Q.「ワクチン接種で不妊の可能性」などの誤った情報をどう考えればよい?

A.
新型コロナウイルスのワクチンに関する誤った情報やデマがSNSなどで拡散されています。

その中に、ファイザー社の元職員が「ワクチンを接種すると不妊になる可能性がある」などと主張したというものがありますがどう考えればよいでしょうか?

2020年12月ごろから、SNSを中心にファイザー社の元職員が「ワクチンによって体内で作られた抗体が胎盤のたんぱく質に悪影響を与え、不妊になる可能性がある」などと述べたとする情報が広がりました。

この情報は、SNSを中心に拡散されましたが各国の保健当局や専門家はワクチンで不妊になるというのは科学的根拠のない誤った情報で妊娠を考えている女性や妊娠中の女性も接種できるとしています。

新型コロナワクチンについて最新情報を提供するウェブサイト「CoV-Navi」を運営している木下喬弘医師によりますと、「胎盤の形成に関わるたんぱく質は、新型コロナウイルスの表面のたんぱく質と形が似ていて、ワクチンで作られた抗体によって攻撃される」という誤った情報がもとになっているということです。

アメリカの新型コロナウイルスの研究者が実際に検証したところ、胎盤の形成に関わるたんぱく質と新型コロナウイルスのたんぱく質は形がほとんど似ておらず、ワクチンによって作られる抗体は胎盤に関わるたんぱく質を攻撃しないことが分かっているということです。

また、厚生労働省によりますと、新型コロナのワクチンには、排卵や妊娠に直接作用するホルモンや、卵巣や子宮に影響を与えることが知られている化学物質は含まれていません。

動物実験でもワクチンを接種したラットで、問題なく妊娠、出産したことが確認されているとして、厚生労働省は「国内で使用されているどのワクチンも不妊の原因となる科学的な根拠は報告されていない」と注意を呼びかけています。

さらに、アメリカのCDC=疾病対策センターも新型コロナのワクチンが妊娠に影響を及ぼす科学的な根拠はなく、まだデータは少ないものの、接種後のモニタリングが行われている中で、接種した妊娠中の女性や赤ちゃんに対する安全上の懸念は見られていないとしています。

そして、妊娠中の女性は、新型コロナウイルスに感染した場合、重症化するリスクが妊娠していない女性より高いとした上で「妊娠中の女性や将来、妊娠を考えている女性、それに、男性を含めて子どもを持とうとしている人もワクチンを接種できる」としています。

(2021年8月10日時点)