コロナ感染
2割は陽性判明時に無症状
60代以降も高い割合 東京

2021年1月20日

東京都内で1月15日までの2か月半に新型コロナウイルスの感染が確認された人のうち、およそ20%は陽性と判明した時点で無症状で、年代別に無症状だった人の割合をみると20代や30代より60代以降の年代で高いことが都の調べでわかりました。
都の担当者は、「若者だけでなく幅広い年代で無症状でも感染している可能性があることを認識して日頃から感染防止対策を徹底してほしい」と話しています。

東京都内で2020年11月から1月15日までの2か月半に感染が確認された5万1848人について都が調べたところ、検査で陽性と判明した時点で無症状だった人は1万315人でした。

全体の19.9%で、およそ5人に1人にあたります。

無症状だった人が最も多いのは、20代の2262人でした。

このほか、30代が1754人、40代が1546人、50代が1304人、60代が742人、70代が587人、80代が441人などとなっています。

20代と30代で全体の40%近くを占めています。

一方、年代別で感染が確認された人に占める無症状の割合を見ると、20代が16.8%、30代が16.6%でした。

これに対して60代は20.9%、70代は21.6%、80代は24.4%で、若い世代より高齢の世代のほうが無症状だった人の割合が高くなっています。

都の担当者は、「無症状の人から感染が広がるのを防ぐことが重要だ。若者だけでなく幅広い年代で無症状でも感染している可能性があることを認識して日頃から感染防止対策を徹底してほしい」と話しています。

また、「特に、関係者の感染がわかった高齢者施設などでは、できるだけ早く検査を実施し、無症状の人も見つけだして感染拡大のリスクを減らしてほしい」と話しています。

専門家「高齢者は最初は無症状でも悪くなることがある」

都内の感染状況について分析している国立国際医療研究センターの大曲貴夫 国際感染症センター長は、NHKの取材に対して「無症状でも人にうつるのがこの病気の嫌なところだ。無症状の人からの感染を防いでいかなければこの流行は抑えられない。高齢だろうが、若かろうが、どの世代だろうが、症状がなくてもきちんとマスクをして生活する。3密の場所を避け、避ける自信がなければ出かけないなど対策が必要だ」と話しています。

そのうえで、「高齢者は最初は無症状であっても、やがて症状が出て入院が必要なほど悪くなることがある。悪くなる率が高いのも年齢が高い人だ」と述べました。

さらに「これだけ流行すると誰がコロナウイルスをもっていてもおかしくないので高齢者施設などでは対応のシミュレーションをして準備してほしい」と述べました。

また、このところの都内の感染者数については、「先週と比べると数値は落ち着いているように見えるが、どうなるか読めない。今まで、われわれが経験してこなかったことがずっと続いていて、状況は変わっていない。油断はできず、変な希望的観測は持てない」と話しています。

60代女性「気付かずに孫にうつさないか不安

東京都内でこの2か月半に、陽性と判明した時点で無症状だった人が幅広い世代にわたったことについて、街の人からは、「若い世代も高齢者も関係なく、全員が対策を徹底しなければならない」などといった声が聞かれました。

JR新宿駅前で聞いたところ、60代の女性は「私も必要があれば外に出ているので感染してしまう可能性は否定できません。感染したことに気付かずに同居する孫にうつさないか不安があります」と話していました。

また、50代のサラリーマンの男性は、「仕事柄、テレワークができないので気付かない間に感染していないか、常に不安に思っています。自分が感染しているかもしれないと思って行動します」と話していました。

さらに19歳の男性は、「街は若い世代だけじゃなくて、幅広い世代が歩いているので、どの世代の人も感染させない対策に意識を持つことが重要だと思います」と話していました。