし取られるなどの被害は去年から全国各地で相次いでいるということで、多くは実在する銀行や全国銀行協会をかたって電話をかける手口です。

具体的には「元号の改正で銀行法が改正された」などとうその説明をしたうえで、「元号がかわると古いキャッシュカードが使えなくなる」と言ってキャッシュカードをだまし取り現金を引き出す手口などが確認されているということです。

全国銀行協会は「キャッシュカードに有効期限はなく、改元によって手続きが必要になることはない。また、銀行員や全国銀行協会の職員が自宅に直接キャッシュカードを受け取りに行くこともない」としています。

警察は改元を悪用した詐欺などに注意を呼びかけています。

“改元詐欺” スマホに迷惑メール相次ぐ

新元号の発表に絡めた迷惑メールも多く確認されています。

このうち、東京都内に住む男性のスマートフォンには4月2日夜、「SOFTBANK」を名乗る差出人から、「新元号[令和]キャッシュバック」というタイトルのメールが届きました。

内容は「新元号[令和]の発表と共に応募者全員に10000円キャッシュバックを実施致します」というもので、リンクするアドレスも表示されていました。

この男性は「ふだんから迷惑メールには注意しているが、新元号と書かれていると関心を持ってしまう。自分はリンクをクリックしなかったが、だまされてしまう人は従来の迷惑メールよりは多そうだなと感じた」と話していました。

このようなメールはdocomoやauでも確認されているということで、携帯電話各社では、会社とは無関係だとして利用者に注意を呼びかけています。

このほか、携帯電話会社を名乗るもの以外でも「新元号を記念して300万円まで融資する」とか、「平成のうちに現金を受け取ってください」などと書かれたメールを受け取った人もいるということです。

今後も改元に便乗した迷惑メールが出回るおそれがあり、注意が必要です。

“令和”を画像に イラスト販売会社に投稿殺到

プロやアマチュアから広く写真やイラストの投稿を受け付け、広告や年賀状用の素材として販売するサービスを行っている東京 渋谷にあるIT企業「ピクスタ」には、「令和」の文字を盛り込んで作られた新しいイラストの投稿が発表から48時間で2000件余りと殺到しました。

改元をきっかけに、印刷物を作り替える企業も多いとみられ、ピクスタの伊藤遼さんは「多様なイラストを提供できるITのサービスを活用して、さまざまなデザインを楽しんでもらいたい」と話していました。

「令和」にちなむ「LINEスタンプ」デザイン申請続々

無料通信アプリの「LINE」は令和にちなんだ「スタンプ」のデザインを募集し、クリエイターや一般の人たちからの申請が相次いでいます。

元号が変わるときを盛り上げようと、令和に関する「スタンプ」を募集したところ、これまでに300件余りの応募がありました。

LINEは今回募集した新元号の「スタンプ」を4月24日から販売する予定です。

会社名に「令和」 早くも全国で31社誕生

信用調査会社、東京商工リサーチによりますと、元号が決まるまでこの会社のデータベースには漢字の「令和」を使った会社はありませんでしたが、4月10日の時点で「令和」を社名に用いた企業が31社あったということです。

新たに設立された会社が12社、社名の変更が19社で、全体のおよそ7割が元号が発表された今月1日に法人登記を申請していました。

さいたま市の会社は社名を「YICコンサルティング」から「令和コンサルティング」に変更したほか、東京 港区の「平成書籍」は「令和書籍」に変更しました。

調査会社は「今回は新たな元号の発表が前から予定されていたため事前に登記の準備をしていた企業が多い。心機一転して新規事業に取り組もうという気持ちが込められているのでは」と話していました。

桜満開の太宰府 当時の衣装で万葉の歌詠む

福岡県太宰府市で20年以上、万葉集の勉強会を開いてきた「大宰府万葉会」は、新元号の発表を受け、2日は市の職員を含めて10人余りが当時の衣装に身を包み、大宰府政庁跡に集まり、満開の桜のもと、「令和」の典拠となった歌を全員で声を合わせて詠みました。

「令和」引用の“万葉のうたげ” 飲まれた酒のお味は?

「令和」が引用された万葉集の序文は、大宰府長官だった大伴旅人の邸宅で催されたうたげで、集まった32人の役人が梅の花について歌を詠んだ際の様子がつづられています。

東京都内で4月3日夜に開かれた教養講座では、万葉集がまとめられた奈良時代の「食」について、東京農業大学の名誉教授で発酵学者の小泉武夫さんが解説し、大伴旅人は酒が好きだったと紹介したうえで「当時は濁り酒だけでなく、澄んだ色をしたみりんのような、とろっとしたとても甘いお酒があった。春の爽やかな風が吹く中、こうした酒を気分よく味わっていたのではないか」と話していました。

「令和」第1号ホームランバット展示へ プロ野球

プロ野球の試合で新しい元号「令和」になって最初のホームランを打った選手のバットが野球殿堂博物館に展示されることになりました。

5月1日に新元号の「令和」になって以降、すべての試合を通じて最初のホームランを打った選手からそのバットにサインを書いてもらったうえで寄贈を受け、東京 文京区にある野球殿堂博物館に展示します。

また平成最後の全試合のウイニングボールと新元号となる5月1日の全試合で1球目として使われたボールも展示するということです。

博物館によりますと、昭和から平成に元号がかわった時はこうした展示を行いませんでしたが、2001年の開幕戦では各球団で先発したピッチャーが投げた1球目のボールを回収し、「21世紀最初の試合の第1球」として展示したことがあるということです。

平成最後「平成31年」刻印の硬貨が人気

平成最後の年となる「平成31年」と刻印された硬貨のセットが人気を集めています。

さいたま市大宮区にある造幣局の支局では併設された博物館の売店で、「平成31年」と刻印された500円から1円まで、6種類の硬貨のセットを販売しています。毎日、数量限定で1人1セットのみの販売です。

造幣局さいたま支局の加藤みずき専門官は「通信販売も含めると当初の想定をはるかに上回る注文が寄せられ、驚いています。平成最後のセットがこれほど皆さんの心に響くとは思っていませんでしたが、やはり平成の思い出を形として残したいということだと思います」と話していました。

“改元の節目思い出に” 「令和」の額縁と記念写真

東京都内を中心にフォトスタジオを展開する会社は改元の節目を一生の思い出として残してもらおうと、「令和」と書かれた額縁とともに記念写真を撮影するキャンペーンを期間限定で企画しました。

フォトスタジオを運営する「ハピリィ」の荒瀬久絵次長は「元号がかわる節目の思い出として家族で振り返ってもらいたい」と話していました。

「人生ゲーム」も内容一新

新しい元号の発表にあわせ、すごろく型のゲーム「人生ゲーム」は、所持金ではなく、人とのつながりの多さを競うなど内容を一新した新商品を発表しました。

新しい元号の発表にあわせて発表された新商品は内容が一新され、「結婚」や「出産」などのマス目がなくなったほか、「お金」のやり取りがなくなりました。

代わりに、「動画配信」や「つぶやき」などのエリアを行き来しながらSNSのように「フォロワー」を集めて、どれだけ多くの人とつながったかを競います。

大手玩具メーカーで人生ゲームの開発を担当する池田源さんは「新しい時代はお金持ちになることよりも、人とのつながりに価値を見いだす人がより多くなると思います。デジタルの世界をアナログのゲームで遊ぶことで、幅広い世代の方に今の時代を楽しんでもらいたい」と話していました。

  • 新元号は「令和」 出典は「万葉集」

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