中間選挙の争点の1つとして挙げられる移民問題を取材するため、南部アリゾナ州のメキシコとの国境に向かった。
そこにあったのは、高さおよそ10メートルの“壁”。
“壁”と言っても実際には鉄製の柵で、隙間は10センチほどしかない。
メキシコから法的な手続きを踏まずにアメリカに入国しようとする人々を阻止しようと、国境沿いに延々と続いている。
“壁”沿いに車を走らせていると、メキシコ側には野生とみられる馬の姿もあった。
馬もアメリカ側に来たいのか・・・
実はこの国境の“壁”、阻んでいるのは人間だけではない。
野生の動物の往来も阻まれているという指摘があるのだ。
“壁”に行く手を遮られたと見られるのは、絶滅が危惧されているメキシコオオカミ。
2021年11月。「ミスター・グッドバー」と名づけられたオスのメキシコオオカミが5日近くも国境の“壁”沿いに進んでいたことがわかった。
「ミスター・グッドバー」につけられたGPSの記録によると、メキシコ国境に向かって南下していたところ、“壁”にぶつかり西に移動。40キロ近く進んだものの、あきらめたのか、再び北上を始めていた。
「大人になり、新たな縄張りとメスを探していたのではないか」と話す専門家。
メキシコでの新たな出会いは実現しなかった「ミスター・グッドバー」。 野生動物に人間の国境は関係ないはずなのだが。