「BA.2」系統の疑いが7割近くに
東京都モニタリング会議で指摘

2022年4月7日

東京都内の感染状況などを分析するモニタリング会議で、専門家は、オミクロン株のうち感染力がより高いとされる「BA.2」系統の疑いがあるウイルスの割合が上昇し、7割近くに上っているとして「流行の主体が置き換わりつつあり、急速な感染の再拡大に厳重な警戒が必要だ」と指摘しました。

4月7日の会議で専門家は、都内の感染状況の警戒レベルを最も深刻なレベルで維持し「感染の再拡大の危険性が高いと思われる」と分析しました。

新規陽性者の7日間平均は、4月6日時点で7248人と、前の週から横ばいで、専門家は「高い水準で推移している」としています。

また、都のスクリーニング検査で、オミクロン株のうち感染力がより高いとされる「BA.2」の系統の疑いがあるウイルスの割合が、3月28日までの1週間で67.8%に上ったことを明らかにしました。

その前の1週間は52.3%、さらにその前の1週間は39.6%だったので、2週間で30ポイント近く上昇しています。

専門家は「流行の主体が置き換わりつつあり、急速な感染の再拡大に厳重な警戒が必要だ」と指摘しました。

一方、医療提供体制の警戒レベルは4段階のうち上から2番目で維持し「通常の医療が制限されている状況である」と分析しました。

専門家は「救急医療体制に深刻な影響が残る中、入院患者は減少傾向から横ばいとなった。60代以上がおよそ70%と、依然として高齢者の割合が高い」と説明しました。

そして「感染の再拡大に備え、通常の医療提供体制とのバランスを保ちながら、オミクロン株の特性を踏まえた入院、宿泊および自宅療養体制の強化に向けた検討を行う必要がある」と指摘しました。

専門家「BA.2 より短い時間で感染広げる可能性」

モニタリング会議で、都の「専門家ボード」の座長で、東北医科薬科大学の賀来満夫特任教授は「BA.2は感染力の高さに加えて、最初に感染した人が次の人に感染させるまでの期間が短いと言われており、より短い時間で多くの人に感染を広げる可能性がある」と指摘しました。

そのうえで「BA.2」系統のウイルスに感染した疑いのある人の割合が7割近くまで上昇していることを踏まえ「今後、感染が急拡大するかどうか、重要な局面を迎えている。新生活が始まり、人の移動や人と人との接触機会が増える季節になるが、感染をこれ以上広げないためにも、改めてワクチン接種とともに基本的な感染対策の徹底が大変重要になる」と述べました。

ワクチン3回目接種率 若い世代で低く 20代は25%余

東京都によりますと、都内の3回目のワクチン接種率は、4月5日時点で全人口でみると、全国平均より0.9ポイント高い44.4%でした。

年代別で見ると、65歳以上の高齢者は82.2%と8割を超えている一方、12歳から19歳は6.8%、20代は25.6%、30代は30.2%で、若い世代で低くなっています。

こうした状況を受けて、都は、若い世代のワクチン接種を強化します。

具体的には、新入生や新社会人を迎える新年度に合わせて、新宿にある都庁の展望室など都の大規模接種会場の一部で、企業や大学などを対象にした団体接種を新たに始めます。

10人以上であれば、会社の部署や、大学のサークルやゼミ単位でも受けることができ、4月11日から予約の受け付けを始めます。

また、これまで高齢者施設などを中心に対応していたワクチンバスを、大学の合宿所や学生寮などにも派遣することにしています。

都の専門家はモニタリング会議の中で「ワクチン接種による重症化の予防と死亡率の低下の効果は、オミクロン株に対しても期待できることから、3回目のワクチン追加接種を強力に推進する必要がある」と話していました。

小池知事 若い世代に接種呼びかけ「自分自身を守って」

3回目のワクチン接種で若い世代の接種率が低いことについて、小池知事は会議のあと記者団に対し「新社会人など、フレッシュな気持ちで迎えていると思うが、この機会を捉えて接種を強力に進めてほしい」と述べました。

そのうえで「若い人から高齢者にうつり、重症化していく可能性がある。高齢者にとっては、基礎疾患が加わってきつい状況になる。若い人にとっては、後遺症が残るおそれもあり、自分自身を守ってもらいたい」と述べました。