2021年2月10日
東京都内の新型コロナウイルスの感染状況などを分析・評価する「モニタリング会議」が開かれ、専門家は、新規陽性者数の減少傾向を維持できれば医療提供体制などを大きく改善させることが期待できるものの、まだ入院患者が大きく減少しておらず医療提供体制のひっ迫は長期化しているとして、高齢者の感染などを減らすことが重要だと指摘しました。
2月10日の会議で、専門家は都内の感染状況と医療提供体制をいずれも最も高い警戒レベルで維持しました。
このうち感染状況について、新規陽性者数の7日間平均は、1週間前・2月3日時点の684人から9日時点は524人と減少し、およそ1か月前のピークから減少し続けているものの依然として高い値だと説明しました。
また、病院や高齢者施設でのクラスターや同居する人からの感染などで高齢者の感染拡大が続いていて、引き続き厳重な警戒が必要だと指摘しました。
新規陽性者数の前の週からの増加比は73%で、これを4週間維持できれば、7日間平均は149人になり、50%まで減少させて4週間維持できれば、7日間平均は33人になると説明し、医療提供体制や保健所の体制を大きく改善させることが期待できるという認識を示しました。
一方、医療提供体制については、1週間前・2月3日時点で2876人だった入院患者が2月9日時点は2606人で、大きく減少することなく非常に高い水準で推移していると指摘しました。
そのうえで「医療提供体制のひっ迫は長期化している。重症化リスクの高い高齢者の感染を減らし、重症患者を減少させることが最も重要だ」と呼びかけました。
専門家「変異ウイルス拡大可能性も視野に解析」
モニタリング会議の中で、都内では変異したウイルスでの感染がこれまでに12人確認されていることが報告されました。
会議に出席した専門家の1人で、都の感染症対策の拠点「東京iCDC」の「専門家ボード」で座長を務める東北医科薬科大学の賀来満夫特任教授は「都の健康安全健康センターで遺伝子解析のスクリーニングを行っているが面的に広がっているということではないと思う」と述べました。
そのうえで「ただ、関東で変異ウイルスがかなり広がっている状況があるので、今後、都内で広がっていく可能性も視野に入れて、引き続きスクリーニングをしっかりと行っていく」と述べました。