中間選挙を翌月に控えた10月、私は太平洋に面した風光明媚な町、カリフォルニア州サンタバーバラを訪れました。目的地は、冷戦を終結に導いた立役者の1人とされるロナルド・レーガン元大統領の精神を次世代に継承しようという財団です。
私は、この3年間、アメリカで「トランプ主義」の拡大を取材してきましたが、選挙のタイミングで、共和党が「トランプ党」に変質することに危機感をもつ人たちの動きも取材したいと考えていました。そのような中で、共和党員の中で、いわば「保守」の象徴として名前をよく聞くようになったのがレーガン元大統領でした。
サンタバーバラの財団の会館に入ると現れたのは、微笑みをたたえたレーガン元大統領の胸像と冷戦終結の象徴であるベルリンの壁でした。アメリカ国民が強いアメリカを信じてまとまっていた時代の遺産です。
会館ではこの日から4日間の日程で、政治に関心をもつ高校生向けの研修会が開かれていました。参加者は130人あまり。最初の講師は、大統領の養子、マイケル・レーガンさんでした。
レーガンさんは、父親のことばを引き合いに、人々が保守の精神のもとでまとまり、強いアメリカであることの重要性を訴えました。
マイケル・レーガンさん
「父は、『人生で4つの戦争を経験したが、アメリカが強すぎたために起きたものはなく、弱かったから起きたのだ』と言っていました。今、世界は混乱の中にあります。若い人々が保守とは何かを学ぶべき時なのです」
旧ソビエト最後の指導者ゴルバチョフ氏と向き合い、国際社会の新秩序に思いをはせていたであろうレーガン元大統領と、「アメリカ第一主義」を掲げるトランプ前大統領。
同じ共和党の大統領ながら、30年がたって目指すところが大きく変化したことを感じました。