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「ダイバーシティートイズ」おもちゃに込められた思いとは?ネットワーク報道部・木下隆児記者

子どものためにおもちゃを選んでいると…。私が小さなころは見かけなかった、ブロックや着せ替え人形を見つけました。
車いすに乗ったブロックの人形に、いろいろな肌の色をした着せ替え人形。
調べて見るとこうしたおもちゃ、「ダイバーシティートイズ」と言うんだそうです。

バービー人形を並べてみた

このことばを教えてくれたのは、東京・福生市のNPO法人「青少年自立援助センター」で外国にルーツを持つ子どもたちを支援している田中宝紀さんです。(詳しくは、本サイトのコラム欄で4月16日公開の記事「日本の学校ではいじめられる」が定説!?をご覧下さい)

実際にどんなおもちゃなのか調べてみると、バービー人形を製造するアメリカのマテル社が取材に応じてくれ、百聞は一見にしかずということで、実際の人形を貸してくれました。人形を箱から出すと、まず目についたのが身長。背の高さがそれぞれ違っているんです。あと、肌も、髪も、瞳の色も違っています。そして、どことなくふくよかなバービーもいました。

何にだってなれる

さまざまな人種が暮らすアメリカならではの多様さです。でも、人形が販売された当初から、こうした多様性を取り入れていたのでしょうか。マテル社によると、人形開発の背景には、ある母親の想いがあったそうです。

「人形遊びを通じて、女の子にも将来に無限の可能性がある」

You can be anything。性別が違っても何にだってなれる。そんなメッセージを伝えるために商品が作られ始めたんだそうです。

車いすのバービーも

  • ©2019 Mattel. All Rights Reserved.

その後、多様性は職業の違い、人種の違い、そして体型の違いにも広がっていきます。ことしに入ってからは「車いすに乗ったバービー」が年内にアメリカで販売されることが発表され、世界各地でニュースになりました。(代理店によると、日本での発売は未定だそうです)義足のバービーとともにことし6月に発売予定だそうです。時代の変化にあわせて変化し続けているんです。

多様性が当然という環境を作る

今回「ダイバーシティートイズ」ということばを教えてくれた田中宝紀さんによると、こうしたおもちゃは日本ではまだ少ないということですが、世界では少しずつ広がり始めているということです。

「親が外国人、名前がカタカナ、見た目が日本人と違う。そうした子どもたちは、ルーツが違うということで、いじめや差別の対象になっています。『ダイバーシティートイズ』は、子どもたちの多様性への感度を高める一つのツールです。人として偏見のない状況を作り出して、外国にルーツがある子どもたちが安心して暮らせる環境になってほしいと思っています」

なりたいものになれる、ありのままでいられる。そうして、この世界のどこかに自分の居場所が見つけられる。そんな社会に少しでも近づいていってほしい。おもちゃを通して、そんなことを感じました。