2022年6月2日
ウクライナ ロシア

私は2度、ロシアに“ふるさと”を奪われた

「見つかったら殺される」

自宅の横を、ゆっくりと通り過ぎて行くロシア軍の戦車。
その後ろには、ロシア兵2人が歩いているのも見えました。
それでも、声を押し殺して、窓の隙間から必死に動画を撮影しました。

その動画を見せてくれたのは、タチヤーナ・ドブロワさん(34)。
ウクライナ南部ヘルソン州の自宅から、撮影したといいます。

「また、ロシアに家を奪われてしまいました」

こう話すタチヤーナさんは、現在、母親とともに隣国モルドバに避難しています。しかし、モルドバは、もともとタチヤーナさんが、生まれた国なのだそうです。

モルドバにあった自宅は、東部の「沿ドニエストル地方」にありました。

この「沿ドニエストル地方」には、ロシア系住民が多く暮らし、1990年、一方的に独立を宣言。その後の武力紛争で、当時5歳だったタチヤーナさんの家は破壊されてしまったといいます。今、元のふるさとには、ロシア軍が駐留しています。

親戚を頼って30年前に移住したのが、ウクライナでした。

新たな“ふるさと”になったウクライナで、タチヤーナさんは、美容師になる夢をかなえ、平和な暮らしを送っていました。

しかし、そこに、再びロシア軍が来たのです。

「なぜ罪のない人たちが家を奪われないといけないのでしょうか?しかも、2度も。私たちは、このあとどこに行けばいいのでしょうか」

※この記事は2022年4月20日に公開したものです

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